■ 「ペーパーワールド チャイナ 2009 レポート」 (1/6ページ)
□今年で5年目を数えるペーパーワールドチャイナが
上海国際展示場で11月11日から13日の3日間、開催された。
初日オープンの朝、
私達プレスは専用バスで展示会場へと向かった。
会場に着くと、そこには黒山の人だかりだった。
ちょうど同じ時期に電子機器の展示会も開催されているということもあり、
一挙に大勢の人達が詰めかけていたようだ。
日本の都会でも人だかりを見るのは珍しくないが、
ここ中国のそれはまたちょっと違った印象。
もともとその人だかりの規模がとても大きいのに加え、
そこにいる人達は、まるで怒っているかのようにしゃべりあっている。
ちょっと話しはそれるが、
中国で車に乗っていると、
びっくりするくらいあちこちでクラクションが鳴り響いてる。
私なんかは、日本では年に数回くらいしか鳴らさないものだから
これには驚いてしまった。
そんなに盛大に鳴らしている運転手さんの顔を覗きみていると
なんと全然怒っていない。
むしろ平然としている。
一方の鳴らされた方はと言うと、
こちらも落ち着き払った顔をしている。
通訳のジャンさんによると、
先ほどの中国の方の話し方も全然怒っておらず、
ただただ普通に話しているだけだという。
日本から来たばかりだと、
中国ならではのこの活気にややたじろいでしまう。
さてさて、
展示会場のメインエントランスを抜けるところで、
その人だかりの原因がわかった。
すべての出展社そして来場者が、
金属探知機そして荷物検査を受けていた。
まるで空港のようだ。
確か、こうしたものは昨年はなかった。
やはり、このご時世だからなのだろう。
ようやくのことで、そこをくぐり抜け
いよいよ展示会場へと向かう。
16ヶ国516社の出展社が三つのホールにブースを構えている。
主催者の方によると、前回とほぼ同じくらいの規模ということだった。
今回もペーパーワールドチャイナの中で私が注目したステーショナリーを
レポートしていきたいと思う。
■ 上海で存在感をさらに増す日本メーカー
今回の展示会で、私が感じた一つの変化があった。
それは日本の文具メーカーが昨年よりもすこしばかり増えていること。
これまでは、どちらかというと
ペンの要素技術メーカー、
例えば、
ペン先の専門メーカーなどが多かった。
しかし、今回は
それらの会社に加え、日本の完成品メーカーの出展も増えていた。
詳しくは、後ほどご紹介するが、
コクヨ S & T、 トンボ鉛筆、パイロット、ゼブラ、三菱鉛筆といった顔ぶれ。
今回このような日本メーカーが出展することになったのには
一つの理由があったようだ。
それは中国の大手文具卸の「漢瑪(かんま)社」が、
ペーパーワールドチャイナの会場の一角を借り上げ
取引のある国内外の文具メーカーにブースを提供するというスタイルをとっていた。
たくさんの中国のメーカーにまじって
先程の日本企業もそこに出展していた。
その一区画は仕切りで囲われていて
ペーパーワールドチャイナの中の一つのコーナーというよりは
一つのプライベートフェア的な感じになっていた。
ここで卸の「漢瑪」は、自らの伝票を持った営業マンを全ブースに配置し、
来場するバイヤーやから注文を取っていた。
日本のメーカーに聞いたところでは
中国での文具流通は日本の様には、まだ確立されておらず、
やや混乱しているという。
従って、大手卸の販売力に頼るのは得策なのだという。
考えてみれば、
こうして卸が会場を区切り、そこに文具メーカーが出展し、伝票をとるというスタイル、
これは日本の文具業界ではこれまでずっと行われてきた伝統的な手法だ。
どうやら、日本スタイルを中国が取り入れた形になっているようだ。
さてさて、
その「漢瑪」エリアに出展していた日本の文具メーカーからご紹介してみよう。
■ 新製品を発表していたトンボ鉛筆
今回、初出展のトンボ鉛筆。
トンボブースには
日本本社から海外事業部の劉(りゅう)さんという方がいらしたので、
通訳を介すことなく、いろいろなお話を伺うことが出来た。
日本でトンボと言えば、
鉛筆や消しゴムあたりが真っ先に浮かぶ。
一方、中国では全く違って
修正テープメーカーというイメージがすでに作りあげられているという。
というのも
中国市場では、初めて修正テープを販売したのはトンボ鉛筆だったそうだ。
ちなみに、
