文具で楽しいひととき
ペーパーワールド チャイナ
2011 展示会レポート
■ デスクワークが多い人には助かるアイテム
展示会場を一日中歩いていると、これが結構肉体労働で疲れる。多分地面が硬いコンクリートということがあるからだろう。そんな疲れている時に魅力的に映ったのが、このブース。ブースでは気持ち良さそうに座っている人がいた。気持ち良さそうに見えたのは、足の下にフットレストがあったためだ。
このブースには、こうしたフットレストがズラリと並んでいた。
長い時間デスクワークをしている人は、水平の地面に足をつけているよりも少し斜めにしたほうが楽で姿勢もよくなり、腰の負担も軽減されるという。実際に座らせてもらったが、 フットレストの面がフレキシブルに動くので、自分ならではの体勢をとることができる。
今やデスクワークの中心は、 パソコンの画面を見ることが多い。
つまり、背中を椅子の背もたれに預けてやや後傾姿勢になる。こうした時には、確かに足は少し斜めの方が楽かもしれない。フットレストの中央にゴロゴロと回転するマッサージ機能つきのものまであり、「ノドから手」ならぬ、「足の裏から手」がでそうになってしまった。
このほかノート PC をやはり斜めにセットするスタンドもあった。
足を斜めにしてキーボードもそれに合わせて斜めにするということなのだろう。
■ 驚きのホワイトボードマーカー
韓国の Hi-Line というブースで、見つけた面白いホワイトボードマーカー。商品名は、「Liquid Board Marker」。
ボディの中には直液式のインクがチャプチャプと入っている。一見したところでは、何の変哲もないホワイトボードマーカーのようだ。これがユニークなのは文字を消す時。まず、ボードに文字を書く。この時に2~3秒くらいインクは乾くのを待つ。そうしたら文字の端っこの部分を指でこする。
すると文字がはがれてくる。ふつうのボードマーカーなら文字が消えるところだが、これは、文字が剥がれる。その剥がれ方が、また変わっている。
その剥がれた端っこをつまんで引っ張り上げると、筆跡が細い糸のようにピーッと剥がれていくのだ。これにはたまげた。詳しいインク成分は企業秘密ということで、教えていただけなかったが、何か特殊な成分を配合しているという。もちろん、毎回こうして糸のように引っぱって消す訳ではなく、いつものホワイトボード イレーサーでも消すことができる。
このホワイトボードマーカーのメリットは、筆跡が乾くと先程のように一つの塊になるので、イレーサーでキレイに消し去ることができる点。また、一般のホワイトボードマーカーだと、何度も書いては消しを繰り返すとホワイトボードがうっすらと汚れてきてしまうが、このマーカーではそうしたことがない。
さらには、従来のボードマーカーのように筆跡が粉っぽくならずびちらないというメリットもある。このマーカーは、すでに5年前から販売しており、にヨーロッパで人気を博しているという。
日本では、まだ販売されていない。
■ アメリカの Office Maxが出展
アメリカで数多くのショップを展開している Office Max がペーパーワールド・チャイナに初出展していた。ブースには彼らのオリジナル文具が所狭しと並んでいた。その中で特に目立っていたのが赤や金をあしらった中国ならではのデザインステーショナリー。
これはきっと、中国市場向けに新たに作ったのだろうと思っていたら、そうではなかった。
このシリーズは、もともとアメリカ市場向けに企画デザインされ、すでにアメリカ市場で販売しているものだという。アメリカのトレンドの一つとして、こうしたアジアン テイストのカラーが流行していて、あくまでもアメリカ市場向けに作ったものということだった。アメリカ発の中国人デザインという訳だ。今回のペーパーワールドチャイナ出展に際して、中国人バイヤーの反応を見るために試しに出展したのだそうだ。
中国人バイヤーの反応は上々だという。今後中国にアメリカのようなOffice Maxショップを展開するのかと聞いたところ、まだそういう計画はないとのことだった。まずは中国の人たちに「Office Max」という存在を知ってもらうのが今回の最大の目的だと取材対応してくれた方は話してくれた。
■ 机の上の書類整理によさそうなアイテム
以前、ご紹介したことがあるが、私は机の上の書類の整理にキッチン用の「まな板スタンド」を使っている。書類を机の上に平置きするのではなく、立てかけることで省スペース化でき、必要な書類も見つけやすいなどメリットがある。その「まな板スタンド」にとって変わりそうなものがあった。
「File Shelves」というものだ。
折り畳み式となっており、広げると書類スタンドになる。
広げた谷の部分に書類やクリアファイルをセットしていく。「まな板スタンド」だと、書類は垂直にしか立てられないが、これは斜めにセットできるので、書類が探しやくなる。そして、自分の机のサイズに応じて広げ具合もフレキシブルに調整できる点もいい。
■ 中国の文具卸、漢馬による展示会
今回のペーパーワールド・チャイナ会場の一角には「漢馬」という中国文具卸による展示エリアがあった。ペーパーワールド・チャイナと同じ会場にはあるが、壁で仕切られ一般の展示スペース等は明確に区分けされていた。これは数年前の同展でも見かけたものだ。
漢馬の専用伝票が各ブースに配置され、 バイヤーはそこに書いて注文すると、漢馬経由で仕入れができるという仕組み。20~30社の出展社の中には、日本メーカーも幾つか出ていた。トンボ鉛筆、ゼブラ、パイロット、コクヨ S&T 、三菱鉛筆といった顔ぶれだ。
その中で日本人担当者がいらしたコクヨS&T社でお話をお伺いしてみた。コクヨS&Tでは、2年ほど前から中国市場に本格的に進出し始めている。ブースにはキャンパスノート、ドットライナー、ハリナックスなど日本でもお馴染みのものが並べられていた。
この中で特に人気なのは、キャンパスノートだという。日本市場との違いとしては中国ではA5サイズがよく売れるということだった。中国の学生は、あまりたくさんの荷物を持ちたがらず、携帯性がいい小さなA5サイズのほうが人気だという。
また、罫線の幅も日本の6~7mm に対してやや太めの7~8mmが中心。日本の学生のように先生が黒板に書いたものをきっちりとノートに書くという習慣が中国ではあまりないため、よりゆったりした罫幅が人気とのことだった。
中国の学生はボールペン、とりわけゲルインクボールペンをよく使うので、キャンパスノートのインクの裏抜けがない紙質、またコクヨの十八番である頑丈な無線綴じなど、そのクオリティの高さが徐々に認識され始めているという。
■ カール事務器
カール事務器は先程の漢馬の展示会ではなく、一般エリアに独自に大きなブースを出展していた。ISOT の時と同じホワイトに赤の「CARL」のロゴというブースデザイン。文具大賞を受賞した鉛筆削り「Angel5」がブースの一番手前に誇らしげに展示されていた。
グルリとブースを回って、日本で見かけたことがないものはないだろうかと探してみると、一つだけ見つけることが出来た。それはグリーンのパンチシリーズ。
このグリーンがまるで軍用という感じでなかなか格好良かった。
これは中国市場向けに作られたものだという。当初は迷彩カラーという話もあったが、塗装がどうしても難しく断念したという。中国の軍あたりに本当に採用されるのかもしれない。近頃、日本でも再びカーキカラーの文具も出てきているので、日本市場でもひょっとすると受け入れられるかもしれない。
*次のページでは、上海での文具ショッピングなど町中レポートをお届けします。