文具で楽しいひととき

■ その98 「ようやくわかったこのシンプルな良さ」 トンボ デザインコレクション ZOOM 980 3,150円
                                            

  トンボ デザインコレクション ZOOM980 水性ボールペン


□私は、これまでたくさんのトンボ デザインコレクションのペンを手に入れて
 使ってきた。

 細身のボディのZOOM707から始まり、機械の工具を思わせるXPA、
 葉巻の様なハバナなどなど、

 このデザインコレクションの中で、存在自体はずっと知っていたのだが、
 何故か、触手が伸びなかったのが、このZOOM 980。

 斬新なデザインの多いデザインコレクションの中にあっては、
 どうしてもちょっと地味で目立たない存在だった。

 それが、つい先日、デザインコレクションのサイトを何とはなしに眺めていたら
 これまで感じなかった新鮮な驚きがあった。
 ひと際シンプルなデザインが突如として格好よく見え始めたのだった。

 これまで、何度も見てきたはずなのに、 これは一体どうしたことだろう。。。

 思い立ったが吉日、その2日後にはZOOM 980を手に入れた。


  トンボ デザインコレクション ZOOM980 水性ボールペン


□ペンのボディと言うと、両サイドが少しばかり細くなっているフォルムが
 一般的には多いように思う。

 このZOOM 980は、ペンの端から端までスラッとしたストレートラインになっている。
 ただ、1点だけストレートでないところがある。

 文具店のショーケース越しに眺めている時には、全然気づかなかったのだが、
 グリップがほんのわずかだけ、緩やかにへこんでいる。


  トンボ デザインコレクション ZOOM980 水性ボールペン


 握ってみると、このへこみなかなか気持ちよい。

 ボディには、アルミが使われていて、表面にはデザインコレクションで
 お馴染みのザラザラとした塗装仕上げになっている。

 他のデザインコレクションと同じようにブラック色したグリップは
 ラバーかと思いきや、これはボディと同じアルミ製になっていた。


  トンボ デザインコレクション ZOOM980 水性ボールペン


 ラバーではないものの、先ほどの緩やかなへこみも手伝って
 指先でしっかりとホールドすることが出来る。


□ストレートボディと言うと、デザイン面においてなかなか特徴が
 出しにくいところだが、ZOOM 980では両エンドにうまいこと変化をつけている。

 キャップエンドは、斜めにカットされていて、
 まるで、靴の裏面にあるソールのようなデコボコしたプレートを付けている。


  トンボ デザインコレクション ZOOM980 水性ボールペン


 もう一方の尻軸は、ガクンと一段細くさせている。


  トンボ デザインコレクション ZOOM980 水性ボールペン


 もし、両エンドがスパッとまっすぐに切られたような仕上げだったら、
 もっと、味気ないデザインになっていたことだろう。


□キャップ式のペンでは、筆記する時に
 キャップを尻軸にさすかどうかは、賛否両論あるところだと思う。

 ケースバイケースだが、私は
 どちらかと言えば、キャップをささない派である。

 それは、キャップをさすと、書くときの重量バランス、そしてデザイン上の
 バランスという両面で、それぞれのバランスが崩れてしまうことが多い
 という理由からだ。

 だが、このZOOM 980に限って言えば、 断然、キャップをさした方がいい。


  トンボ デザインコレクション ZOOM980 水性ボールペン


 筆記時の重量バランスについては、
 短いキャップが功を奏して、キャップ側が重くなることはなく
 とても快適にペンを走らせることができる。

 もう一つのデザインのバランスという点からみると
 ボディから少しの段差もなくキャップへとつながっているので、
 ZOOM 980のデザインコンセプトであるストレートラインが
 筆記体勢に入ってもしっかりと保たれるのである。

 それと、私は結構これはこだわっていることなのだが、
 このボディとキャップのつなぎ目がフラットになっていることは
 書くときにとても重要だと考えている。

 この段差がかなり大きいペンだと
 書いているときに、親指と人差し指の付け根に、
 その段差がこすれてしまって、
 落ち着いて筆記に集中できなくなってしまうからだ。


  トンボ デザインコレクション ZOOM980 水性ボールペン


□このZOOM 980は水性ボールペンになっている。

 日本では、油性ボールペンやゲルインクの影に隠れがちな存在だが、
 筆圧をそれほどかけずともインクがよどみなく出て
 サラサラと書けるので、ちょっと長めの文章を書くときなどには
 最適なペンだと思う。

 私は、原稿を書くときには万年筆か水性ボールペンを使うことが多い。


  トンボ デザインコレクション ZOOM980 水性ボールペン


□遅ればせながらこのZOOM 980をようやく手に入れた。

 でも、冒頭で申し上げたように、色々なデザインコレクションを味わった後だったからこそ、
 このZOOM 980の持ち味である
 シンプルさやバランスの良さといったものがしみじみと感じられたのかも
 しれない。

 3,150円とデザインコレクションの中でも、比較的手ごろな価格ではあるが
 意外に、これは上級モデルと言えるかもしれない。


  トンボ デザインコレクション ZOOM980 水性ボールペン


(2006年1月24日作成)
 
  ■ トンボ デザインコレクション ズーム980 はこちらで手に入ります。

  ■ こちらでも手に入ります。





【トンボ デザインコレクション その他の評論】  

 ■ 「ナナフシのようなペン」 トンボデザインコレクション Zoom 707

 ■ 「葉巻のようなペン」 TOMBOW デザインコレクション HAVANNA


 ■ 「ここまで来たか 日本のデザイン」  TOMBOW デザインコレクション XPA

 ■ 「アルミ削りだしのペン」 トンボ デザインコレクション Zoom2000


【関連リンク】

□ トンボ デザインコレクション オフィシャルサイト

□ ブンキチさんのブログでも、ZOOM980が詳しくレポートされています。


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