■ その87 「由緒正しき製図ペン」 ステッドラー マルス プロフェッショナル712
□ちょっと大きめのステーショナリーショップに行くと、筆記具売り場や
ノート売り場の他に、必ず覗くところがある。
それは、製図用品売り場。
私は、製図を専門とする仕事は全然していないのだけれども、
プロの道具を彷彿とさせる品々は眺めているだけで
とても楽しい気分にさせてくれる。
そんな中で、ずっと気になっているペンがあった。
ステッドラー マルス プロフェッショナル712だ。
製図のペンによくある専用ケースの中に収まっていて、
店頭では、おいそれと触ることが出来ない。
ケース越しに見える銀色のペンはこうごうしい程の輝きを放っていた。
先日、このマルスプロを手に入れることができた。
□ケースをぱかっと開き、厳かな気持ちでそのペンを持ってみると、
拍子抜けするほどのあまりの軽さに驚かされる。
重量にして、11.5g。ちょうど新品の鉛筆2本分くらいの軽さだ。
ケース越しに見えていた時は、てっきりメタル製かと思い込んでいたのだが、
実際のところは、ABS樹脂製だった。
ボディには、本物のアルミと見間違えてしまうほどの仕上がりになっていて、
造りの良さに、ただただ感心するばかり。
このデザインは、ドイツのデザイン賞「デザインプラス」を受賞しているそうだ。
もし、私が審査員でも、きっと賞を贈ったことだろう。
□ネジ式キャップをふつうのペンよりも多めの2周り回転させると、
キャップがはずれて、ようやくペン先が現われる。
ちょっとまどろっこしい感じもするが、これはペンの命である
ペン先をしっかりと守るためなのだろう。
ペン先は、さすが製図のペンだけあって、金属製のスリーブでしっかりと覆われている。
ペンの先端に行くに従い、2段階に細くなっているスリーブは定規をあてて
細い線を正確に書くこともできるし、もちろん通常の筆記にだって快適に使える。
□ペンを握ってみるとゴム製のグリップに突起物が1つあることに気づく。
これは、ペンの転がり防止のためのストッパーの役割になっているようだ。
製図をしている人の机は、斜めになっていることが多いので、
プロの人たちにはきっと、こうした配慮は助かるに違いない。
プロでない私は、この出っ張りを違うふうに使っている。
それは、握った時に、親指を添えるというもの。
こういうちょっとした手がかりがあるほうが、
とても安定したグリップが得られように私には感じる。
□このペンのリフィルの交換方式がとってもいかす。
ついつい、ボディをひねって分解したくなるところだが、
これはちょっと違う。
ペン先の反対側を見てみると、両端が半円状にくぼんでいる。
そこに指をかけて、中に収まっている軸を押し出すと
ペン先側からリフィルが少しばかり顔を出す。
それを引っ張りだすと、ボディと同じくらいの長さのリフィルがみるみると
出てくる。
リフィルを装着するには、ペン先側からリフィルを差し込んでいくだけ。
リフィルのボディに付いているレール状の溝が、本体ボディとしっかりかみ合う
仕組みになっているので、少しのがたつきもなく、しっかりと固定される。
差し込むだけという簡単さと、プロのミリ単位での使用に耐えられる
ペン先の安定性を両立した誠にいかした方式だ。
リフィルはなんと11種類も用意されている。
細いものは0.1mmから最大で0.8mmまで。
気分でお好みの太さのペンを入れてみるものいいと思う。
私は11種類の中のちょうど真ん中くらいのサイズである0.35mmリフィルを使っている。
ノートへ筆記にもちょうどいいし、いざとなればロディアの5mm方眼のひとマスの中にも
一文字を書き込むこともできる。
□製図用のペンというものは、結構値がはるものが多い。
そんな中、このマルス プロフェッショナルは1,050円と、
とってもお手頃価格。
プロの道具が気軽に楽しめる素敵なペンだと思う。
(2005年8月16日作成)
■ ステーショナリー マルス プロフェッショナル はこちらで手に入ります。
■ こちらでも手に入ります。
□ ステッドラー関連リンク
■ 「プロの道具」 ステッドラー芯ホルダー マルステクニコ MARS−780C
■ 「芯の出具合いを調整できるシャープペン」 ステッドラー REG 925 85−05
■ 「三角形軸の鉛筆」 ファーバーカステル GRIP 2001、ステッドラー Mars エルゴソフト