文具で楽しいひととき

■ 「ペーパーワールド チャイナ 2008 レポート」  (5/5ページ)



■ 欧米ステーショナリー

□この展示会は主催者がドイツのフランクフルトメッセということもあり、
 欧米企業の中でドイツメーカーの出展が最も多かった。

 パビリオンという形式で、ドイツ文具メーカーがまとまって出展していた。

 その中で、なんとラミーが出展していた。
 中国ではこれまで出展していなかったので、初出展ということになる。

 いよいよラミーも中国進出ということなのだろうか。

 はやる気持ちを抑えつつブースの中に入っていった。

■ いよいよラミーも中国展開を開始  

□今回の出展は
 ラミーの中国代理店である
 「華東亜州有限公司」。
 同社では、香港、マカオ、そして中国を担当している。


  


 同社の黄氏、
 そして 、ドイツ ハイデルベルグのラミー本社から
 インターナショナル セールス ディレクターの ダニエル氏も
 いらしていた。

 いい機会なので、おふたかに
 色々なお話をお聞きしてみた。


□中国といえば、
 海外のものでも、なんでも漢字にしてしまう国。
 たとえば、コカコーラも「可口可楽」としてしまう。

 しかし、今回のラミーブースにはそうした漢字のロゴは
 見あたらなかった。

 黄氏によれば、
 ラミーはすでに確立された国際的なブランド。
 そのラミーブランドを正確に中国の人たちに伝えるために
 あえて英語をメインに打ち出しているという。

 ちなみに、中国語でのラミーというのもあるそうだ。
 「凌美」という。発音も「ラミ」。

 「凌」とは、「超える」や「しのぐ」という意味。
 つまり、「凌美」とは「美しさを超える」という意味になる。
 読み方だけでなくラミーの本質もよく捉えた名前だ。


□数あるラミーのペンの中で中国ではどれが人気のあるかとうと、
 それはラミーサファリだそうだ。


  


 私たちがインタビューさせていただいている最中も
 中国人バイヤーの20〜30歳くらいの若い人たちが
 サファリに興味を示し、熱心に試し書きを行っていた。

 ラミーは、どこの国で販売するときも
 全く同じ戦略をとるという。
 彼らの販売戦略の中で、
 まずはじめにラミーを感じてもらうのが、
 サファリというシリーズなのだ。

 このペンを使ってもらい、その後さらに上のモデルが欲しくなり、
 ラミー2000などに進んでいってもらうという流れを作っているのだという。


  


 私も、まさにサファリからラミーをスタートして、その後にラミー2000、スイフトなどと
 進んでいった口である。

 ラミーの戦略通りに、まんまとはまったということになる。


□さて、今回のブースをぐるりと見てみると、
 中国だけに販売するという商品は見られなかった。
 先ほどのどの国でも同じ戦略ということが徹底しているのだろう。


    


 中には
 日本で見かけないモデルもあった。
 それは「トライペン」のステンレスバージョン。
 日本では、マットブラックタイプだけが発売されている。


  


 また、バルーン、スマイル、ロゴといったものもあり、
 ほぼフルラインナップといった感じだ。

 中国人の黄氏もいる前では、これはちょっと聞きづらかったのだが、
 せっかく本社のダニエル氏もいらっしゃったので、
 思い切って気になっていたことをお聞きしてみた。

 それは、
 コピー商品についてだ。

 中国は、まだまだコピー商品が多い。
 デザインで勝負しているラミーにとっては、
 中国市場はある意味、危険ではないのだろうか。

 ダニエル氏はこう答えてくれた。

 『確かにコピー商品がでてくることは
 ラミーに限らず多くのメーカーの心配ごとではあります。

 しかし、考え方によっては
 もし、中国でラミーのコピーが出たとしたら
 それは、それだけラミーが中国で人気があり認知された証とも言えます。

 私たちラミー商品の真のお客様は、
 決してコピー商品では満足されないと思います。
 本当にラミーが好きな方なら、きっと本物のラミーのペンを持ちたがるはずです。』

 なんと懐が深いのだろうか。
 自らのプロダクトへの自信の表れとも言えると思う。

□最後に、
 これは一般販売はしないものだが、と前置きして
 おもしろいものを見せていただいた。

 ラミーノトのスケルトンバージョンだ。
 ダニエル氏は「フロスティ」とこれを呼んでいた。


  


