■ 「ペーパーワールドチャイナ2007 レポート」 (4/4ページ)
■ 日本の出展社もがんばっていた。
我らが日本企業は、今回20社ほど出展していた。
その顔ぶれは、大きく2種類に分けることができた。
一つに、文具を製造するために必要なパーツ専門メーカー。
例えば、テイボー、オーベクスといったマーカーのペン先メーカーや、
大平などのペンの精密部品メーカー。
割合としては、こうしたパーツメーカーの方がやや多い印象だった。
日本にとって中国市場はまだ完成品というよりも、むしろ
中国メーカーへのパーツの売り込み市場といった色合いが強いようだ。
完成品メーカーとしては、
プラチナ萬年筆がブースを構えていた。
同社は、13年前に現地法人を設立して、早い段階で中国市場に進出していた。
ちなみに、プラチナ萬年筆は中国では「白金牌」という社名になっていた。
確かにプラチナは、白金だ。
上海に工場を持っており、
そこでは、日本でも人気のある低価格万年筆プレピーなど様々な筆記具を
製造しているという。
プラチナ萬年筆の商品の中で、特に中国でよく売れているのは、
ホワイトボードマーカーと筆ペンなのだという。
日本でのプラチナ社の売れ筋とは明らかに違う。
一般筆記具のボールペンは、中国にはそれこそ星の数ほどの大小のメーカーが存在し、
そうしたメーカーとの価格競争にはあえて踏み込まずに、
技術力を必要とするペンに特化したと言うことなのかも知れない。
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また、カール事務器も出展していた。
こちらもプラチナ社同様
上海に12年前に進出して、現地に自社工場を持っている。
出展されていた製品はおおかた日本でも見かけるものが多かった。
なにか中国ならでは商品はありませんか?とおたずねしたところ、
見せていただいたのが、鉛筆削りだった。
これは、日本でも過去永らく生産販売していたのだが、
すでに廃盤になってしまったものだという。
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現在では、中国をはじめアジア市場で大変よく売れているそうだ。
特別アジア仕様というわけではないのだが、
鉛筆をくわえる部分にガードがなく、鉛筆に跡が残ってしまう。
日本市場ではそうしたことを気にするということで販売しなくなったのだそうだ。
昔ながらの鉛筆削りといった無骨なスタイルだが、
メタルのボディで、なかなか勇ましいスタイルだった。
改めて日本でも販売したら、そのクラシカルさが返って新鮮に映って
結構人気が出るかも知れない。
□発展著しい中国を舞台に開催された今回のペーパーワールドチャイナ。
今回私は文具全般というよりも、デザインステーショナリーに的を絞って取材をした。
その際自分で決めたのは、
自分がお金を払っても良いと思えるデザインであるか、という基準だった。
残念ながら、その多くはどこか何かに似ているというものばかりだった。
しかし一方で、これは!と思えるデザインや
今はそうでなくとも、その可能性を秘めていると感じさせるものも
数こそ多くはなかったがいくつか見ることができた。
展示会取材の合間を縫って、上海の町にも出向いてみた。
その中で、一番興味深かったのは「泰康路芸術街」という町だ。
そこはニューヨークのSOHOのようなクリエイターによる作品を展示していたり、
雑貨など様々な商品が販売されている一角である。
今の中国の経済発展とはまた違った活気に満ちていた。
それは、若い世代が中心になって、中国ならではのオリジナルデザインを作ろうという
息吹のようなものだったと思う。
来年の北京オリンピック、そしてその翌年の上海万博もある
そうした経済発展を背景に、中国の若い世代のデザイン感覚がさらに加わっていけば、
中国ならではのデザインステーショナリーというものがたくさん見られる日も
それほど遠い先ではないかもしれない。
数年後には、またさ違ったステーショナリーが見られそうな
そんな余力みたいなものを強く感じる中国取材だった。
(2007年12月18日 作成)
■ 来年2008年のペーパーワールド チャイナ の開催概要
2008年 11月27日〜29日 上海新国際エキスポセンター
本展に関するお問い合わせは
メサゴメッセ・フランクフルト(株) TEL 03−3262−8453
info@japan.messefrankfurt.com
<関連リンク>
■ 「ペーパーワールド・チャイナ2012 レポート!」
■ 「ペーパーワールド2013レポート」
□ ペーパーワールドチャイナ オフィシャルサイト
□ 上海利明工芸品有限公司
□ HAOLILAI GOLD PEN
□ Accentra社 (Paperpro)
□ 白金牌 (プラチナ萬年筆) *中国語
□ カール事務器 (ワールドワイドサイト)
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