2014.08.26(312-1)

「ISOT2014 1」

国際 文具・紙製品展レポート

文具メーカー各社の新製品が一挙に手にとって見ることができるISOT。

ISOT2014

ここ数年、規模が小さくなったとは言え、それでもすべての通路をくまなく見て回るとたっぷりと1日はかかる。実際、私はオープンしてすぐの10:00からまわりはじめ、蛍の光が流れる閉館ギリギリの18:00までかかった。終わってみれば16社ものブースの取材をすることができた。

私にとって展示会取材は最高のインプットの場。取材した日は一日中ずっと文具漬けだったものだから私の脳の中にある文具情報を蓄積する部分は水が満たされたコップみたいに今にもこぼれそうなほどいっぱいいっぱいになっていた。インプットをしたあとはアウトプットをしないと体のバランスが崩れてしまう。

翌日にインプットした情報を万年筆と原稿用紙を使ってひとつひとつ書き出してアウトプットしていった。頭の中にたまった文具情報が万年筆の先からどんどんと出て行く感じがして、前日に感じていたアンバランスさがどんどんととなくなっていった。結局のところ私たちの生活というものは、仕事の情報にせよ、食事にせよ何かを自分の中に取り入れてそれを出していく、その繰り返しなのだと、今回のISOTでの大量インプットを通じて再認識した。

さて、今年もISOTレポートと題して気になった文具をいつものようにご紹介してみたいと思う。

■ 色々な紙の可能性を見せてくれたデザインフィル

デザインフィル

デザインフィルのブースは白を基調にまとめられている。そのせいだろうかひとつひとつの出展されている商品がとても映えて見える。その中でまず目にとまったのが、「パスコ ドキュメントバッグ」というアイテム。

デザインフィル

これは「パスコ」という特殊な紙で作られている。紙ならではの軽量さがありつつ頑丈さも併せ持っている機能紙。

デザインフィル

「パスコ」という名前こそ聞き慣れないが、実は、私たちのまわりでよく使われている。たとえば、剣道の胴の中に使われていたり、郵便配達員のバイクの荷台や面白いところでは溶接用のマスクなどにも使われているという。そう言われてみれば、たしかにどこかで見たような気がする。

私はこういう紙を使った箱形ケースを見ると、小学生時代によく使っていた「グルービーケース」を思い出す。40代から50代くらいの方にしかわからないと思うが、持ち運びができる格好いい道具箱といったものだ。今回のものは素材こそ違うが、大人のグルービーケースといった感じもする。

デザインフィル

デザインフィル

ケース全体は「パスコ」で作られているが、ハンドルだけは、イタリア製リサイクルレザーになっている。

デザインフィル

このハンドルは、ほぼフラットにもなるので、棚などにスッキリと収納しておくこともでき便利だ。

* パスコ ドキュメントバッグ〈A4〉 3色 各1,600円+TAX。A3タイプとペンケースは参考出品。

そのすぐ隣にはまた違った風合いの紙の箱が美しくスタッキングされていた。

デザインフィル

こちらの素材は古紙が使われている。ベージュのものは段ボールの古紙、ホワイトは漂白した新聞紙と牛乳パック、そしてグレーは新聞紙の古紙だという。細長いタイプはペンケースに、大きなものは、名刺がピタリと収まる。

デザインフィル

デザインフィル

ゴムバンドも付いているのでストレージだけでなく持ち運ぶ用途にも使えそうだ。

* パルプストレージ ペンケース 3色 各460円+TAX。
パルプストレージ カードボックス3色 各560円+TAX。

次に注目したのは、ブックカバー。

デザインフィル

最近は、アマゾンなどネットで本を買うことも増えている。必要な本がすぐに届けられるなど便利ではあるが、ブックカバーを付けてもらえない。これは、そうした意味で気軽に使える読み切りのブックカバー。その名も「包装用紙で作ったブックカバー」。花柄の他、アルファベットタイプもあり、こちらなら男性でも使えそうだ。紙ならではの良さとしては裏表紙の内側には自由に書き込めるメモ欄がある。

デザインフィル

本の感想や回覧のチェックリスト、本を誰かに渡す時に「○ページがオススメ」などメッセージ欄としても使うことができる。また、背につけるラベルシールも付属。

デザインフィル

何冊も併読するときに便利かもしれない。

*包装紙で作ったブックカバー
文庫本サイズ 4柄 各260円+TAX
新書サイズ   4柄 各360円+TAX
四六判サイズ  4柄 各380円+TAX
各4枚入り。ラベルシール(4枚)付き。

