文具で楽しいひととき

■ 「ペーパーワールド チャイナ 2008 レポート」   (1/5ページ)


  


□北京オリンピックもあり
 目覚ましい経済成長を遂げている中国。

 そんな中国も、アメリカ発の金融不安の影響を受けていると
 日本のニュースで報道しているの見かけていた。

 実際に、上海の中心街を見てみると、
 相変わらず高層マンションが建ち並んでいるものの、
 確かに昨年に比べ建設中のマンションの数は少ない印象を受けた。

 特に、夜にマンションを見あげると、明かりが付いていない部屋も結構あった。
 やはり影響をうけているのだろうか。

 ただ、町中の中国の人たちに目を移すと、これは国民性なのかもしれないが
 とても活気に満ちていた。

 まだまだこれからも発展しそうなパワーを秘めているように
 私には感じられた。

 そんな中、上海で11月27日〜29日の3日間、
 文具の国際展「ペーパーワールド チャイナ 2008」が開催された。

 4回目となる今年は、23カ国から631社が出展。
 昨年が618社だったので、規模的にはさほど変わらない。

 展示会の出展社数は、ある意味その業界の景気の善し悪しをはかる
 ひとつのバロメーターとも言えるので、
 ひょっとすると、中国の文具市場がやや停滞気味なのかもしれない。

 出展社の顔ぶれは、
 その大半の80%近くは中国系の企業、
 そのほか、ドイツ、アメリカ、イタリアなどの欧米企業、
 そして、もちろん日本のメーカーも出展していた。

 今年も個人的に気になったブースを見つけ
 取材を行ってきた。


■ 注目した中国ステーショナリー


■ 小中学生向け万年筆

□展示会場は、全体で4ホールあり、
 それぞれカテゴリーごとに分かれていた。
 そのひとつ、筆記具だけを集めた展示ホールの中で
 見つけた万年筆メーカー、南昌海源筆 有限公司。


  


 1981年創業と歴史的にはそれほど古くはないが、
 万年筆一筋に製造を行っているという。

 1996年までは、中国国内市場で販売し、
 1997年からはヨーロッパや南アフリカなどの文具メーカー向けに
 客先メーカーの万年筆を作るOEMを行っている。

 確かにブースには、とあるドイツメーカーのものも展示されていた。

 万年筆の中でも同社が得意としているが、
 小中学生が使う低価格のものだ。

 プラスチックボディにスチールペン先。


  


 若い世代向けということで、
 カラフルなものが多い。


    

    


 いわば、ペリカノジュニアと同じ市場を狙った
 万年筆ということなのだろう。


    

    


 材料こそ他社から仕入れるが、
 それ以降は、自社の工場でペン先やペン芯に至るまで
 完全に自社で製造している。

 また、
 彼らがしきりに力説していたものに、
 カートリッジインクがあった。
 彼ら曰くだが、生産量は世界でもトップクラスだという。


    


 ちなみに、欧米に輸出するインクはブルーで、
 中国国内向けはブラック。
 やはり、中国は書道の墨の文化があるからだろう。
 そう言えば、我々日本でも、新品の万年筆を買うと、最初に黒インクが付いてくることが多い。


□中国国内での万年筆の市場性について聞いてみた。

 特に彼らのメインターゲットである小中学生については、
 政府の規制で小学生3年以上は、万年筆を使うように
 という一定のルールがあるとのことだが、
 それほど徹底されているわけでもないそうだ。

 こうした中国の小中学生向けの万年筆のペン先には、
 やはり、漢字を書くということで細めのFが標準になっている。

 現在、中国での万年筆市場は、やや縮小ぎみとのことだった。
 たしかに、今回のペーパーワールドチャイナの展示会会場では、
 昨年同様万年筆メーカーは10社にも満たなかった。

 筆記具の展示ホールのほとんどは、
 鉛筆とボールペンが中心だった。



      >> 次ページに続く


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