文具で楽しいひととき
2013 展示会レポート
■ パソコン&タブレットアクセサリー
韓国の「actto」というブースにはタブレット端末用の各種スタンドが展示されていた。たとえばこれは iPad 専用のスタンド。iPad とジャストサイズでパコンとはめ込んでセットでき、角度そして縦位置を横に変えたりといったことができるようになっている。ユニークだったのはスタンドから外して付属のアタッチメントをセットすると、手の平に通すこともできてしまう。
片時も iPadを手放したくないという人にはいいのではないだろうか。そしてこちらは、溝にセットするだけのスタイルなので、iPad だけでなく、iPad mini、その他サイズの違うタブレット端末にも対応可能。
一際大きなスタンドがあり、ラバー製になっているのでソファーに座った時に膝の上に立てて使うということもできる。
折りたためばフラットにもなる。いろんなタブレット端末に対応可能というフレキシブルさで言えば、こちらの方が上かもしれない。
両サイドのフレームをカチカチと微調整できるようになっている。
どんなサイズのタブレット端末にもピッタリとフィットさせることができる。
もちろん、縦位置を横位置に替えることも可能。
タブレット端末用だけでなく、ノートパソコンのための専用スタンドもあった。
これは、ノートパソコンに下駄を履かせるように高くするためのもの。このスタンドには大きく二つの目的がある。一つは、パソコンの熱対策。スタンドにはファンがあり、 USB で電源をとり回るようになっている。長時間使っているとは熱をもってくるが、それを放熱してくれる。
もう一つの目的は、ノートブックパソコンをあたかもデスクトップパソコンの様にすることができるというものだ。
ノートブックパソコンはテーブルの上に置いて使うので、作業する時はついつい前かがみになりがち。姿勢も悪く身体にあまりよくない。このスタンドに乗せる事でノートブックパソコンをまるでデスクトップパソコンの様に画面を上げることができ、自然な姿勢でパソコン作業に取り組むことができる。
同じパソコンスタンドだが、これは使用し終わったノートパソコンを収納するためのスタンド。
開いたノートパソコンのキーボード部分をこのスタンドの上から隙間に差し込む。
手前にはクリップボードがあるので、ここに書類を挟んでおくこともできる。
ちなみに別途ワイヤレスキーボードを使えば、資料を見ながら PC 作業もできてしまう。
■ 中国らしいデザインのペン
今回のフェアでは筆記具の出展は比較的少なかった。その中で特に異彩を放っていたのが「JINHAO」というブース。上海を拠点に2003年からスタートした新しいペンメーカー。
色々なデザインのペンがあった中で私が注目したのがドラゴン デザインのペン。
ボディに巻きつくようにドラゴンが大胆にデザインされている。ペントップに美しい玉をあしらったものまであった。
この玉は完全に固定されておらず、クルクルと回転するようになっていた。
ペンを手にしてみると、ズシリとかなり重い。これで果たして文字を書けるのだろうか?と不思議に思って聞いてみると、用途としては実は飾るのが中心だという。もちろん書こうと思えば、書くことはできる。油性ボールペン、水性ボールペンそして万年筆タイプがあった。
ドラゴンは、昨年の干支の辰年にちなんで作られたものだ。
今年の干支である蛇をモチーフにしたものもすでに製作してそうだ。この他、北京で有名な寺「天壇」をトップにあしらったものもあった。
【ボディに陶器素材を使っているタイプ】
いずれも中国らしさ満載のペンだ。今回展示していたものは中国を意識したデザインだったが、同社では各国のスタイルに合わせてデザインし積極的に輸出も行っている。たとえばエジプト向けには「ファラオ」を、その他の国では歴史的建築物をモチーフにしたものもあるという。
■ 韓国の伝統的な製本を DIYで楽しむ
日本のマスキングテープブームは香港にもその流行が伝播していて、このフェアにも「和紙テープ」という名などで追随メーカーがいくつも出展していた。
