■ 「ペーパーワールド チャイナ 2009 レポート」 (6/6ページ)
■ 自然素材で作られたノート
この展示会には、
16ヶ国という様々な国の文具メーカーが出展している。
特に海外出展社だけをまとめたエリアというのはなく、
中国ブースの中にちりばめられた格好になっている。
だから、その国名をブースの構えから判断しなくてはならない。
その方法として、
ひとつにブースにある国旗で判断するという手がある。
しかし、私は全ての国旗を記憶しているわけではないので
これはあまりあてにならない。
そしてもう一つの方法が
その会社のウェブサイトの URL の最後にある
「.cn 」や 「.de」 等のキーワードから読み取る手もある。
しかし、このブースの URL 「www.mintara.com.eg」の「.eg」が、
どうしてもわからなかった。
イングランドもないし、
一体これはどこの国だろうとブースの方にお尋ねしてみた。
お聞きすれば、
エジプトからの文具メーカーということだった。
ブースのセンターには竹のような写真が大きく飾られ、
その下におそらくその素材で作ったであろうノートが展示してあった。
これは竹で作ったノートですかとお聞きしてみると
竹ではなく、サトウキビということだった。
80%のサトウキビそして20%のパルプでこの紙は作られているという。
紙面に鼻を近づけてみても甘い香りはなく、
ごくごく普通の紙という印象。
1冊サンプルとしていただいたので、
実際に万年筆やボールペンで書いてみたのだが、
書き味も普通の紙そのもの
さすがに一般のノートよりも価格は10%程上がってしまうという。
エコノートもどんどんと進化しているようだ。
■ 多機能な修正テープを発見!
取材も最終日の3日目となり、
3ホールあった展示会場もほとんど回り終わり
残すところあと通路にして2本となった。
いずれの通路もほとんどが一小間のブースが軒を連ねている。
最後まで気を抜くことは出来ない。
こういう結構会場の端の方にこそ掘り出し物があるものだ。
長年の展示会の経験から私はそう考えている。
さすがに3日目となると疲れが出始め、すっかり重くなった足を引きずりながら
目だけはしっかりと集中させ、各ブースを見て回っていた。
と、そこに
ひときわカラフルな修正テープを展示しているブースがあった。
ブースの中には、
所狭しと様々な修正テープが並んでいる。
私はこういう何か一筋に取り組んでいるというメーカーに好感を覚える。
早速中に入ってみると、
やはり、専門メーカーだけあり、
これまで、日本では、
見たことのないユニークな修正テープと出会うことが出来た。
私の勘は当たっていた。
おそらく、新製品であろう
メインに展示されていたものは
ボディが日本にあるものよりもかなり細長い。
修正テープを繰り出す反対側には消しゴムまで付いている。
そうか、これはボールペンであれ鉛筆であれ、
消すことに徹したものなのだろう。
私のその商品に対するまなざしに熱いもの感じたのか、
担当の女性が近寄ってきてくれた。
彼女によると、
この消しゴムは鉛筆だけでなく
修正テープを引きすぎてしまった時にも削ることもできるという。
彼女の説明はさらに続き、
修正テープの先端をカチッと手前に引き出し
何とそれクルリと回転させてみせてくれた。
すると
後ろ側に控えていた別の修正テープが現れてきた。
この修正テープには
幅の異なる2種類の修正テープが搭載されており、
消したい文字に応じて使い分けられるようになっていたのだ。
さらに驚かされたのは、
先程の2種類の修正テープはリフィラブル対応になっている。
使い終わったら新しいものに交換できるわけだ。
確かにせっかく2類あっても
いずれは途中で片方がなくなってしまう。
そのままでは無用の長物となりかねない。
2種類が使え、しかもリフィラブルなこれは
まさに多機能な修正テープと言える。
□その隣には、
円柱状になった修正テープが、
なぜだかわからないが、積み木のように高く積み上げられていた。
修正テープのキャップが筒状になっていて、
それで修正テープ同士をドッキングできるようになっている仕組み。
担当の彼女になぜ修正テープを積み積みあげるのですか?とお聞きしてみると、
これはお客さん(おそらくメーカーのことだろう)からの要望で作りましたという回答だった。
おそらくは機能性というよりも遊び感覚のためであろう。
その他、ツイストすると修正テープの先端が繰り出すタイプもあった。
日本ではノック式というのはあるが、
ツイスト式は初めてお目にかかった。
ツイストといってもボディの中央からクルリとひねるのではなく、
ボディのトップ部分だけをひねるというもの。
私の印象としては、正直あまり使いやすいものではなかった。
やはりノック式の方がスバヤク使えそうな感じ。
いずれにしても修正テープの新たな可能性を見ることが出来たブースだった。
■ ハンギングフォルダー ユーザーにはたまらない
残すところ最後の通路となり、
会場の向こう側の壁も、
もうそこまでというところまできた。
ゴール間近というところで気になるブースを見つけた。
先程は修正テープが積み上げられていたが、
今度はハンギングフォルダーが積み上げられていた。
カラフルなそのフレームは、「 P S 」という素材が使われているという。
これはスチロール樹脂というもので、
日本へ戻ってから調べたところによると、
プラモデル等でよく使われている素材のようだ。
確かに持ってみると結構軽かった。
組み立て式になっていて、
販売時には、まさにプラモデルの箱のような大きさになってしまう。
なるほどと感心してしまったのは、
フレームの前後を固定する十字の柱のようなものがあるのだが
これの取り付け位置によってフレームのサイズを変更できる点だ。
フレームの対角線上につけると A 4のハンギングフォルダー用に、
そして上の柱を下側につけると、
フレームの横幅が広がり、「F4」というハンギングフォルダー対応になる。
