文具で楽しいひととき
■ 「ペーパーワールド2013レポート」

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□ ジーンズ、 Tシャツを使ったコットンペーパー



 3日間の取材日程も
 いよいよ最終日となった。

 初日、二日目は
 筆記具や紙製品などが
 集中しているホールを見て回った。

 残すホールは、
 スクール用品、ギフトラッピング、画材、PCアクセサリー。

 それらをすべて
 見ていく時間はない。

 その中で
 私が選んだのはPCアクセサリー。

 というのも
 「PCアクセサリー」と書いてあるそのすぐ後に
 「ノート」というカテゴリーも併記されていたからだ。

 ホール3.1に足を踏み入れてみると、
 そこにはプリンターの用紙や
 パソコンのアクセサリーなどが
 あちこちに並んでいた。

 ところが
 私の目当てである
 ノートが全然見あたらない。

 そこで
 一本一本の通路をチェックしていくことにした。

 3本目の通路に差しかかったところで、
 PCアクセサリー カテゴリーとしては
 ちょっと場違いなものが目に入ってきた。

 ブースの前で
 大きな樽を2つ並べていたのだ。


 


 一体なにやってるんだろうと、
 樽の中を覗きこんでみると、
 白い綿みたいなものが
 水の中に混ぜ込まれていた。

 担当の人がやってきて、
 こう説明してくれた。

 「使い古したジーンズやT シャツを使って
 再生コットンペーパーを作っているんです」

 樽のすぐ横には
 ジーンズや Tシャツが裁断された布切れがあった。


 


 これらを使っているという訳だ。

 これは面白そうだと思い、
 詳しく話を聞いてみることにした。

 使い古したジーンズや
 Tシャツを細かく裁断して、
 その後は、
 基本、水だけで作るそうだ。

 樽の中に入っていたのは
 白い Tシャツから再生コットンを取り出したもの。

 「私たちの再生コットンペーパーは
 こういう風に作るんだ」と
 そのやり方を見せてくれた。

 網状のものに木枠をはめ、
 それを樽の中に沈め、
 すくい上げるとコットンだけが枠の中に残る。


  


 触らせてもらったが、
 簡単につぶれてしまうほどやわらかい。


 


 ただ、確かに
 繊維状のものがあるのがわかった。

 これを特殊な機械で水分を完全に抜くと、
 再生 Tシャツのコットンペーパーが出来上がる。


 


 再生 Tシャツで作られたとは
 思えない仕上がりだった。

 この紙は
 プリンターに通すことができ、
 出力サンプルを見せてもらったが、
 クッキリと印刷されていた。


 


 また、
 エンボス加工も可能とのこと。


 


 そして
 こちらが再生ジーンズで作った
 コットンペーパー。


 


 なるほど
 ジーンズのブルーがしっかりと残っている。

 面白いところでは
  Tシャツで作ったコットンペーパーに
 花の種を混ぜ込んだものもあった。


 


 これは樽の中に
 Tシャツのコットンを入れる段階で
 種も混ぜるのだという。

 出来上がった紙には
 しっかりと花の香りまでした。

 もちろん印刷もでき、
 印刷物として使い終われば
 花の種として使うことができる。

 紙に水を二日ほど浸し、
 土に埋めると芽が出始めるという。

 これでグリーティングカードなど作ったら
 後々花も楽しめて素敵だと思う。

 プリンターだけでなく、
 もちろんペンで書くことも出来た。


 
   紙は耐水性にもなっていた


□この「 moinho (ムイニョ)」は
 ポルトガルのメーカー。

 ポルトガルは洋服の製造が盛んで、
 製造工程で出来た余った繊維がたくさんあり、
 この再生コットンを考えだしたのだそうだ。


 


  
  リオで開催された環境サミット「 RIO +20」の手帳に同社の再生コットンが採用された。



□ 紙を使ったリングノート


 


 文具の展示会というものは、
 機械が動いたりといったことがないので、
 基本はどこのブースも静かだ。

 しかし、
 このブースはそんな中でも
 とりわけ静かだった。

 ブースには
 女性が一人立っていて、
 リングノートだけが静かに展示されていた。


 

 


 そのリングが一際大きい。

 ひとつのリングが
 縦3〜4cm 横1.5cm くらいはある。


 


 実は
 このリングは紙で作られている。

 紙と言っても、
 フニャフニャと柔らかいものではなく、
 しっかりとした硬さがある。

 リングが紙であることの最大のメリットは、
 ノート全てが紙なので廃棄が楽であること。

 廃棄の際に
 リングと紙を解体する必要がない。

 また、販促物としても最適な面がある。

 ノートを販促物にする場合に
 一般的には宣伝文句は表紙に印刷される。

 このペーパーリングなら、
 その大きなリングにも
 広告が掲載できる。

 ノートを開いて使っている時にも
 広告メッセージが伝えられる。


 


 ノートの見開き性もなかなかよかった。


 



□ ノートの中にペンを隠す


 


 日本ではまだ見たことのない
 デザインノートを展示しているブースがあった。


 


 その一つのノートを開いてみると、
 なんと中にボールペンが隠されてるではないか。


 

 


 常々私は
 ノートとペンはいつも一緒にいるべきだと考えていたので、
 このノートにはとても共感してしまった。

 徹底してるのは
 そのボールペンのスペース。

 ボールペンの形に合わせて
 ノートの中が型抜きされている。

 ただ上の方は開放されているので、
 ペンの取り出しやすさは
 しっかりと確保されている。


 


 さらに驚いたのは、
 ノート開いたまま逆さまにしても
 ペンは落ちない。


 


 よく見ると
 ボールペンスペースの右下の方に
 わずかに出っ張りがあった。


 


 このスペースは、あくまで
 このボールペン専用に型抜きされたものなので、
 他のペンは収まらない。

 ノート部分にはミシン目があり、
 メモパッド風に使っていく。

 どうしても綴じ部分にペンがあるので、
 紙の裏面に書くということは出来ない。

 表紙を閉じている時は
 手帳やノートのようだが、
 あくまでメモパッドとして使っていく。


□また、
 ペンが隠されてはいないが、
 これもノートとしっかりとセットされていた。


 


 表紙の綴じ部分には
 トンネルのような膨らみがあり、
 その中にペンが収まっている。


 


 このトンネルは紙だが、
 厚い紙で作られており強度は十分。


 


 このスタイルなら他のペンも使えそうでは?と
 尋ねてみると、
 予めセットされるペンのみだという。

 クリップのはさみ具合により、
 セットしてもスルスルとはずれてしまったり、
 ペンが長すぎると誤ってノックボタン押して、
 ペン先が出てしまいポケットを汚してしまい
 かねないからだという。

 セットされているペン( Senotor社)は、
 そうした観点がクリアされて安心して
 使うことができるものだという。

 日本での代理店はまだない。





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 * 最後の6ページ目は、取材後記です。

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