文具で楽しいひととき
スタビロ
スマートグラフ
聞くところによると、アメリカではシャープペンの後に付いている消しゴムをよく使うという。
そのせいかアメリカでは、シャープペンの消しゴムのリフィル単体がスーパーあたりでも普通に売っているそうだ。日本では、シャープペンに付いている消しゴムを使うということは、あまりない。あくまでも緊急用といった位置づけだ。
では、アメリカではなぜよく使われているのか。それは鉛筆、中でも「消しゴム付き鉛筆」に理由があるようだ。そもそもアメリカでは「消しゴム付き鉛筆」が大変普及している。この消しゴム付き鉛筆を使う時というのは、まず鉛筆側で書く。そして、消す時は鉛筆を逆さまにして消しゴム側でゴシゴシとこする。
この書いてはペンを逆さまにして消すというスタイルがすっかりと浸透してしまっているので、鉛筆がシャープペンに変わったところで、そのスタイルは変わらず、シャープペンの消しゴムをよく使うということになったのだろう…きっと。
そうしたアメリカの人たちほどではないけども、私は、日本人にしてはシャーペンの消しゴムをかなり使う方だと思う。
ペンケースから消しゴムを出すのが面倒くさくて、シャーペンの後ろ側でついつい消してしまう。だから、シャープペンを買う時には、消しゴムがちゃんとついているかを必ずチェックする。その点でいうと、このスタビロのスマートグラフは消しゴムの位置付けがとても大きくなっているのが特徴。
そうは言っても、シャープペンなので、まず「書く」ほうから見ていくことにしよう。
■ ツイストした凹んだグリップ
スタビロのペンでは、もはや定番となりつつあるグリップが握りやすいよう3カ所が凹んだスタイルなっている。
凹んでいるというよりかは、ごっそりとそぎ落としたと言った感じに近い。そのそぎ落とし具合が少し凝っていて、ペン先に行くに従いに右側にずれている。これは3ヶ所とも同じだ。私が買ったタイプは右利き用。おそらく、この右側にずれてるのは右利きの人が握りやすいという配慮のためだろう。
私のホームポジションからすると、この「右ねじれ」は少々違和感がある。私の握り方が正しくないからなのだろう。
■ ボディに溶けこんだ消しゴム
次に、ペンの反対側に目、そして手を移してみる。そこにはシャープペンならあたりまえのノックボタンがある。当然、ここをノックすればカチカチと芯が出てくる。
そのノックボタンを引っ張ってみると、スポッと外れる。
普通はその中に消しゴムが奥ゆかしく隠れているものだが、これにはない。消しゴムはいずこに。。。引っ張ったノックボタンの感触を確認してみると、そもそも、ノックボタンそのものが消しゴムになっていたのだ。
ノックボタンを押しやすくするためなのだろうこの消しゴムは結構硬めの質感になっている。といっても、このボタン全体が消しゴムで作られている訳ではなく、下側はプラスチックで出来ている。よくよく見てみるとプラスチックパーツと消しゴムの間には境界線みたいなものがあった。どうやら接着剤か何かでしっかりと固定されているようだ。
このように見た目には完全にノックボタンに同化してしまっている消しゴム。では、消しゴムとしての消し心地はどんな感じなのだろうか。
実際に消してみてみると、思っていたよりもなかなかの消し心地だった。こうしたシャーペンついている消しゴムと比べると、紙の上を消しゴムを滑らせるタッチがややスムーズであった。
考えてみると、普通のシャープペンに付いている消しゴムは表面がガサガサとしているが、これはツルツルとしている。まるで普段私たちが使っている四角い消しゴムのような質感だ。これは私の想像だが、きっと四角い消しゴムを付けたのではないかと思う。
この手の普通の消しゴムは、やわらかめなのでシャーペンの消しゴムにするには適さない。しかし、今回のスマートグラフの場合は、そもそもノックボタン自体と大きいこともあり、採用することができたのかもしれない。
その消しゴムをクネクネと曲げようとすると、消しゴム単体でをちょっと味わえない内側に芯の強さみたいなものがあった。
これも憶測になるが、先程のプラスチックパーツが消しゴムの内側にまで及んでいて、やわらかい消しゴムをちょうど骨組みのように支えているように感じた。
なので、文字を消すときもほどよいコシの強さがあって安定感がある。そして、この消しゴムを握る部分にもグリップが3ヶ所そぎ落とされている。
シャーペンについている消しゴムで、こうした握り心地まで考えているというのには私は初めてお目にかかった。指先をピタリとフィットさせ、ゴシゴシと消してみるとコシのある消しゴムとがあいまって消し心地はとてもいい。
シャープペンの書き心地よりもむしろこの消し心地の方に私は惹かれてしまった。このように消しゴム側にもグリップが付けられていることで、クリップはペンの中央あたりに追いやられてしまっている。
こうなると、気になるのはシャープペンを書いている時に、クリップが邪魔にならないかということ。特にシャーペンという筆記具は、常に同じグリップで書き続けていると芯先がいわゆる「偏減り」といって、ちょうど竹を刀でスパッと切ったような状態になってしまう。
それを防ぐために、「人力クルトガ」のごとく自らシャープペンを回転させなければならない。中央にクリップがあるというのは大いに気になるところだ。この点に関して、全くOKとは言いきれないが、見た目ほどの違和感はなかった。そもそもクリップはボディラインに合わせて緩やかな曲線を描いている。
しかも、このクリップはカチカチと小刻みに回転するようにもなっている。
シャープペンを書いていて、クリップがどうしても邪魔に感じれば、カチカチと回転させていけばいい。
シャープペンの芯は0.7mm 。
そして、消しゴムも日本のシャープペンに比べればかなりの太め。細かく書いて細かく消すというよりかは大きく書いて大きく消すという使い方に合っているように思う。
■ 記事作成後記
シャーペンの芯交換は、ペン先側をクルクルと回して分解して行います。
■ 追記
上記芯交換方法、私の勘違いでした。ふつうに消しゴム(ノックボタン)を外せば芯は入る仕組みでした。大変失礼いたしました。
スタビロ スマートグラフ
分度器ドットコムさんでも販売されています。
*関連リンク
「イルカのようなペン」スタビロ イージーオリジナル
「老舗文具屋のシンプル鉛筆」伊東屋イートンペンシル
「最後まで付き合えそうな予感」プラス ダブル エアイン消しゴム
文具コラム ライブラリー
pen-info SHOP