■ その113 「オーストラリアで買ってきたラミー」
オレンジ サファリのボールペン
ロゴ 単色ボールペン (ヘアライン)
ロゴ 3色ボールペン
ロゴ 万年筆
□前回は、オーストラリアで買ってきた文具の中で、
ノート売場やファイル売場などいわゆる一般の文具売場で
見つけたもの中心にご紹介させていただいた。
そうした一般文具売場以外に、文具屋さんに行ったら
忘れてはいけないのが、
ガラスのショーケースのある高級筆記具売場だ。
今回のオーストラリアの文具店めぐりでも
しっかりと、そしてじっくりと時間をかけて
それこそショーケースのガラスに鼻が付くくらい見てきた。
そんな中で、日本の店頭であまり見かけないラミーのペンを4本ばかり買ってきた。
■ サファリ オレンジのボールペン $35 (3,115円相当)
サファリが世に出てから25周年という節目に発売された
言わずと知れたオレンジサファリ。
今回買ってきたのは万年筆ではなく、ボールペン。
帰国後、ラミーの輸入元さんにこのオレンジのボールペンのことを
お聞きしてみると、どうやらある国だけの限定モデルとのことだった。
オーストラリアで売っていたので、これはオーストラリア限定と言って
差しつかえないだろう。
お恥ずかしい話だが、サファリの万年筆は何本も愛用しているのだが、
ボールペンを手に入れるのはこれがはじめてだった。
万年筆と同じように、グリップはごっそりとえぐられたようになっているのだが、
万年筆ではそれが2ヶ所なのに対して
ボールペンはそれがグリップの外周ぐるりと3ヶ所あった。
ボールペンは万年筆と違ってペン先の向きを自由に変えられるので
当たり前と言えば当たり前だ。
オレンジの万年筆は全身総オレンジ色で身を包んでいるが、
ボールペンの方はノックボタンとペン先、つまりペンの両端が
ブラックパーツになっているので、
全体の印象がぐっと引き締まって見える。
はれて、オーストラリアでしか手に入らない限定モノを手に入れることができた。
家族の反対を押し切って半ば無理やりシドニーに立ち寄ったので、
私はこのオレンジのボールペンを手にして、密かに胸をなでおろしたのであった。。
■ ロゴのペン諸々
単色ボールペン (ヘアライン) $39.5 (3,516円相当)
3色ボールペン $69.5 (6,186円相当)
ロゴ 万年筆 $69 (6,141円相当)
さらに、日本では正式には発売されることがなかったという
ロゴのペンがズラリと並んでいるのを発見した。
10種類近くあったので、思い切って全部買ってしまうかとも思ったのだが
理性を働かせて、単色ボールペン、3色ボールペン、そして万年筆の3本に
とどめることにした。
うわさには聞いていたが、ロゴは実にラミーらしい無駄を省いた
いいデザインをしている。
ボディはステンレスであることを包み隠すそぶりも見せずに
ただただステンレスらしさをむき出しにしたような感じ。
まっすぐの筒を思わせるスラッとしたボディラインの中で
ひときわ目立っているのが大きく張り出したクリップだ。
このロゴのクリップの作りこみが大変手の込んだものになっているので
ここは少し詳しく触れてみたい。
まず、ラミーのクリップの十八番と言ってもいいと思うが
バネ式が採用されている。クリップの付け根ががちがちに固定されているのではなく
中にバネが仕込まれていているというものだ。
このバネ式のいいところは、クリップの付け根をぐいと押し込むとクリップが楽々
ひろげることが出来る点にある。
シャツの胸ポケットにペンを指すときなんかに
とてもスムーズに出し入れすることができる。
ペンのトップ部分を見てみると、クリップの付け根を押し込みやすくするように
クリアランススペースが確保されている。
さらに、ぐっと目に力を込めてその隙間をじっと見つめていると
小さなバネが見える。
バネ式クリップと言えど、バネが見えないタイプが多い中で
これは大変興味深い。
さらに、このクリップはボールペンにおいては、ノックボタンの役割も担っている。
ノックをすると、クリップまでもがそれにあわせて上下に動いてしまう。
これにはちょっと戸惑いを感じた。
と言うのも、
ノックするたび、クリップとボディの接点がこすれてしまうからだ。
しかし、さすがラミー、そこらへんは計算済みのようで
クリップの先端の裏側を見てみると、パチンコの玉を小さくしたようなものが
先端にかしめてある。
これにより、少しのひっかかりも感じることなくスムーズにノックができる。
このように実に色々と楽しませてくれるクリップなのだ。
せっかくなので、各3本の特徴を簡単にご紹介しておきたい。
■ ロゴ 単色ボールペン (ヘアライン加工)
今回手に入れた3本のうち、唯一プラスチックパーツのない
