文具で楽しいひととき

■ 「ペーパーワールド チャイナ 2008 レポート」  (4/5ページ)



■ 我ら日本のステーショナリーもがんばっていた。


■ デザイン ステーショナリーがズラリ。 カール事務器 

□昨年も出展していたカール事務器。
 前回のブースでは、
 直近に東京で開催されたISOT(国際文具・紙製品展)での出展内容と
 大きくは変わらなかった。

 しかし、今回はどうだろう。
 日本で見かけない新しいプロダクトがいたる所に並んでいた。


  


 ブースの看板には、
 それを象徴するかのように
 「CHANGE」とあった。

 カール事務器が日本でも展開している「DECADE(ディケイド)」。
 その新しいラインナップが出展されていた。

□もっとも目を引いたのが、レザープロダクト。
 カール事務器としてこうした革製品を扱うのは初めてのことだと言う。


  


 このロール式のペンケース、
 7本のペンを収納するたっぷりなサイズ。

 ペンを深々と納めるこれまでのものと違い、
 よくシステム手帳に着いているペンホルダーのようなスタイル。

 ペンケースを広げた時に、ズラリと並んだお気に入りペンの
 ほぼ全身をたっぷりと拝むことができる。


  


 ブラック一色なので、きっとどんなペンも映えることだろう。

 持ち運ぶ際は、上下にかぶせがあり、
 ペンが落ちたりすることはない。

 ブラックだけというと、単調になりがちだが、
 一部には、クロコダイル調の型押しがあり、
 アクセントになっている。

 そして、これはメモ、ペン、カードを収納できる多機能ケース。


  


 一見すると、手帳カバーにしか見えないが、
 内側にペンの専用ポケットが3カ所用意されている。


  


 留め具にはマグネットが採用されているので
 不用意に開いたりしないようになっている。

 この他、書類ケースもあった。


    


 クリアフォルダーのように片側2辺が開放されている。
 センターに引かれたラインが格好いい。

 ちょっとユニークなところでは、
 携帯用灰皿というものもあった。


    


 円柱スタイルのケースには革が巻かれ、
 高級感がある。

 携帯用灰皿は、どちらかと言うと
 あまりデザイン性の高いモノがなかったので、
 デザインにこだわる喫煙者の方々にいいかもしれない。


□カール事務器お得意のデスクアクセサリー系でも
 新顔がお目見えしていた。

 まず、デスクトレイ。
 書類を入れておくものだ。


  


 これまでのものは、書類を平らにして積み重ねていくものだが、
 これは、やや斜めになったスタンドにもたせかけて
 書類を立てるというもの。

 すぐにチェックを必要とするものは、
 こうして立てておいたほうが忘れなくていいと思う。
 
 立てることで、机の専有面積も小さくて済むというメリットもある。


 次にこれは、名刺収納ケース
 ボックス型で細長いタイプと短いタイプがある。


    


 こうした名刺ボックスは、
 これまで縦に使って、手前から名刺を入れていた。
 しかし、今回のものは、横長の状態で使う。


  


 長細いタイプは2列、短いタイプは1列分、収納できる。

 おもしろいのは、ふたを閉じた状態であれば、
 スタッキングできるようになっている。


  


 ふたの表面にあるビスによって、ピタリと噛み合うようになっている。

 
□そして、カール事務器が十八番である2穴パンチ。

 手で押し込むハンドルの部分が緩やかなカーブを描いており、
 これまでの事務用にとしてのパンチとは、一線を画すなかなかのデザイン。


  


 そのセンターには、透明のアクリルのような窓がある。
 ここから、書類をパンチするときのセンター合わせをする
 のを確認できるようになっている。


  


 これらのブランド名である「DECADE」とは、10年という意味がある。

 まさに10年経っても色あせない、
 シンプルで飽きのこないデザインに仕上がっている。


□このほか「SORG」という新たなブランド展開も始まっていた。

 この「SORG」は、日本語の「創具」からきているそうだ。


  


 つまり創りあげるための道具ということだ。

 定規のようなスタイルをしているが、
 これは、見た目どおりにスケールとして使うものである。


  


 まっすぐに伸ばせば、定規として、
 回転させることで分度器のように角度も計れる。

 ケースも付属されており、設計などの仕事をされている方が
 図面の前に打ち合わせしているときに、
 これをおもむろに取り出したら、きっと注目の的になることだろう。



■ 初出展のユニオンケミカー  


  


□ユニオンケミカーという社名にもし馴染みがなくても
 30代以上の方なら、「レタリングシート」と言えば
 懐かしい思い出があるのではないだろうか。

 少なくとも、私はとても懐かしい。。

 まだ、CDなどない時代、音楽をカセットテープに録音して聞いていた。
 そのカセットに収録した曲名をアルファベットのシールを専用の工具で擦って
 転写していた。

 その「レタリング シート」をユニオンケミカーでは、
 ずっと扱い続けている。

 そもそもユニオンケミカーは、カーボン紙の専門メーカー。
 そして、現在の主力は修正テープになっている。

 「レタリングシート」、「カーボン紙」、「修正テープ」
 これらの共通点は「転写」である。
 その転写をするための特殊なコーティング技術が
 同社の強みになっている。

