■ 「ペーパーワールド チャイナ 2009 レポート」 (4/6ページ)
■ 様々な質感のノートブック
再び小さなブースの通路に戻り、歩いていくと
つきあたりの所にいろいろなカラーのハードカバーノートを
展示しているブースがあった。
やはりここも一小間の小さなブース。
この会社は社名に「装丁布」とあるように
本の装丁用の様々な素材を作っているメーカー。
カラーバリーションだけでなく感触の違う素材が豊富に揃っている。
その中に、フサフサと起毛した革のようなものもあった。
これは、合皮かと思いきや、布製だという。
特殊な布を加工して作っているとのことだった。
この他シルク風の艶やかなものなど
そのほとんどが布で作られているものばかり。
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これまで書籍の装丁を中心にビジネスを展開していたが、
ここ数年文具市場にも進出し始めたという。
表紙は様々なバリエーションがあるが、
中身はすべて無事で自由に書けるようになっている。
すべての表紙には、「NOTE ON A BOOK」と刻印されているだけで、
シンプルにまとめられている。
■ 今年も出展していたラミー
昨年に引き続いてドイツパビリオンの中でブースを構えていたラミー。
私がブースを訪ねた初日には、
ドイツ本社から海外セールス部長のダニエル氏と、
今回出展していた香港のラミーの代理店の責任者の方が共にいらした。
そこで
昨年に引き続き、中国市場における
ラミーの最新動向について伺ってみることにした。
中国では、
すでにいくつものラミーの直営ショップがあるという。
直営というように他ブランドのペンはなく、
ラミーだけで作られたショップ。
それらは、主にショッピングセンターの中に設けられているそうだ。
私も上海でいくつかのショッピングセンターに行ったことがあるが、
私たちもよく知っている欧米のファッションブランドやスポーツブランドの
ショップが軒を連ねている。
ラミーもそうしたところに、的を絞ってショップ展開を行っている。
現在の中国におけるラミーの購入層は、20歳から35才ぐらい。
日本はもう少し上の年齢層なので比較的やや若めである。
ちなみに本国ドイツでは6歳から60歳。
確かに小学生用の万年筆 abcからラインナップされているので
頷ける話である。
中国でのラミー購入層が若者が中心ということで
一番人気なのは、サファリ万年筆。
これは、昨年お聞きした時と同じだ。
ボディカラーはマットブラックがダントツだという。
ペン先の字幅は EF と F が同じくらいの比率。
サファリのラミーならではのデザインそして、
手に入りやすい価格帯であることが、理由であると話してくれた。
2番目に人気なのも、アルスター。
サファリ系が人気を集めているようだ。
日本で絶大な人気を誇っているラミー2000の
中国での評価をお聞きしてみた。
ダニエル氏いわくラミー2000のバウハウス的なデザインは
日本人にはとてもよく理解してもらっている。
一方中国では、現在は日本ほどの人気はないが、
今後、中国の人達にもこのデザインを徐々に理解してもらっていけるのではないだろうか
とのことだった。
香港の代理店の責任者の方が中国人はラミー2000よりも、
むしろステュディオの方に注目が集まってるという。
なぜなら中国人は金属製のペンを比較的好む傾向があるからそうだ。
なるほどペンの好みにもお国柄というものがあるものだ。
最後に、気になっていたこと聞きした。
それは万年筆やボールペンを中国で買うとあらかじめ入っている
インクの色は何色かということ。
ご存知のように欧米ではブルーが中心、
そして日本は黒。
では中国は何色なのだろうか
ラミーは中国ではすべて黒インクを入れているという。
それはやはり書道の文化があり、墨の黒なのか、と聞いてみると、
そうではないという。
中国では公式文書はすべて黒インクでなければならないということがあり、
それにあわせているのだそうだ。
今回ラミーブースには日本でも先頃発表された
キャップなしの万年筆「ダイアログ3」が新製品として展示されていた。
私たち日本人が初めてみる新製品は残念ながらなかった。
新製品は来年1月に本国ドイツで開催される
ペーパーワールド(フランクフルト)で発表されるということだった。
これは個人的にとても楽しみである。
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■ 再生紙を使ったユニークなペン
このペーパーワールドチャイナは、私自身今年で3回目の取材となる。
その1回目の時から中国出展社のあちこちで耳にしたのは
「環境への配慮」という言葉。
中国は製品を海外に輸出することが多いので、
これは重要なキーワードなのだろう。
今回もそうしたブースがあった。
ここは3年前に設立されたばかりのペンメーカー。
当初はプラスチックを使ったペンの製造を中心に行っていた。
そして2年前からは環境にやさしいペンに積極的に取り組んでいる。
ブースに展示されていたのは再生紙を使った各種ボールペン。
中でも目を引いたのは、
キャップがチューブのうしろ側みたいに、平べったくなっているもの。
そのユニークさもさることながら実際に手にしてみると、
このデザイン意外とキャップが外しやすいものだった。
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カラーバリエーションだけでなく、サイズも豊富で
見ているだけで楽しい。
特に一番小さなタイプは携帯電話などにも付けられるように穴が開けられている。
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これらは主にイギリス、フランス、ドイツ等に輸出されている。
また同じく再生紙を使ったペンの中で、もう一つ面白いものがあった
何とこれは、
クリップが木で出来ている。
この木も再利用されているもの。
一度何かで使った木を一旦粉砕して再び固めたものや、
子供が食べたアイスキャンディーの棒を使っているという。
確かに同じ形をしている。
また、古新聞を鉛筆の芯に巻き付けた
見るからにエコというものもあった。
これはどうやって削るのだろうと不思議に思って
お聞きしてみると、なんと普通の鉛筆削りでいいのだという。
本当に大丈夫なのだろうか。。
中国の新聞とヨーロッパのものとでは
紙質が違うので削り具合もまた違うという。
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