「F4」というサイズは初めて聞いた。
これは香港等では一般的なサイズだという。
□そして、このフレームならではなのは、スタッキングできる点。
さすがにスタッキングした状態で途中にあるフォルダーを取り出すことは出来ないが、
省スペースという点ではこれは便利だ。
最後の最後にとってもユニークな商品を見つけることが出来た。
□今回で3回目となるペーパーワールドチャイナの取材だった訳だが、
実は当初中国の文具メーカーで果たしてユニークな商品に出会えるだろうかと
多少不安な気持ちもあった。
しかしフタを開けてみると、
決して多くはなかったが
キラリと光るアイテムを取材することが出来た。
中国は「世界の工場」という表現をよくされるが、
世界の市場を相手に勝負してきているので、
そうしたものに出会えるのも不思議ではないのだろう。
まだまだどこかに似ているというステーショナリーも多く見られたが、
一方で着実に力を付けているという印象もとても受けた。
【 取材後記 】
■上海 浦東空港から上海中心街へは、リニアモーターカーで向かいました。
中国語で、「磁浮」というのは、実にわかりやすい中国語ですね。
改札にカード式の切符をタッチするとゲートが開く自動改札。
リニアモーターカーは、いかにも速そうな顔立ち。
面白いのは線路が溝状になっています。
発車し、グングンと加速を続けていきます。
そして最高時速はなんと301km。
しかしながら、
日本のようにまわりにビルが建ち並んでいるわけではないので、
その速さがあまり感じられませんでした。
ただ反対側の線路から走ってくるリニアとすれ違う時には、
さすがにそのスピードを実感できました。
300km+300kmのすれ違いは
瞬きするくらいの一瞬の出来事でした。
■こちらは、タクシーの運転席です。
中国では、一人で乗るときに
現地の人は運転席の隣に座ることが多いようです。
そのためでしょうか、
運転席のまわりは分厚いアクリルで覆われていました。
■上海の目抜き通り「南京東路」のすぐ隣りの「福州路」。
レポートでも書きましたが、ここには大きな書店、文具店、画材展がたくさん並んでいます。
ひときわ大きな書店「上海書城」。
まさにお城のような大きさでした。
こちらは福州路のステーショナリーショップ。
新しいショップなのか、他の文具店よりとても明るくきれいでした。
私はここで約200元ほど文具を買いました。
このとき、お客さんは私一人だったので、
店員さんが私の後ろでかごを持って
一緒に回ってくれました。
また、福州路から一本路地を入った所にある文具店にも立ち寄ってみました。
上海によくある典型的な店構えです。
ここで買ったのが、英雄(HERO)万年筆。
その価格、なんと7.5元(=ほぼ105円)。(もちろんスチールペン先ですが。)
ちなみにジェットストリームは1本15元でした。
【 中国で買ったジェットストリームはペントップのラインがブラックで、
なかなな精悍なデザインです。】
■展示会場でのランチは、
昨年同様もっぱらコンビニ。
ファミリーマートは中国では「全家」というそうです。
なるほど、、という漢字です。
串に刺さったおでん、そしてお弁当を食べました。
このお弁当、お肉がやわらかくて思っていたよりおいしかったです。
■最終日の夜は、今回取材に来ていた各国のプレスとの夕食会。
今回来ていたプレスは
韓国、ブラジル、ロシア、オランダ、フランス、オーストラリア、スペインと国際色豊かでした。
夕食会はもちろん中華。
今が旬の上海蟹や北京ダックなどを堪能しました。
上海蟹は、ヨーロッパ系の人たちにはやや不評だったようです。
特に、かに味噌が。
おいしいおいしい!と言ってよろこんで平らげていたのは
私と韓国の方だけでした。
中国のステーショナリー、そして中華料理と中国を満喫した4日間でした。
(2009年11月24日作成)
■ 来年2010年は9月に開催されるペーパーワールド チャイナ
2010年 9月15日〜17日 上海新国際展示場
■ まもなく開催されるペーパーワールド(フランクフルト)
2010年 1月30日〜2月2日 フランクフルトメッセ
上記展示会に関するお問い合わせは
メサゴメッセ・フランクフルト(株) TEL 03−3262−8456
info@japan.messefrankfurt.com
■ 今回レポートしたメーカーのリンク
□ トンボ鉛筆
□ コクヨS&T
□ パイロット
□ ゼブラ
□ カール事務器
□ WENZHOU YATONG STATIONERY&GIFT CO LTD
(アコーディオンファイルのバッグ)
□ TAIWAN KENTAUR CORP.
(つけペンセット)
□ FLOMO
(液体鉛筆)
□ JINHUI CLOTH MATERIALS
(本の装丁ノート)
□ ラミー
□ NINGBO WALKMART MANUFACTRING&TRADING CO LTD
(紙製のチューブスタイルのペン)
□ SHENZHEN CITY FRONT INDUSTRY CO LTD
(中国らしさのあるノート 星座、干支)
□ INSPIRA
□ OFFICEMATE STATIONERY MFG
(クリップボード付きボックス)
□ MINTRA
(サトウキビのノート)
□ FU-LINE XIAMEN INDUSTRIES CO LTD
(各種修正テープ)
□ KINGLY AGENTS LIMITED
(スタッキングできるハンギングフレーム)
<過去のペーパーワールド レポート記事 >
■ 「ペーパーワールド・チャイナ2008 レポート」
■ 「今年も収穫いっぱい ペーパーワールド2008 レポート」
■ 「 ペーパーワールド チャイナ 2007 レポート 」
■ 「ドイツ ペーパーワールド2007 取材レポート (補足)」
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