次に紙ではないがこれはと思ったのが「クリアケース 蒔絵」。

デザインフィル

クリアケースと言っているがクリアではない。形は洋封筒スタイルだが和柄のせいか、風呂敷を包んだ姿のようにも見える。落ち着いた中にも艶やかな和柄が描かれている。

デザインフィル

2サイズあり、大きい方はA5より少し大きいくらい、個人的にはA4サイズがあると書類を入れとして便利だと感じた。いわゆる透明のクリアファイルはそのまま外に持ち出すのはちょっと気が引けるが、これならシーンは選ぶかも知れないが、このまま持ち出せる。

デザインフィル

*クリアケース 蒔絵(参考出品)
〈M〉3柄 各340円+TAX
〈S〉3柄 各300円+TAX

■ デジタル文具以外も頑張っていたキングジム

キングジム

世の中に「デジタル文具」というカテゴリーをすっかりと定着させた立役者、キングジム。ブースの前面には最新のデジタル文具としてデジタル名刺ホルダー「メックル」やスマホ画面をプリントできる「ロルト」が展示されたくさんのバイヤーの注目を集めていた。

私はそこをスルーしてアナログ文具コーナーを覗いてみた。こちらにも面白いものがあった。たとえば、「PENeFIT(ペネフィット)」というノートカバー。

キングジム

これは、ノートカバーにペンケースを付けたものだ。これまでもペンケースほどの大きさがあるポケットを持つノートカバーはあるにはあった。今回のものがウンなかなかいいぞ!と思ったのがペンケースが着脱可能であるところ。

キングジム

いざ、ノートを開いて書こうとすると表紙についたポケット類がふくらんで紙面がデコボコしてしまうことがある。これは、ペンケースを完全に切り離せるのでその点で快適に使える。ペンケースはチャック式だが、すぐに書き出したい時のためにペンケースのすぐ隣に1本分のペンホルダーがあるところもいい。

キングジム

急いでいる時はここからペンをとればいい。

*キングジム ノートカバー PENeFIT
A5 2,300円+TAX
B5 2,500円+TAX
各 ショットノート一冊付属。

キングジムと言えば、ファイルメーカー。今回、そのファイルでも新製品があった。

キングジム

開発したのは「ショットノート」を作り出した遠藤 慎さん。「PATANTO(パタント)」というそのファイルは、360°折り返せるクリアーファイル。

キングジム

背にひと工夫されていて背の角のところだけしなやかさのあるエラストマーで作られている。

キングジム

これにより表紙の開きにフレキシブルさが生まれている。遠藤さんは日頃からクリアーファイルを使っていた。机に広げると完全にフラットにならず、表紙がだんだんと起き上がって不便な思いをしていた。ちゃんとフラットに開いたままにできるものをと今回の「PATANTO」を考え出したという。

*キングジム クリアーファイルパタント(透明)
20ポケット 550円+TAX
40ポケット 850円+TAX

■ 蛍光イエローのスティックのり登場 ヤマト

ISOT2014 国際 文具・紙製品展レポート

ヤマトが最近出した「アラビックヤマト 色消えタイプ」。のりが乾くと色が消えるという特長もさることながらその鮮やかな蛍光イエローで使う楽しさがある。ISOTでは、そのスティックのりタイプ「カラーグルースティック」が発表されていた。

ISOT2014 国際 文具・紙製品展レポート

一般的なスティックのりより細みなのでペンのように握りやすい。キャップを開けると透き通った蛍光イエローの固形のりが現れる。ボディをツイストさせるとぐんぐん固形のりが繰り出されていく。

ISOT2014 国際 文具・紙製品展レポート

ステッドラーのゲルタイプの蛍光マーカーがあるが、どことなくそれを思い出させる。塗り心地はとてもなめらかでヌルッと紙の上をすべっていく。

ISOT2014 国際 文具・紙製品展レポート

紙の上での発色は液体のりのアラビックヤマトの蛍光イエローに比べてやや大人しい印象。こちらも乾くと無色になる。リフィル対応になっている。ちなみに、ちょっと意外だったのが一連の蛍光色の「アラビックヤマト色消えタイプ」、そして今回の「カラーグルー スティック」ともにのりの主成分としては、ヤマトの看板商品であるでんぷん糊であるそうだ。

*ヤマト カラーグルースティック
本体 150円+Tax
スペアカートリッジ 2本 150円+Tax

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