■ 「ISOT2008(国際 文具・紙製品展) レポート」
■石で作られた紙 (ViaStone)
紙はこれまで木材で作られるものだった。
台湾に本拠をおくViaStoneでは、
木材ではなく石を原料とした紙が展示されていた。
「石で作られた紙」と言うと、
なんとなく、色は灰色で、ちょっとザラザラしてという感じがする。
そう、「ロゼッタストーン」のようなイメージが頭に浮かぶ。
しかし、そうしたイメージを見事にくつがえすものだった。
実際にその紙を触ってみたが、
石っぽさは微塵もなく、全くもって紙そのものであった。
感触は、防水メモなどによく使われるユポ紙というものがあるが、
紙質としてはとても近い。
一体どのようにして石からこうした紙が作られるのか、スタッフの方にお尋ねしてみた。
今回の紙は石灰をベースに作ったものだそうだ。
しかし、基本的にどんな石でも紙をつくれるという。
石灰を選んだのは、世界中どこにでも手に入り、
畑に米たり、白線を引く時など、我々の日常でとても馴染みのある石であるということと、
石灰を使うことで、完成品の紙を真っ白にできるという点があるからだ。
作り方をわかりやすく言ってしまうと、
石灰の炭酸カルシウムと繊維状の高密度ポリエチレンを合成するのだという。
当然、木材を使わず、しかも生産工程でも一切水を使わずに済むという
大変に環境にやさしい紙なのだ。
用途としては、紙皿、紙コップ、パッケージ用の紙をはじめ、防水性に優れているため、
登山用の地図など幅広い活用が期待されている。
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もちろん、筆記もしっかりとできる。
水性インク系はインクをはじいてしまって向かないが、
鉛筆や油性ボールペンでの書き味は滑らかでなかなかのもの。
この書き味も、先ほどご紹介した防水メモのユポ紙にとても似ている。
一方、石ということで一般の紙に比べてやや重みがある。
そして、熱に弱く100度〜110度で変成してしまうという特性も持っている。
そのためトナーやレーザーなど高熱を使うものには適さない。
用途は限られるが、
環境にやさしいということで、今後色々な分野での活用が見込まれる紙だ。
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