 特に修正テープは、
 透明の台紙に、粘着剤、剥離剤、そして我々が上から文字を書いている白いインク
 などを何層にも渡ってコーティングしている。

 カーボン紙の時代から受け継がれてきたこうしたコーティング技術が
 現在の修正テープにいかんなく注ぎ込まれているのだ。

 同社では、完成品の修正テープだけでなく、修正テープのおおもとである
 ジャンボロールというものを作って、様々なメーカーに供給している。


  


 8年ほど前から中国天津に工場を構え
 生産を行ってきた。

 作るだけでなく、販売する先としても中国を考えてみようと、
 今回、出展したのだという。

 一般的に中国でよく使われる筆記具は、
 まだまだ鉛筆が中心。

 それが、しだいにボールペンにとって代わり始めてきている。

 ボールペンを使うとなれば、
 当然、修正テープの出番も多くなる。

 今回通訳をお願いした上海在住の彼女に
 修正テープを普段使っているかと、聞いてみると、
 結構よく使っているという。

 しかし、中国のものはすぐにテープがなくなってしまい、
 使い勝手もあまりよくないそうだ。
 ちなみに、価格は2元くらいというから、30円くらい。
 日本の1/10くらいだ。

 ユニオンケミカーの担当の方いわく、
 中国人の小売店バイヤーからは、
 どこで仕入れできるか、といった具体的な声も意外と多かったという。

 10倍の価格でも日本の性能は支持されるのか、
 今後の展開が楽しみだ。



■ 上海でもジェットストリームは人気  

□上海の中心街には、福州路という文化街がある。
 ここは、大きな書店、古書店、そして文具や画材といったお店が軒を連ねている。

 展示会が始まる前に時間を作って文具散策に出かけてみた。

 小さな文具店では、やはり中国系の文具が中心だが、
 ちょっと大きめの文具専門店に行くと、
 海外のものも多く目に入ってくる。

 特にボールペンなどの一般筆記具エリアでは、
 とりわけ我らが日本文具メーカーのものがたくさん並んでいた。

 異国の地で、自分の国の文具がこうして並んでいるのを見ると、
 ちょっと誇らしい気分になってくる。

 それら日本文具のコーナーで、ちょっとおもしろかったのが、
 例えばぺんてるやゼブラなどのメーカーごとにコーナー展開されていることだった。

 それだけ中国では、
 日本のペンはちょっとステイタスの高いものと
 位置づけられているのだろう。

 そんな日本の筆記具メーカーの中で、
 ペーパーワールド・チャイナには三菱鉛筆が出展していた。

 今回出展していたのは、
 三菱鉛筆の上海エリアの代理店だった。


  


 ブースには日本でもよく見かける、
 シグノやアルファゲルなどが並んでいた。


  


 その中で、専用ディスプレイで誇らしげに展示されていたのが
 ジェットストリーム。


  


 一見すると、日本のものと同じかと思いきや、
 ブラックボディタイプが、ちょっと違っていた。

 日本のブラックバージョンは、
 ボディの一部にインクカラーを示すブルーやレッドのラインがあるが、
 これは、全くのブラック。


  


 唯一ノックボタンで色を示すのみだった。

 私は以前、そのラインが気に入らなかったので、
 マジックで黒く塗りつぶして使っていたことがあった。


  


 この中国のものなら、
 わざわざ黒く塗りつぶす必要はない。

 これは、日本でもぜひ発売してもらいたい。

 また、日本で見たことのないジェットストリームもあった。
 シルバーボディでやや太軸になっている。


  


 ラバーグリップが上下にやや張り出しており、
 その部分が、指で押し込むとフニャとつぶれる。


  


 アルファゲルまでとはいかないが、なかなか気持ちいい。

 また、ノックボタンの押し心地もふんわりとした優しさがあった。

 こうしたジェットストリームは上海でも、今人気が高まっているそうだ。


□上海でもっとも人気の高いペンをお聞きしてみると、

 2つのペンを見せてくれた。

 「ユニボール EYE」という水性ボールペン、そして
 「シグノ イレーサブル」という付属の消しゴムで消せる油性ボールペン。


  


 いずれも、日本でも販売されているものだ。

 「ユニボール EYE」は、オフィスで働く人たち、
 そして「シグノ イレーサブル」は学生を中心に人気を博しているそうだ。


        >> 次ページに続く


    >  >  > 4 >   ページ


 
 


 TOP    他の文具コラムを見る

 画像で文具コラムを探す

文具で楽しいひととき
Copyright (C) 2003 Tadashi Tsuchihashi,All rights reserved.