■ 「ペーパーワールド チャイナ 2009 レポート」 (2/6ページ)
■ 中国でも人気のフリクションボール
2004年から中国での販売を開始したというパイロット。
パイロット商品の中で、
中国で今、最も人気があるのは、
フリクションボールだという。
価格は15〜20元と、中国の一般的なペンからすると相当に高い。
しかし、このペンは中国市場でしっかりと受け入れられているという。
取材に応じていただいた現地スタッフの方によると、
中国の人、とりわけ若い人達は伝統よりも新しい機能に興味があるという。
そもそも学生であっても、15元くらいのペンを買う能力は持っている。
15元払っただけの価値、つまり機能がちゃんと備わってさえいれば
問題はないのだそうだ。
フリクションボールのヒットの背景には先程来触れているが、
中国人のボールペン使用率の高さがある。
学生やビジネスパーソンを中心にボールペンで書いているので、
消す時に修正テープ等使わずに済むこのフリクションボールは
彼らにとって便利な存在となったのだろう。
またハイテック C も根強い人気がある。
0.3mmや0.4mmのやや細字が人気。
小学校では基本、鉛筆を推奨しているとのことだが、
5年生6年生と高学年になるにつれ、
徐々にゲルインクボールペンを持つようになっていく。
中国の子供にとってゲルインクボールペンを持つというのは、
大人になる一つのきっかけのようなものだという。
ちなみにパイロットではゲルインクボールペンと油性ボールペンの売上の比率は3対1で、
圧倒的にゲルインクの方が主流になっているという。
■ 20年以上も前から中国で販売しているゼブラ
ゼブラも今回初出展。
現地法人を今年1月に設立し、
本格的に中国市場への取り組みをはじめている。
実はゼブラはそれ以前から代理店を介して
20年以上も前から中国での販売を行ってきた。
その一つが、「B100」と呼ばれる0.5m m の水性ボールペン。
(ちなみに、日本においても販売されている。)
これが中国での水性ボールペンの代名詞的存在として、
売れているという。
その訳は当初、
中国政府から公式文書に使うペンとして
この「B100」が認められたという経緯がある。
中国では今なお公式文書には油性ボールペンではなく
水性ボールペンを使うという暗黙のルールがある。
日本ではどちらかというと、
油性ボールペンの方が公式っぽい印象があるので、
不思議な感じがする。
ゼブラの方によると、
中国ではもともと万年筆を使う文化があり、
水性のインクにはとても馴染み深い。
その流れがあるのではないだろうかと教えてくれた。
さらに言えばこの万年筆文化は、こんなところにも残っている。
ゼブラを代表をする「サラサ」というペンがあるが、
中国ではノック式は全然人気がなく、売れているのはキャップ式ばかり。
これは日本とは全く逆。
このキャップ式を好むのもやはり万年筆文化があるからなのだろう。
また、中国で人気のペンとして忘れてはならないものに、
マーカーの「マッキー」がある。
これもやはり20年程前から中国で販売し、今なお売れ続けている。
余りにも売れすぎてしまい、
中国では模倣品が沢山出回るという事態にもなっているそうだ。
中国で売れているのは細い軸のタイプ。
特に日系の工場では絶大なる支持を得ているそう。
電子部品の基盤等にマーキングする時などに使われているという。
■ ひときわ大きなブースを構えていたカール事務器
カール事務器は、
先程の「漢瑪」のエリアではなく、独自に大きなブースを構えていた。
展示されているものの多くは、
日本で、すでに発表されているものが中心だった。
ブースには日本本社の方がいらしたので
今回ここで、初めて発表している商品はないですか?とお尋ねしてみた。
すると、中国市場限定に作ったものが一つだけあるという。
それは、商品名と言うよりも型番と言ったのがいいかもしれない。
その名も「No.630」。
これは業務用で
300枚もの紙の束をいっぺんに開けられる2穴パンチ。
2穴といっても私たちがよく目にするものとはちょっと違う。
見ればその穴の間隔がとても狭い。
カタログによればその幅はわずか2cm 。
これは一体何のためのものだろうか。
実はこれ、
中国でよく使われる
領収書の束に穴を開けるもの。
確かに私も上海の街中で買いものをし、領収書をもらうと
どこも同じ細長い伝票の束になっている。
中国では領収書はどこも同じフォーマットになっているそうだ。
この商品は
その領収書の束に穴を開ける専用の2穴パンチという訳である。
面白いのは穴を開ける位置。
紙の上の位置ではなく、紙の角の部分。
そのため
パンチの紙を差し込むところは、
うまい具合にその角がピッタリとおさまるようになっている。
角に二つの穴を開け、そこに綴り紐を通して束ねる。
ではこの「No.630」がない時は、
どのようにこの狭い間隔の二つの穴、しかも紙の角に開けていたのだろうか。
そこで中国現地のスタッフの方を呼んで、
そこのところお聞きしてみた。
彼によると、
日本で言うところの千枚通しや電動ドリル等を使って
穴を開けていたのだという。
やや地味な新製品だが、
どこの店や会社でも伝票は使うだろうから、
これはひょっとして隠れた中国でのヒット商品となるかもしれない。
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