文具で楽しいひととき
NORITAKE
SUPER BINDING NOTEBOOK
私は文具を買う時は、それを何に使うかをハッキリと意識した上で手に入れるようにしている。いわば「大儀名分」。
■ 大義名分がなかなか見つからない文具
大好きな万年筆を一本一本買っていく時にも、これは原稿を書くためのもの、これは校正用、ノート用、一筆箋用と、こと細かに分けている。とは言っても、たまに、その万年筆がどうしても欲しくて仕方なく、ある意味で無理やりその理由を考えたこともなくはない。
その文具とじっくりと向き合うのには用途を明確に決めて、つき合っていくのも決して悪いことではない。今回、これを買う時、その「大義名分」がさっぱり思いつかなかった。というのも、これはノートとバインダーを足して二で割ったようなものだったため。ノートであれば、○○用ノートとその用途も考えやすいが、ノートとバインダーとなると、どう使っていいか皆目見当がつかない。これを見かけたのは吉祥寺のサブロさん。
店頭でこの商品を手にして、正面から見たり裏返したりして、しばらく店頭で見つめ続けていた。私としては、ほんの10秒くらいだったつもりだが、きっと3分くらいはずっと見続けていたかもしれない。ずっとそればかり見続けていると、変に思われてはいけないので、一旦手を離して隣のコーナーに移動して、クリップあたりを手に取ったりして頭を冷やし、再びまた手にするというのをたぶん2、3回くらい繰り返していたと思う。
今考えると、ノートとクリップを繰り返し見続けるその動きも十分に変だ。いつもなら気になる文具があれば、「大義名分」がすぐに思いつくのに、今回ばかりは全く思いつかない。けど、これは買っておくべきだという天の啓示みたいなものにつき動かされ、右手右足を一緒に動かしながらギクシャクとレジへと歩いていった。ひょっとして、用途が思いつかずに本棚の肥やしになってしまわないか。
いや、しかしあとで欲しくなってまた吉祥寺にくる時間とお金を考えたら1,050円(当時の価格)は、一往復分の交通費なので、今ここで判断すべきだと、用途ではなく、全然違う大義名分をひねりだしてひとまず買ってみることにした。そして、帰りの電車の中で車窓を流れる景色を見るとはなしにぼんやりと眺めていて、その文具の用途、つまり、こんどは本当の「大義名分」がふと思いついた。
それは「外出校正」。改めて、今回の商品をご紹介すると「SUPER BINDING NOTEBOOK」という。
ノートのようでバインダーのようでもあると申し上げたが、商品名でも、まさにその二つをつなげたものになっている。サイズはA5サイズ。
私が「大義名分」を一旦棚に上げてまでして、これは欲しい!と実は思ったのがこの表紙の素材。
表面には細かな凹凸があり、ちょっとザラザラとした独特ない指触りがある。紙とファブリックの中間のような感じだ。どうやら、この商品の作り手の方は、とにかく「中間的」というのが好きらしい。。
画用紙くらいの厚みがあるが、硬さはなく、しなやかさに富んでいる。クニャクニャと曲げても、紙のように折れ曲がってしまうこともない。表紙にある「SBN」は、商品名の「SUPER BINDING NOTEBOOK」の頭文字。
その表紙の右側に白い輪ゴムがクルリと巻かれている。
これを右側にずらすと表紙が広げられるようになる。
広げると中には、もうひとつ「返し」みたいなものが付いている。
それを観音開きのように広げると、この商品をいかに使っていくかのマニュアルページがある。
文章などはなくイラストと単語だけというシンプルな構成。
いくつかの使い方が紹介されているが、一番最後に、一言「 NO RULES」とある。つまり、使い方に決まりはなく、あなた次第ということだ。これをお店で見て、私はいきなり下駄を預けられた感じがして、どうしていいのかわからなくなってしまった。このマニュアル以外は無地のノートが続いている。
と言っても、ページ数はそれほど多くなく40ページ。もう一つの主役であるバインダーはいずこに…。それは、このノートの綴じ部分が担っている。
ノートは3本の輪ゴムだけでとめられている。バインダーとして使う際はここの輪ゴムに挟みこんでいく。マニュアルでは、ここにレシートやポストカードやチラシなどを挟んでおくといいとある。確かに A5サイズの見開き、つまりは A4サイズなので、大方の紙類は対応可能という訳だ。私がまずはじめに思いついたのは、出張の時のレシート管理にいいかもしれないと思った。
■ 外出構成という用途(大義名分)
しかし、そうした用途は他のアイテムでも十分対応可能だ。つまり、わざわざこれを使うという感じでもない。もっとこれにピッタリと合った、それこそ、この「SBN」にしかできないというくらいのカチッとはまる使い方はないだろうか。そう考えてる中で思いついたのが先程の「外出校正」。「外出校正」とは、文字どおり外出中にしかかりの原稿の校正を行うというものだ。私はこの作業を移動中の電車の中で行うことが多い。
これまでは、そうしたしかかり原稿を収納しているポスタルコのリーガルエンベロープを移動中デスク代わりとして、その上で校正をしていた。
これはこれでとても快適でいいのだが、一つ気になるのが席に座って校正作業にいそしんでいると、隣の人や前に立っている人から丸見えになってしまうこと。
さすがに、これはちょっと気になる。まわりの視線を気にしながらの校正は正直あまりはかどらない。この人の目を気にせずという点で、今回の「SBN」は都合がいい。私は原稿をいつも A4を50%縮小して割り付け印刷をしている。
これを「SBN」のゴムバンドで留めると、校正原稿が、まるで一冊のノートのようになる。
リーガルエンベロープの時のように、ベタと広げずノートの広げ具合一つで、横そして前の人の視線を遮ることができる。
特に、右側には「返し」があるので右方向の視線ブロックにも役立つ。ただこの使い方には、ひとつ欠点がある。それはページのめくり方がちょっと特殊なこと。1ページ、2ページは一番上に見開きなっているのでいいが、今問題は3ページ目以降だ。3ページ目を見る場合は、1ページ目のうしろをめくる。
4ページ目は2ページ目のうしろとなっていく。
いつもと違うめくり方になってしまう。しかし、そもそもがそんなに大量なページ数があるわけでもないので、大きな問題ではない。表紙の程よい厚み、そして予め綴じ込まれているノートが程よい台となって、手に持ったままでも、校正用の万年筆を快適に走らせることができる。
これがいいのは、端からは、あくまでノートになにかを書き込んでいる人という感じになって、電車の中で校正をしていてもあまり目立つことがないところ。
校正に夢中になって電車を降りる駅になったら、「返し」の部分にあるマチに校正ペンをサッとセットすることもできる。
本当はノートをノートとして、つまり何かを書くという使い方もしたいところだ。「外出校正」では、厚みを増すという役割にとどめているのはやや残念な気もする。ちなみに、このノートも私の校正原稿同様ゴムバンドに挟んでいるだけなので、もし書き終わったらA4のコピー用紙をセットすれば末長く使うことができる。
考えようによっては、今流行のスキャンを前提としたノートとして、割り切った使い方なんかもいいかもしれない。ここに日々ノートとして書いていき、書き終わったらゴムバンドから外して、そのままスキャンしてデジタル化してしまうというものだ。そもそも A4の紙なのでスキャンもしやすい。
ま、いずれにしても私は当面「外出用校正」に特化して使っていこうと思う。だがそこは「NO RULES」なので、いつでもフレキシブルに用途が変えられるのもこの「SBN」 のいいところだ。
NORITAKE SUPER BINDING NOTEBOOK
私はこのSUPER BINDING NOTEBOOKをサブロさんで買いました。
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