 これは、一般の店舗では販売されない。
 コーポレート限定のものだと言う。

 コーポレートというのは、
 企業が自社のロゴを入れて使うものだ。

 実は、このブルーフロスティは、
 デザイナーである深澤直人氏があまり好きな色ではなかったらしい。

 そこで、一般販売ではなく、
 コーポレート限定ということになったのだと言う。


  


□さらに最後に、
 今回の中国市場進出に伴って
 今後ラミーでは中国人デザイナーの採用ということはあるかを
 おたずねしてみた。

 ラミーとしては、特に国籍でデザイナーを選ぶという判断基準はもっていない。
 ラミーにふさわしいデザイナーであれば、中国でもインドでもほかのどの国でも
 今後あり得るのだという。



■ ドイツの鉛筆削りメーカー EISEN


□ドイツには、鉛筆削りメーカーが3社もあり、
 その3社が世界的にも大きな売り上げを占めている。

 これは、とりもなおさず。
 鉛筆の生産がドイツで古くから盛んに行われてきたからだ。
 ファーバーカステル、ステッドラー、リラ、スタビロなど。

 そうした鉛筆の発展に伴って、ドイツの鉛筆削りメーカーも
 発展している。

 その一社の「EISEN」というメーカーが出展していた。


  


 以前より、同社では中国進出を果たしていた。
 主には製品の組み立てを行ってきた。

 刃やボディなどはドイツで生産し、それれのパーツを中国に送り、
 組み立てのみをおこなっている。

 今回、ブースで発表していた新製品を見せていただいた。


  


 スケルトンボディが美しいフォルム。


  


 鉛筆を差し込む穴は見あたらない。
 ボディの片側を回転させることで、その穴は現れる。


    


 鉛筆削りの穴の周りというものは、
 削りかすなどがあり、それをさわると手が汚れてしまうことがある。

 こうして回転させて完全に収納してしまえば、
 その心配はない。

 また、反対側のキャップを外すと消しゴムが出てくる。


  


 あとは、主役の鉛筆を待つばかりといった、
 実に気の利いた脇役である。


  



【 取材後記 】


          
     【まるで霧でもかかったような上海の空】       【ホテルから展示会場まではプレス用のバスで】     【朝の交通ラッシュは毎日のことだそうです。】


      
  【「新聞中心」とは、「プレスセンター」のこと】         【今回通訳をしていただいた姜(じゃん)さん】      【威圧的なこの方たちは、展示会の警備員さん】


      
  【各国のプレスの方々との夕食会。みんな意外と箸の使い方が上手でした。上海の中でもヨーロッパを感じさせる建物が多い外灘エリアのレストラン。夜景がとってもきれい】


      
  【フランスから来ていた文具業界紙「ISG」の二人と】 【会場にはファミリーマートがあり、おでんまでありました。】 【空港までは時速430kmも出るリニアモーターカーで】


  ■ 来年2009年のペーパーワールド チャイナ の開催概要

    2009年 11月11日〜13日 上海新国際エキスポセンター


  ■ まもなく開催されるペーパーワールド(フランクフルト)

    2009年 1月31日〜2月3日 フランクフルトメッセ

        上記展示会に関するお問い合わせは
        メサゴメッセ・フランクフルト(株) TEL 03−3262−8453  
                            info@japan.messefrankfurt.com


<関連リンク>

 □ ペーパーワールドチャイナ オフィシャルサイト

 □ ペーパーワールド(フランクフルト) オフィシャルサイト


 ■ 「今年も収穫いっぱい ペーパーワールド2008 レポート」

 ■ 「 ペーパーワールド チャイナ 2007 レポート 」

 ■ 「ドイツ ペーパーワールド2007 取材レポート (補足)」

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