オールメタルで覆われたモデル。
胴軸には、ラミーお得意の上質なヘアライン加工が施されている。
ヘアラインに沿って指先を滑らすと、スルスルとすべり、
ヘアラインに対して横に滑らせようとすると、ぎゅっと指先がホールドされる。
さらにグリップにはリング状のくぼみがいつくもあり筆記時の確かなホールド感を
味あわせてくれる。
ノックボタンを押し込むと、カチッとかなり威勢のいい音がする。
■ ロゴ 3色ボールペン
先ほどの単色ボールペンのヘアライン加工に対して
こちらはステンレスらしさあふれる潔いスタイル。
ボディの太さは単色ボールペンと同じ。
よくもこんなスリムなボディに3色ボールペンを入れられたものだと
感心してしまう程。
各色のボールペンの出し方は、ラミー2000の4色ボールペンと同じ
「振り子式」が採用されている。
そもそも、なぜ振り子式と呼ぶかというと
ボディの中におもりが入っていてそれが振り子のように振れて
いるからだそうだ。
参考までに、ノックボタンを押し込まない状態で
ペンを耳元に近づけてゆっくりと回転させてあげると
カチ、カチとペンの中で振り子が動いている音が聞こえてくる。
ノックボタンのふちには、ブルー、レッドのマークがあるので、
ラミー2000同様に出したい色のマークを上にして
ノックをすればいい。
ちなみに、そのマークが上になっている状態で
ペン先は一体どうなっているかと言うと
そのマークのペン先は必ず下側にくるようになっている。
つまり、先ほどの振り子が胴軸の中でコロンと下側に転がり
それをノックボタンでもって押し込むと
下側にあるペン先がとびだすという仕組みなのだ。
3色目の色ブラックの出し方がラミー2000とは違っている。
ラミー2000ではクリップを上向きにしていたが
ロゴでは、その逆でノックボタンの真裏を上にする。
確かに、そこにはブラックのマークらしきものがあるようだ。
そもそもノックボタンがブラックなのでちょっとわかりづらい。。
■ ロゴ 万年筆
ボールペンのようにペン先が露出されていないので、
ボディのシンプルさというものがより強調されている。
そんな中で気になるのが、ペン先にキャップをした状態なのに、
デコボコしたグリップ部分が1/3ほど露出されたままとなっている点だ。
普通ならキャップを閉じると、
グリップ部分はすっかりと隠れてしまうものなのだが。。。
これは、きっとデザイン的にあえてこうしたのだと思う。
もしこれを全て覆い隠していたら、全体的にのっぺりとした印象に
なってしまったことだろう。
先ほどのロゴのボールペンたちと並べてみると、
なるほど、このデコボコグリップが少しだけでも見えていることで
確かに同じ血が流れているということがひと目でわかる。
ペン先はサファリにも使われているラミーお馴染みのもの。
ステンレスのボディに、同じくステンレスのペン先がとってもマッチしている。
万年筆にしては、軸がかなり細いが
キャップを尻軸にさして書けば、かなり長めになるので
心細さはなくゆったりとした筆記を満喫できる。
□ラミーのペンは、もう十分というくらいたくさん所有しているのに
自分の持っていないモデルに出くわすと、
ついつい欲しくなってしまう。
他のペンブランドだと、そのブランドを象徴するような
クリップがあって、あとは軸が太かったり細かったりという
ラインナップが多いように思う。
しかし、ミーのペンは一本一本全く違うデザインをしていて、どれも個性的。
それでいてラミーっぽさがすごく感じられる。
そこらへんがラミーの魅力のひとつなのだと思う。
(2006年8月29日作成)
*日本円の参考価格は私が購入した2006年8月時点の
オーストラリアドルの為替レートの89円をもとにしています。
□ ラミー その他のコラム
■ 「地球に優しいスリムボディ」 ラミー スピリット ペンシル
■ 「使うほどにわかる計算しつくされたデザイン」 ラミー2000 ペンシル
■ 「ラミーらしさあふれる新作」 ラミーピュア
■ 「ようやく手に入れたラミー2000万年筆」
■ 「蛍光マーカーが飛び出す多機能ペン」 ラミー ピックアップ
■ 「気分をあわせて、グリップを着替える」 ラミー アクセント 万年筆
■ 「水性ボールペンの魅力が存分に味わえる」 ラミー スイフト SWIFT
■ 「アルミをまとったシンプルペン」 ラミー ティポ AL
■ 「カチカチ音をたてない4色ボールペン」 ラミー2000 4色ボールペン
■ 「がしがし使えるカジュアル万年筆」 ラミー サファリ万年筆
■ 「落書きという名のシャープペン」 ラミー ペンシル0.7mm スクリブルブラック L186A
■ 「スイッチのようなクリップのペン」 ラミー エナジー(vivo)