修正テープは中国語で「修正帯」という。
なるほど、という中国語である。
ではなぜ中国では、鉛筆よりも修正テープをメインに販売していったのか。
それは中国では、
中学、高校、大学といった学生そしてビジネスパーソナルに至るまで
ほとんどがボールペンを使っているという背景がある。
そのため
ボールペンを消す、修正テープ市場を中心に展開していったのだろう。
実際、今回のトンボブースでも、
色々な修正テープが展示されていた。
その中で日本でもまだ発売されていない
新しいものが発表されていた。
商品名は、「PGX」。
これまでの修正テープよりも細長いボディをいしている。
菱形を横長にしたようなイメージ。
これが意外としっくりと握れる。
テープの面を紙にフィットさせやすい印象があった。
最大の特徴は、
より上質なテープを使いテープそのものを頑丈にしたこと。
先程も触れたように中国ではボールペンがよく使われている。
中でも、ゲルインクボールペンがその主流。
さらには
0.3mm、0.4mmあたりの細字系を好んで使ってるという。
日本のようにひらがながなく、
すべて漢字で書かなければならないので、
より細字であるのも頷ける話だ。
その細字のゲルインクボールペンで修正テープの上に書くと
たまにテープが削れてしまうことがある。
さらには、その削りカスがボールペンのペン先に巻き込んで
最悪は書けなくなるということもあったりするそうだ。
今回の「 PG X 」では、
そうしたことを考慮した上質で頑丈なテープになっている。
といってもテープを厚くしているわけではない。
実際に紙の上に聞いてみたが、
これまでと何ら変わらない。
それでいて頑丈になっているのだ。
日本でも来年から販売が開始される予定もあるという。
□また、消しゴムでも、見たことないものがあった。
グリーンのスリーブをまとった「ダストフリー」というもの。
これは日本では展開しておらず、中国やアジア限定のもの。
もちろん、MONO消しゴムも中国で販売されているが、
価格が5元と市場価格の中でとびきり高く
なかなか多くの人の手には渡らない。
MONOはトンボの中心的なブランドなので、
安くするのではなく、
別のものをということで、この「ダストフリー」の展開になったという。
ちなみにこちらは2元。
■ 中国仕様を作り積極的なコクヨ S & T
トンボ鉛筆のすぐ隣にはコクヨ S & T があった。
コクヨ S & T社の海外事業部門が、直接出展する形をとっていた。
こちらでも日本語を流暢に操る現地スタッフの方がいた。
ブースの看板には、「日本国誉索創株式会社」とある。
国の誉というコクヨ本来の名前の次に、
「索」と「創」という言葉が続いている。
「索」は研究、「創」創造という意味。
「S&T」は、「ソリューション&テクノロジー」という意味なので、
まさに適切な漢字が使われているということになる。
さて、
ブースの全面には誇らしげにキャンパスノートが展示されていた。
しかし、私たちが日本で見るのとはちょっと違う顔をしている。
「キャンパス」というロゴマークこそ同じであるが。
どことなく日本のものとは違う印象。
これは中国向けに作られたものだという。
バリエーションは、
綴じタイプとリングタイプの2種類。
サイズはA5とB5サイズ。
中国ではリングのA5サイズの人気があるという。
表紙を開いて中の紙面を見てみると、
お馴染みの罫線になっている。
罫線の幅は7mm のみ。
やはり漢字を書くことを想定して
多少ゆったりめのこの罫線が選ばれたのだろう。
紙一枚をつまみ、その感触を目をつぶって確認してみた。
日本のキャンパスノートとほぼ同じ印象。
しかし、担当の方によると、
中国仕様に多少変えて作ってあるのだという。
生産はコクヨの滋賀工場によるもの。
このほかドットライナーやファイルもあったが、
コクヨ S &T社では、
先程のキャンパスノートを中国では重点的に展開していく計画。
ちなみに中国では、
ファイルはパイプ式よりもレバーアーチファイルの方が主流。
ということでコクヨ S &Tでは
中国用にレバーアーチファイルもラインナップされている。
表紙がブラックになっていて、これはこれでなかなか格好良いものだった。
>> 次ページに続く
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