■ その13 「プロの道具」 ステッドラー マルステクニコ 芯ホルダー 780C 1,050円
□いすゞ117クーペ、フィアットパンダ、アルファロメオ ジュリアスプリントGT、 ニコンF3
さて、これらの共通点は何でしょう?
ジョルジェット・ジウジアーロ氏がデザインしたプロダクトです。
乗る人、使う人の身に立った、使いやすさと心に響くデザインは
年月がたっても色あせることなく、かえって愛着が増幅してくる
私の大好きなデザイナーの1人です。
□今回ご紹介するステッドラーの芯ホルダー MARS780Cは
かのジウジアーロ氏がデザインスケッチなどで使っているものです。
(雑誌のインタビュー記事で使用しているのを私が確認したレベルですが、、)
人が使っているのを見るとすぐ自分も欲しくなってしまう習性が出てしまった。
早速横浜そごうに入っているロフトに買いに走った。
□まさに、プロのためのペンといった感じ。
数ある芯ホルダーの中で発売以来30年以上もの間
プロのツールとして使われ続けている。
概観はステッドラーのトレードマークであるブルーを基調に
グリップ部分の銀色が映え、カラーリングが大変バランスが良い。
スリムなボディの割りにボディが長いせいか、握り心地は
なかなかのものがある。
ボディ素材の樹脂による、程よい軽さと
グリップおよびペン先のメタル部分と重みが
あいまって書くときの重量バランスは絶妙。
□グリップ部分はメタルの細かい格子状のギザギザが施されており
握り心地が良いのはもちろんのこと、プロのためのツール(道具)という
雰囲気を醸し出している。
軸部分はほぼ真ん中を境にペン先側が8角形軸、トップ側が丸軸
となっている。
通常の鉛筆によくある軸が6角形でなく、8角形であることが握りの良さに
大変貢献している。この8角形軸のおかげで、芯先が丸くなった時に
軸を多少くるりと回転させて、芯先のポジションを選ぶわけだが、
これが8角形軸だと、微調整が効いてとても良い。
鉛筆系はペン先を立てて書けば鋭い線、寝かせて書けばやわらかい線が
自在に書けるわけだが、
ペン軸が通常よりも長いこと、8角形軸が軸の中央まであることで
軸の真ん中あたりを持って、ペンを寝かせて書くときも確かなグリップが
得られる。
□使用する芯の太さは2mm。ほぼ通常の鉛筆と同じ程度といったところ。
2mmもあるので、多少強めの筆圧で書こうが芯が折れる心配はほとんどない。
今はもともと付属されているHBの芯で書いているが、HBのわりには
程よく柔らかな書き味が楽しめる。
私は念のためBの替え芯12本入り(780円)も購入した。
□芯ホルダーとはいえ、芯は鉛筆なので書いていくうちに
芯先は次第に丸くなる。
その芯を削るには、芯ホルダー専用の芯削りを使う。
いくつかのメーカーから出ているが、私は軽量・コンパクト
そして何よりお手ごろ価格(これは結構重要)の
ファーバーカステル社のものを愛用している(480円)
使い方は、芯ホルダーから芯を少し長めの2cmほど繰り出しておいて
芯先を芯削り器の穴に入れ、鉛筆削りの要領で回すだけ。
実は本体に芯削りが隠されているという情報を得て
早速試してみた。その芯削りはペンのトップ部分のキャップに
仕組まれていた。キャップの片側に小さな穴が開いていて
そこに芯を入れてぐりぐりとまわせばいい。
お世辞にも削り心地はいいとはいえないが、
緊急時の芯削りとしては十分だろう。
ただこの時に気をつけたいのが、芯の削りカスを十分落としておかないと
手や机や果てはシャツなどを汚してしまう危険性がある。
□本来、このMARS780Cはデザインや製図用のペンだが、
日常使いのペンとしても十分使える、というよりも
かなり使いやすい。
ジウジアーロが自分の手の延長としてこのペンを駆使して
数々の作品の初期スケッチを描いたかと思うと、
何か私もすごいものが描けそうな
そんな気持ちにさせてくれるペンである。
■ ステッドラー 芯ホルダー 780Cは「分度器ドットコムさん」で手に入ります。
□ ステッドラー その他のコラム
■ 「芯の出具合いを調整できるシャープペン」 ステッドラー REG 925 85−05
■ 「由緒正しき製図ペン」 ステッドラー マルス プロフェッショナル712
■ 「三角形軸の鉛筆」 ファーバーカステル GRIP 2001、ステッドラー Mars エルゴソフト
■ ジウジアーロがデザインした椅子
■ 「ジウジアーロデザインの椅子」 岡村製作所 コンテッサ