文具で楽しいひととき
■ 「半透明のメモ帳」 伊東屋 トレペメモ 280円+Tax


 伊東屋 トレーシングペーパーメモ帳


□10年くらい前、建築家の方と打ち合わせをしていた時のこと
 青い図面を前にして、「ここのところはこう変更できませんか?」
 などと設計の変更をお願いをしていた。

 すると、その建築家の方がおもむろにロール状の半透明の紙を取り出し、
 その青図の上に、呉服屋さんが反物を広げるように
 ごろごろとその半透明の紙を広げはじめた。
 そして、その上から新たな設計案をさらさらと書き始められた。

 その時以来、トレーシングペーパーはプロが使う道具というイメージがある。

 そんな折、伊東屋さんでトレーシングペーパーのメモ帳を見つけた。
 今回は、トレーシングペーパーを気軽に使うことができるメモ帳について。


□なんで、メモ帳の紙がトレーシングペーパーである必要があるのか?と
 誰もがお思いになることだろう。

 私も当初はそう思っていた。
 だけど、使っているうちに、結構便利だな思うようになってきた。

 そんな私の使い方をご紹介したい。

■ 1)ごく普通のメモ帳として使う。

  あまりにも当たり前すぎるが、メモ帳なのでやはりその使い方が
  まず基本となる。


 


  ただ、普通のメモ帳と違うのはその書き味だ。
  私は、このメモ帳には基本的に鉛筆を使うようにしている。
  トレーシングペーパーは曇りガラスのように表面がざらざらしている。
  そのざらざらに鉛筆がとても馴染む。

  そもそも、どうして鉛筆は紙に文字を書くことができるかといえば、
  鉛筆の黒鉛が紙の繊維にくっつくことにより文字が書けるのである。
  ツルツルした紙だと書けないのはそのため。

  そういう鉛筆の特性からして、このざらざらしたトレーシングペーパーは
  鉛筆にもってこいの紙と言えるだろう。
  さらに言うならば、先の尖った鉛筆よりも丸いほうがいい。
  ザラザラとした紙面が鉛筆の黒鉛をしっかりと受け止めてくれるので、
  接地面が多い丸い先のほうが独特の書き味が愉しめるというものだ。 

  ザラザラと音をたてながら、黒鉛がしっかりとくっついていく様子は
  なかなか心地よいものです。

■ 2)ノートに重ねて使う。

  次なる使い方は半透明という特徴を活かしたもの。

  先日、ウェブサイトのデザインを変えてみようと色々と考えていた。
  ノートにまず思いついたデザイン案を書きとめた。
  それを眺めていると、少し変えてみたくなり、
  ここでトレーシングペーパーメモ帳のご登場。

  もとのデザイン案にトレーシングペーパーを重ねて
  その上に追加したいアイデアを書き込む。


 


  それをメンディングテープで固定して、
  トレーシングペーパーをめくったり、元に戻したりしながら
  2つのデザインを検討してみる。
  といった使い方をしている。


 


  冒頭の建築家の方がやられていた方法と基本的に同じ。


■ 3)付箋紙代わりに使う。

  雑誌を読んでいて、誌面に何か書き込みたくなることがある。
  だけど、誌面を汚したくない。
  そんな時、
  このトレーシングペーパーを誌面にメンディングテープで貼り付ける。
  その上から思う存分書き込む。


  


  通常の付箋紙でも出来なくはないが、半透明なら、誌面もしっかりと
  見えるのでとても都合がよい。

  この使い方をして、思ったのだが
  トレーシングペーパーに再剥離の粘着剤をつけたいわゆる付箋紙が
  あれば個人的に便利なのにと思った。


■ 番外編として、本のしおり兼メモにも使える。

  本を読んでいて、感銘を受ける文章に出くわすことがある。
  メモに残してとっておきたい、と思いながらメモを取り出すのも面倒なので
  まあ、いいやと読み進めてしまう。
  あとで、そのページを探そうと思っても、もう見つからない。
  なんてことが私の場合結構ある。

  そこで、トレーシングペーパーのメモ帳を1枚、しおり代わりに本に挟みこんでおく。
  気になる文章があったら、すかさず、そのトレーシングペーパーに
  書きとめる。


  


  この時ほど、半透明の紙は便利だと思ったことはない。

  気になる文章の上にトレーシングペーパーをおいても
  文字はしっかりと見えるので、とても書きとめやすい。

  そして、その書きとめたトレーシングペーパーを
  保存すべくモールスキン手帳に貼り付けておく。


 


□私は鉛筆を中心に書いているが、他の筆記具で試したところ
 概ね大丈夫だった。
 万年筆、油性ボールペン、水性ボールペン、ゲルインクボールペン。
 ただし、万年筆、水性およびゲルインクボールペンは
 インクが乾くのに多少時間を要する。
 
 また、このメモ帳の大きさはロディアで言えば、No.13とほとんど同じサイズ。

 ロディアほど台紙が厚手ではないので、
 メモ帳単体を手にして、立ったままの筆記はちょっとつらい。



□紙を半透明にするという一見シンプルな発想のメモ帳ではあるけれど
 色々と創造力を駆り立ててくれる素敵なステーショナリーだと思う。


(2005年3月1日作成)



 ■ トレペメモ A6は、こちらで販売されています。






■ De sonogo (で、その後)

 上でも書かせていただいたのだが
 このトレーシングペーパーのメモ帳の
 貼ってはがせる付箋タイプがあればいいのに。。。と思っていたら

 うれしいことに、「ありますよ。」というお知らせをいただいた。
 厳密にいうと、「ありました。」ということなのだが。。。

 コクヨから「トレペタ」という、実にわかりやすいネーミングで以前に発売されていたそうだ。
 現在は残念ながら廃盤。

 トレーシングペーパーのメモ帳とほぼ大きさは同じ。
 表紙を開けると、上側に貼ってはがせる粘着がしっかりと付いている。


   


 早速、雑誌に貼ってみると、結構しっかりとした粘着力があった。
 当然ながら、下の文字や写真を確認できて、使い心地は上々。

 雑誌以外にも、ノートや手帳などに貼れば、
 下の文字も確認できて、さらに上から書き込むこともできるので、
 紙面を有効活用することができそうだ。


   


 今回の貼ってはがせるトレペを使っていたら、
 今度は、カラー版があればいいのにと、更なる欲望が生まれてきてしまった。。。


 ■ 今回のトレペタの情報および現物は株式会社インク様からいただきました。
    ありがとうございました。

 (2006年3月9日作成)


<関連リンク>

 トレペではありませんが、半透明な「エアメール」という便箋を使うという手もあります。


 ■ 「薄くてもしっかりとした書き味」 TS エアメール 便せん

 ■ 「万年筆との相性が良いエマージェンシーメモ」 デザインフィル カードメモ 

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