■ 「ISOT2009 レポート 」
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■ ぺんてる
□ぺんてるは、
日本だけでなくアメリカ、ヨーロッパなど
広く海外に筆記具を輸出していることでも知られている。
そうした輸出用のペンはデザインが海外仕様になっていて、
日本のペンにはない独特なカラーリングで
個人的にはかねてより注目していた。
しかし、日本では、そうしたペンは残念ながら手に入れることができず、
指をくわえて見ているしかなかった。
そんな中、待ってました!というペンが発表された。
それが「エナージェル ユーロ」だ。
ぺんてるを代表するゲルインククボールペン「エナージェル」。
滑らかな書き味、そして水性でありながらインクの乾きがすこぶる速いという特徴で、
日本のみならず、欧米でも人気を博しているペンだ。
今回はユーロということでシックなダークブルーのボディ。
「ユーロ」という雰囲気をボディ全身からみなぎらせている。
そして、最大の特徴は、軸がこれまでよりもぐっと細くなっているところ。
エナージェルの滑らかな書き味を
より軽やかに楽しむことができる。
エナージェルというと、これまでやや太めの字幅が多かったので、
私は宛名書きなどでよく使っていた。
しかし今回の「エナージェル ユーロ」では
日本人にはうれしい0.35mm の極細もラインナップ。
これならノートなどの普段使いのペンとして楽しめる。
もちろん、
字幅には定番の0.5mm、0.7mm、1.0mmも揃っている。
これは発売が待ち遠しい。
* 「エナージェル ユーロ」 178円 (2009年8月発売予定)
■ プラチナ萬年筆
□プラチナ萬年筆ブースで、万年筆の新作を発見した。
ISOTで万年筆が見られるブースは数少ないので、
これは貴重である。
文具の展示会で、
万年筆の展示が珍しいというのは、
なんとも寂しい話である。
さてさて、
その新作の一つがセルロイドの万年筆。
プラチナのセルロイド万年筆と言えば、
赤を基調にした通称「金魚」がある。
今回のものは、同じセルロイドでも違った色合い。
鮮やかさの中にも大人の落ち着きがあるブルー。
正式には「ミッドナイト オーシャンブルー」というそうだ。
ショーケース越しで、手にとって見ることができなかったのだが、
所々黒いマーブルらしき模様もちりばめられていた。
ボディの軸は緩やかな8角軸。
14金ペン先がついて価格は52,500円。
□そして、これはボディの中央にグルリと巻かれたリング部分を
24金の象嵌(ぞうがん)で仕上げたモデル。
象嵌とはその昔、侍の刀のつばの装飾でよく使われたものだという。
書きながら純金の装飾が楽しめるというペンだ。
14金ペン先がついて価格は31,500円。
複合筆記具『ダブル3アクション』3機能(画像右)は21,000円
□そして万年筆のインクにも新製品があった。
「本格ブルー文字用のPIGMENT INK」。
すでに店頭での発売も始まっているようだ。
これは顔料系のインクで、耐光性、耐水性に優れているというもの。
インクボトル越しから見えるその色は
紫に近いような、なんとも深いブルー。
先ほどの、ブルーボディの万年筆と合わせると良いかもしれない。
このほか、万年筆のインク消しも登場していた。
□プラチナ萬年筆では、
万年筆だけでなく、一般筆記具でも注目すべきものがあった。
それが、「耐芯構造」という名のシャープペン。
ご存知のようにプラチナ萬年筆では、
これまで「プレスマン」、「ゼロシン」等
数々の名作シャープペンをつくり出してきている。
今回の「耐芯構造」はその集大成といっていい。
「耐震」ではなく、「耐芯」であることに注目いただきたい。
つまり、芯の折れをできるだけ防ぐというものである。
この「耐芯構造」というネーミングもユニークだが、
その中心技術もさらにすごい名前が付けられている。
「オ・レーヌガード」というのがそれだ。
では、この「オ・レーヌガード」を私の理解している範囲でご紹介しよう。
シャープペンには芯をがっちりと抑える「チャック」と呼ばれる
パーツが中に備わっている。
ペン先のパーツを外すと、真鍮のような色をした
3つのパーツで芯をつかんでいるアレだ。
一般にはこれで芯をつかんで、
あとは口金のガイドパイプだけで
芯を支えるというものが多い。
今回のものでは、
このむき出しになった部分の芯を全方位包囲から支えるようにしている。
そのパーツが「オ・レーヌガード」というものだ。
今回のシャープペンでは、
その「オ・レーヌガード」構造が見えるように
ペン先がスケルトン仕様になっている。
黄色と青のパーツがそうだ。
いずれのパーツも樹脂製。
これによりチャック以降で芯が折れるのを
できるだけ防いでいるのだという。
説明いただいた方は、
このシャープペンを私の目の前でポロリと床に落として見せてくれた。
落としたペンを持ち上げ、カチカチとノックをしてみると、
中の芯は折れずにちゃんと出てくる。
なるほど、こういうメリットがあるのだ。
さらにこの「耐芯構造」には、
プラチナ従来の「ゼロシン機構」そしてプレスマンで定評のある
強い筆圧で書いても芯がクッションのように引っこむ
「セーフティスライド機構」もあわせ持っている。
こんな多機能でありながら210円というのだからアッパレだ!
□そして、この同タイプのボディには、油性ボールペンタイプもある。
さすがにこちらは耐芯では、ないのだが、
インクがとても低粘度であるのが特徴。
どうぞ試し書きしてみてくださいと、
さし出されたメモ用紙に書かせていただいた。
立ったままの不安定な筆記ながら実にスムーズな書き心地だった。
あまりにも気持ちよく書けたので
小さなメモ用紙の紙面はほぼ真っ黒になってしまった程だ。
油性ボールペンにしては、
結構な滑らかさがあるようだった。
「耐芯構造」シャープペンの影に隠れてしまうのはもったいない
油性ボールペンであった。
□続いては、紙製品のご紹介を。
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