そうしたクラフト系ブースが軒を連ねていたエリアの中に、「Bibon」という韓国のメーカーが出展していた。ブースにはスクラップブックの DIY が楽しめるアイテムが展示されていた。彼らの特徴は、韓国で古来から伝わる伝統的な製本を取り入れている点。たとえば、ノートブックタイプがあり、シルクの表紙で綴じ部分は紐で固定されている。
こうしたものが手づくりで楽しめるキットを販売している。表紙の台紙、シルクのカバー、中に入れるノートの紙、そして製本に使う針と紐がセットに含まれている。
イラストで作り方をまとめた解説書もあり、大体30分ぐらいで1冊できてしまうそうだ。表紙の台紙にシルクのカバーを貼る時の糊だけは、各自用意しなければならないが、(普通の文具用の糊で OK とのこと)あとはセットの中で全て完結できてしまう。表紙、そしてノートの紙には予め穴が開けられている。そこに針と紐を使って縫うように製本をしていく。
この紐で製本する綴じスタイル、日本でいうところの「和綴じ」によく似ている。通訳を願いした香港出身のジムさんも私の国にも同じような製本があると話していた。どうやら3か国とも同じ製本文化を持っているということで、何だか国を超えた暖かい一体感を私は感じた。
伝統的なこの製本スタイルは、現在韓国では大学生の女性の間で人気だという。彼女たちの目には伝統的なものというよりも、むしろ新鮮なものとして映っているらしい。ノートブックタイプの他、名刺ホルダーやフォトフレームなどもあった。
ユーザーの中には手作りしたものを さらにデコレーションするという人もいるそうだ。
DIYしたものはユーザー自らが使うだけでなく、ギフトとしてプレゼントするというのも韓国では流行っているという。日本の女性の間でもマスキングテープなどでノートをカスタマイズする人も増えているので、この韓国スタイルの製本キット、日本でもひょっとしたら人気が出るかもしれない。
日本ではまだ代理店はないという。
■ 人件費を削減できる折りたたみテーブル
通路を歩いていると、会議室によくある折りたたみ式のテーブルを来場者が代わる代わる持ち上げている光景が目に入った。不思議に思って近づいてみると、ブースの人が「この机、重いからちょっと持ち上げてみてください」と声を掛けていた。
それを受けて来場者が持ち上げると、重いと言われているものだから、そのつもりで覚悟して持ち上げているのだが、どうやらすごく軽いようでそのギャップに皆驚いていた。
私も持ち上げてみたが、これはたしかに軽かった。担当者によると8.5kg だというちなみに一般の会議テーブルは15~16kg もあるそうだ。つまり、約半分の重さということになる。この軽さを実現させているのが天板の素材。天板にはカーボンが使われている。
このカーボンはテニスラケットなどに使われているものとほぼ同じものだという。それ以外のフレームは全てアルミ製。確かに軽いけど、気になるのは強度。
その点を聞いてみると、担当の人が自らそのテーブルに腰掛けてみて、あなたも一緒に座ってみてと言ってきたので、恐る恐る腰をかけてみた。天板はわずかにしなったが、特に問題はなかった。そもそもテーブルは座るものではないが、強度としては十分そうだ。なにより軽いというのが最大の特徴。
これによるメリットは人件費が大幅に削減できる点だという。たとえば、大きな会場で机のセッティングに5人で1日かかっていた場合、この軽いテーブルなら作業効率が上がり、5人で半日で済んでしまうという。
カーボンは特殊な高付加価値素材なので、このテーブルも値段が高いのではと思って聞いてみると、一般の机のおよそ30%アップくらいだということだった。初期投資は、その後の人件費削減で十分カバーできるだろうと自信を持って担当者は話していた。
カーボンをこうした会議テーブルの天板に採用するというスタイル、なぜこれまで他のメーカーではなかったのか。実は、カーボンの加工はとても難しく、特に机の天板の様にある程度広い面をフラットにするという技術は、なかなか難しいものがあったという。
この点を同社がクリアしたことで製品にこぎつけることができた。ちなみにカーボンを家具の天板に使うという、この技術は日本で特許を取得しているという。カーボンブラックの天板、そしてブラックのアルミタイプはなかなか格好よかった。
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