文具で楽しいひととき

■ インスパイラ



 


 このペーパーワールド・チャイナ レポートでは
 すっかりおなじみの中国のノートメーカー、インスパイラ。

 今回の新製品は?とお聞きすると、
 新製品はあまりないとのことだった。

 グルリとブースを見回してみると、
 一つのメモブロックが目にとまった。


 


 これはずいぶん前から
 ヨーロッパを中心に販売されているものだという。

 メモブロックというものは、
 メモが積層されていて
 ビシッと「気を付け!」をしたかのような
 直立不動スタイルをしているものだ。


 


 しかし、これは「休め!」を通り越して、
 ゆったりと「リラックス」してしまっているようである。

 商品名は「ツイストテッド メモ」。


 


 メモブロックなので、
 メモの一辺はしっかりと糊付けされている。


 


 担当の人に、
 当初は直立したメモブロックを機械かなんかで
 グニュッとねじっているんですか?と冗談半分で訊ねると
 意外にも「そのとおり」という答えが返ってきた。



■ 細かなところまで考えられた修正テープ

 韓国エリアで
 修正テープを専門にしているブースがあった。


 


 修正テープを展示しているところは
 会場にもたくさんあったが、
 ここのものはオッと思わせるものがあった。

 それは、
 そのずば抜けた小ささ。


 


 ペンを一回り太くさくらいの細さ、
 そして短いボディの中に
 修正テープのロールがしっかりと収められている。

 社長いわく、
 これは世界で最も小さい修正テープのロールだという。

 確かに小さい。

 しかも、
 これが面白いのは、
 その反対側には消しゴムが付いているところ。


 


 消し具の両刀使いという訳だ。

 実は、
 この商品は日本でもすでに販売されているという。

 今回の展示会では、
 これをさらにブラッシュアップした新作が発表されていた。

 先程の小さいタイプは、
 修正テープ長さが3.2メートルとやや短め。

 そして、
 修正テープのロールは使いきりタイプとなる。

 対して新作は、
 ややボディは大きくなっているものの
 テープの長さが6m、そしてロールはリフィラブルになっている。


 


 もちろん反対側には消しゴムもある。

 さらに、
 この新作では二つの特許を新たに取得しているという。

 まず一つ目は修正テープのキャップ。

 これまでのキャップは、
 取り外すタイプや修正テープのブレードと呼ばれる先端部分を
 引っ込ませるというものだった。

 これは全く新しい方式。

 キャップの上下を親指と人差し指でつまんで手前にスライドさせると、
 キャップがボディから離れずにスライドして開いていく。


  


 これならキャップをなくす心配もない。

 このキャップは「ドームキャップ」と呼ぶらしい。

 そして、
 もう一つの特許は内部の構造なので、
 肉眼では確認出来ないものだった。

 それは、本体の中でロールを回転させる時に
 一緒に動くオーベルトという部分。

 そもそも修正テープ中には二つのロールがある。


 


 ひとつには未使用のテープが巻かれていて、
 もう一つには使用済みの透明フィルムが巻き取られていく。

 この2つは、
 テープを引くときに常に同時に回転する。

 それを司っているのは、
 その二つのロールの根元に巻かれているオーベルト。

 これはシリコンで出来ているという。

 そのオーベルトの内側に
 ギアのようなギザギザを付けたというのが、
 今回の新たな特許。

 従来のものは、輪ゴムのように
 ただの平面なオーベルトが使われていたという。

 ギア方式になったことで、
 よりスムーズに回転するようになる。

 そのため、
 テープが残り少なくなっても
 引く時に重くなりにくいという。

 そもそも、
 このテープが残り少なくなった時に
 従来のものだと
 紙の上にテープを引いて、
 最後にテープの先端を紙から離す時に
 その引きの重さのためにテープが多少戻ってしまうのだという。

 つまり、
 次に使う時にテープが先端より
 少し戻った状態になってしまう。

 この状態だと
 次に使うときに引き始めにテープのない
 空白地帯が出来てしまう。

 ギア方式にすることで、
 引く時の重さが軽減されるので、
 先程のようなテープの先端の空白が出来にくくなるのだという。

 また、修正テープの使い勝手がまた一つ向上したという訳だ。



■ 高級ステーショナリーも登場

 発展著しい中国を象徴するようなメーカーも出展していた。

 それはスペインのエルカスコ。


 


 半年ほど前に
 中国の代理店が立ち上がったばかりだという。

 エルカスコのステーショナリーの歴史は古く、
 ピストルの技術を活かして作っているものもあるという。


 


 今もスペインでは一つ一つ職人の手で作られている。

 日本でエルカスコというと、
 鏡のように磨き上げられたシルバータイプを思い浮かべるが、
 ブースには、
 そのシルバータイプよりゴールドタイプの方が
 メインにディスプレイされていた。


  


 中国では、
 「金色」は皇帝の色と言われ、
 大変好まれているという。

 このエルカスコは現在、
 北京の高級百貨店で販売されている。

 やはり、
 こういう高級なものを買うのは中国の一部の富裕層だけなのだろうと、
 担当に人に聞いてみると
 必ずしもそうでないとのことだった。

 確かに富裕層の人達がワンセットすべてを買うということもあるというが、
 一般の人たちが買っていくこともあるという。

 彼らは家の中にそうしたアイテムを飾って
 眺めたり触ったりして楽しむのだそうだ。


 
  <特に人気が高いのは、この
    葉巻をカットするアイテム>


 
  <亀の置物のようなこのアイテムは、頭を押すとベルが鳴る、いわゆる呼び鈴。
   大きな邸宅などでは、これを鳴らして人を呼ぶのだろうか。
   亀なので、てっきり中国市場向けに作ったものかと思いきや、
   これは1920年から販売しており、ヨーロッパでも人気を博しているアイテムだという>





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