「 ISOT2011 レポート 」 5/5 ページ
■ カール事務器
今回、日本文具大賞の機能部門を受賞した
カール事務器の鉛筆削り「Angel 5」。
この「Angel 5」は新製品ではなく、
1963年に発売された50年ものロングセラー商品。
メタルボディには、
2穴パンチの「アリシス」でも採用している上質な塗装が施されているが、
基本となる構造は当時からほとんど変わってないという。
特に刃は、何十年も前のものも今でも現役で
全く問題なく使えるという耐久性がある。
この「Angel 5」では鉛筆の削り仕上げにもこだわっている。
カール事務器は
「シャープライン」と呼ばれる削り仕上げの設定になっている。
これは鉛筆の芯先からのラインが
少しばかり弓なり状に反ったように鋭く削る設定。
日本語という画数の多い漢字を書く時に、
この方が芯先が尖って書きやすくなる。
*カール事務器 Angel 5 プレミアム 2,100円。 ロイヤル 2,625円。
■ スタンテック
回転印をはじめ、
数多くのスタンプを作り続けているシャイニー。
そのシャイニーでは、
数年前からシーリングスタンプを日本でも展開している。
今回、そのシーリングスタンプに新しいものが登場していた。
これは内部機構に「二重てこ」を搭載したモデル。
シーリングスタンプはギュッと握って刻印を作るため、
結構な力を必要とする。
その力を軽減してくれる。
実際にシールを押してみたが、
確かに軽く押してもしっかりとした刻印が作れるようになっていた。
また、スタンプでは
自分で消しゴムのスタンプが作れるというものがあった。
これまでも、消しゴムはんこがつくれるというものはあったが、
今回のものは、シャイニーならではの回転印になっている点が新しい。
彫刻刀もセットされているので、
これでオリジナルの回転印をつくることができる。
* エンボッサー 8,400円〜26,250円
*消しゴム回転印が作れる「パタンポンスタンプ」 2,200円〜2,600円
■ シード
消しゴムメーカーのシードブースで、
商品ではないが、
思わず目をとめてしまったものがあった。
それは、消しゴムによるカーヴィングの作品。
よくフルーツカーヴィングといって
パイナップルなどのフルーツを美しいオブジェのように
カットするというアートがある。
そのカーヴィング アーティストの方に
消しゴムを素材として提供したところ
このような美しい作品を作ってくれたという。
消しゴムには、到底見えない美しい出来栄え。
消しゴムは適度に柔らかく刃が入りやすいので、
こうした細かな加工に適しているのだという。
それにしてもすごい。
これは、もはやアートの域に達している。
■ 日東電工
最後にこちらも最終商品ではないが、
今後のデジタルペンの行方に
大きな影響を及ぼしそうな技術が展示されたので、
ぜひご紹介しておきたい。
これは手書きしたものが
デジタル化されていくという技術。
それ自体はこれまでも
いろいろなメーカーから出されていた。
今回この日東電工のものが新しいのは、
ペンを選ばないという点だ。
つまり、
自分のお気に入りのペンを使って
デジタルデータ化して保存できるというメリットがある。
原理は紙の回りにある枠から光が出ていて、
反対側でそれを受け取るという仕組み。
厳密にいうと、
四角いフレームの上と右側から光が出ていて
その反対側で受け取っている。
枠の中にペンで書くとその光を遮断する。
その座標軸をもとに、
デジタルデータ化していくというものらしい。
紙も特別なものではなく、
いつものものを使うができる。
試しにちょうど持っていた万年筆で書いてみたが、
しっかりと認識してくれた。
この技術を開発した日東電工は
粘着テープなどを製造する材料の専門メーカー。
今回の技術を自らデジタル文具として商品化するのではなく、
他のメーカーに技術提供していくことを
考えているという。
ペンも紙も選ばず、
自由に書いてデジタル化できる世界かもすぐそこまで来ている。
(2011年7月26日 作成)
■ 関連リンク
□ デザインフィル
□ リヒトラブ
□ キングジム
□ 欧文印刷
□ プラチナ万年筆
□ クロコラボ
□ K-DESIGN WORKS
□ メタフィス
□ カール事務器
□ スタンテック
□ シード
□ 日東電工
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