文具で楽しいひととき
トンボ鉛筆
MONO100
鉛筆は優しい。
書き味がサラサラと優しいし、値段も懐に優しい。国内外の最高峰を選んでも200円を出せば、おつりがかえってくる。万年筆の深みにはまるとこうはいかない。その鉛筆には色々なブランドがある。人に個性があるように鉛筆にもブランドごとに結構ハッキリと個性が打ち出されている。これまではなんとなく雰囲気で選んでいたりしたが、一度腰をすえて自分に合う鉛筆を選んでみようじゃないかと思うようになった。
私は鉛筆を手にすると手と脳が一本の太い線で繋がったかのような一体感を覚える。ノックをすることもキャップを外すこともなく、手にしたら、すぐに書き出せる直感性に優れているので、脳とのつながりが感じられるのだろう。より自分好みにあう鉛筆を手にすれば、そのつながりもさらに強固なものになる(はず・・・)。
■ 気になる鉛筆を買って試してみた
私は、やや濃く書ける2Bが好きなので、2Bで気になる鉛筆を買い集めてみた。
・三菱鉛筆 ハイユニ
・トンボ鉛筆 MONO100
・ファーバーカステル カステル9000
・ステッドラー マルス ルモグラフ
なんとなく使いながら自分の1本を選ぶより一度こうして全てを買い集めて比較検討して白黒ハッキリ付けたが方がいい。1,000円くらいはかかるが、すぐに自分好みの鉛筆と出会える訳だから、時間を買ったと思えばいい。人生の折り返し地点をすでにまわっている私はこの先使い切れる鉛筆の本数も少ないので。。
鉛筆は売り場では削られていない状態で売られているので、店頭での書き味比較はしにくい。たまに削った状態で試し書きをさせてくれる売り場も見かけるが、やっぱり自分のものにいったんしてからでないと、本当の意味での比較検討はできないと個人的にはそう思っている。自分の机、ノート、そして自分の時間の中で書いてみないことにはわからないものだ。
■ 同じ2Bでも書き味は結構違う
さてさて、4ブランドの鉛筆をいつもノート代わりに使っているスケッチブックの上で走らせみた。
筆跡の具合もあとで確認できるよう紙面を予め四等分してそれぞれを書き込んでみた。
やってみるとわかるが、同じ2Bという硬度であってもブランドごとにその書き味は大きく違う。書き心地だけでなく紙の上に作られていく筆跡の濃さもかなり違う。それぞれの私の印象はこうだ。
一番滑らかに書け、筆跡もより濃かったのはハイユニ。
濃く力強い筆跡になるので、ポスト・イットにアイデアを書き出すといった用途に合っているように感じた。次に滑らかだったのは、MONO100とルモグラフだった。
この2本をひたすら書き比べてみると私の手にはMONO100の方がわずかに滑らかさがあった。その違いをあげるとすれば、MONO100の方が書いた時のタッチにオイルが含まれているような感触があった。
そして、最後がカステル9000。
これ本当に2B?と思ってしまうくらい硬質な書き味だった。間違ってHBを買っちゃったかなと思ったくらいだった。カステル9000は、書き込んで芯先が少し丸くなっても芯先のいいところを探って書くと、細い筆跡で書き続けられる良さがあった。表に細かく書き込むといった時に便利そうだ。このように同じ2Bでもこれだけの違いがある。
どのブランドがいいということではなく、自分の手に、そして脳とのつながりが一番感じられるかで決めればいい。私の場合は、あまりやわらかすぎない方がしっくりとくるので、普段使い鉛筆としてMONO100を選んだ。
自分にはこれが一番合うということがわかった上で鉛筆を使えるのはうれしい。手帳の時もそうだが、もっといいのがあるかもしれないと余計なことを気にしながら使っていても仕事に集中できるはずもない。今ではMONO100を手にすると私の意識からMONO100の存在が消えてしまう。どういうことかと言うと、MONO100を使っているのを忘れてしまうくらい脳が集中状態になるということだ。
存在が消えてしまう鉛筆。これこそ、私にとっての理想の「脳直結」鉛筆である。
□ トンボ鉛筆 MONO100 2B(単品)は、こちらで販売されています。
□ 三菱鉛筆 ハイユニ 2B (単品)
□ ステッドラー ルモグラフ 2B 1ダース
□ ファーバーカステル カステル9000番 2B 1ダース
*鉛筆 関連コラム
「鉛筆を愉しもう」
鉛筆の削り仕上げを自分好みにする」 肥後守
「やっぱり鉛筆。」ファーバーカステル UFOパーフェクトペンシル
「老舗文具屋さんのシンプル鉛筆」 伊東屋 イートンペンシル
「何かと便利な鉛筆」三菱鉛筆 赤青鉛筆
「美しく、そして精密な補助軸」ROSETTA 補助軸
文具コラム ライブラリー
pen-info SHOP