文具で楽しいひととき
ノギス、直尺、メジャー
文具コラムを書くとき、その文具を日々の仕事や生活に溶け込ませどう感じたかを大切にしている。質感やデザインのことやら、これはこういう意図で作られたのかな?こんな場面で使うとしっくりくるな、などひとつの文具から色んなことを感じる。これはあのペンより少し長いとか太いとか感じることもある。
それをちゃんと確かめる時に使うのが各種計り。
2015年7月2日~9月10日にFound MUJIで開催された「つくる文房具」というフェア。大工やデザイナーなどなにかを作る人たちが日頃よく手にする文房具が集められていた。そこで文房具を計るツールを新調した。
■ ポリカーボネイドのノギス 700円
これは立体物を計るための道具。私はこれでペンの太さをよく計っている。ペンを手にすると感覚的にいろんなことがわかる。たとえばグリップの太さよりもボディの中央あたりの方が少しばかり太かったり。
パッと見では気づかなくても目を閉じて、指先に全神経を集中させるとなんとなくわかる。そんななんとなくの感覚をノギスで数値にして確認していく。以前は、ステンレス製のノギスを使っていた。
漆塗りボディなどちょっとデリケートなものだと少々気を使う。このポリカーボネイド製ならその点で安心だ。うっすら半透明のブラックに白い数値がとても見やすい。
普段ボディの直径ばかりを計っていたが、他にキャップの内径や深さなどもノギスで計ることができるのを改めて知った。
ペンのあちこちが計れて楽しい。
■ ステンレス直尺 350円
長さ15cmとやや短めの直尺だ。これはペンの全長を計るのにちょうどよい。
目盛りはゼロスタートなので、机の上にこの直尺と計りたいペンをピタリと隣り合わせに立てると長さが一目でわかる。
ペンは大体において15cm未満なのでこの直尺がちょうどよい。また製図シャープペンのペン先にあるガイドパイプの長さを計るにもよい。
この時もゼロスタートが役立つ。ガイドパイプの根もとに直尺を添える。グラフ1000を計ってみると4mmピッタリだった。
なんだかわからないが、よし!という気分になる。
端っこがわずかにふくらんでいるので、デスクの上にベタッと置いてもすぐ取り上げられる。
■ メジャー 1,500円
あまりのユニークさに思わず買ってしまったメジャー。見た目としてはごくふつうというスタイルだ。テープのはじっこを取り出すみたいにメジャーのロールから端っこを指先で起こす。
パキッという音とともにメタル製のメジャーのはじっこが起き上がる。
メジャー本体を机の上に置いてメジャーのはじっこから手を離すと、ちょっと待って!というくらいにメジャーがスルスルと出てくる出てくる。
挙げ句の果てはメジャー全部(1m)が出てしまう。出尽くしたメジャーは、何もなかったように静かに机の上に横たわっている。
先ほどまで巻かれていたのが、今や棒のようになっている。片側を持ってもクニャクニャすることなくビシッとしている。
一生のうちに何度も計ることはないがデスクの高さや椅子の座面の高さなどを計ることができるだろう。
ところで、どうしてビシッと棒のようになっているのかと言うとメジャーのはじっこを横から見るとわかる。ゆるやかに中央が盛り上がっているのだ。
フラットだとクニャクニャと強度がないが、すこしたわませることでビシッとさせている。飛び出したメジャーを再び本体にしまうには、メジャーを本体下側にある溝に差し込んでいく。ただ、たわんだままだとビシッとしていてうまく中に入ってくれない。
たわんだ中央を指で押してベキッとフラットにしてあげると、一転してスルスルと中に滑り込まれていく。
何かを計るというよりも出したり、しまったりの方が楽しいメジャーだ。
□ 同じメーカーで品番がひとつ違いのタイプのノギスシンワ測定 プラスチックノギスポッケ 19515
□ こちらも同メーカーですが、目盛り表記が少々違う直尺シンワ MGスケールシルバー 150MM 13501
* Found MUJI 「つくる文房具」 (開催終了)
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