■ 「 アメリカン ヴィンテージを感じさせるシャープペン」
レイメイ藤井 A.G SPALDING & BROS シャープペン 900円+tax
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□ 実は、野球用品メーカー
「SPALDING」というと、
私は小学生時代を思い出す。
ロゴが印刷されていた文具が
いくつもあった。
私も当時、
たしか筆箱かなにかを持っていたように思う。
そのせいか、
私の中ではどちらかと言うと
子供向けのブランドというイメージがある。
先日、レイメイ藤井のフェアで
「A.G SPALDING & BROS」という
ステーショナリー シリーズを見て
そのイメージがガラリと変わった。
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ロゴのデザインも違うし
子供の頃に抱いていたイメージとは
全く違う大人の空気がそこには漂っていた。
今回、はじめて知ったが
「A.G. SPALDING & BROS」とは
創業者 ALBERT GOODWILL SPALDINGの名前。
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彼は19世紀に
ボストン レッドストッキングス、
シカゴ ホワイトストッキングスで
投手として活躍していた。
後に
野球殿堂入りも果たした人物だ。
1876年に野球を引退してからは
スポーツ用品ビジネスを
シカゴとニューヨークではじめた。
彼が開発した野球のボールは
その後100年にわたり
メジャー・リーグ・ベースボールの公式球として
使用されていたという。
その当時のクラシカルなロゴを
使ったのが、
今回のステーショナリー シリーズだ。
今回新たにレザープロダクトも
加わっている。
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そのシリーズの中で
私が注目したのがペンシル、
つまりシャープペンだ。
いくら歴史あるブランドだからと言って
名前を付けただけなら
私の文具アンテナは反応しない。
しかし、
このシャープペンに
私のアンテナは激しく反応した。
聞けば、
このシャープペンは、
すでに30年も前から販売されているものだという。
レイメイ藤井がラインセンスを受け
企画・製造し
日本では、ごく一部のショップで
販売していた程度で
主には、海外に輸出していたそうだ。
どうりで
私は今回はじめての出会いだった。
当時のデザインのまま
今も販売され続けている。
流行というものは
大きなうねりの中で
繰り返されていく。
30年前のものが
グルリとひとまわりして
今また魅力的に見えるようになってきたのかもしれない。
□素材感のあるアルミボディ
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少々太めのボディは、アルミ製。
よくあるアルミは
表面がザラザラしているが、
これには、それがない。
ツルツルとしているが
握った時に
指先が滑る感触はなく、
少しばかりしっとりしていて
指先の指紋をしっかり捉える。
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何か独特な表面処理をしているようだ。
ただ、
それだけではない
ただものならぬものが
このアルミボディからは感じられる。
なぜそう思ったかと聞かれても
うまく答えられないのだが、
とにかく
そう感じたとしか、言いようがない。
人は、素材を見て手にすると
それがうすっぺらな素材で作られたものか
分厚いものかが何となくわかるものだ。
このアルミボディからは
厚みをとても感じた。
ノックボタンの方から見ると
なるほどとても肉厚なアルミが使われている。
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□見た目だけでなく書き心地も◎
このアルミボディの中で
ペン先だけが色味が違っている。
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少し青みがかっている。
分解してみるとわかるが
このパーツ、そして内部に真鍮が使われている。
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真鍮はアルミに比べ重く、
これにより低重心になっているのだ。
「やじろべい」のように
バランスをとってみると
たしかに少しだけ
ペン先側に中心があった。
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丸みを帯びたアルミ製のノックボタンを一回押し込むと
0.5mm芯とともにペン先から
ガイドパイプがニョキッと出てくる。
そのガイドパイプのフォルムが
少し変わっている。
先端の角が
なだらかになっているのだ。
もう一回ノックして
芯をちょうどいいくらいに出してみる。
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なだらかなガイドパイプということで言えば、
カランダッシュ エクリドールなどヨーロッパ系の
ペンシルでよく見かける。
一方まっすぐなガイドパイプは
グラフ1000などの製図用シャープペンによくある。
このスポルディングのものは
根もとはストレートだが、
先端だけなだらかになっている。
ちょうど2者の中間的存在で面白い。
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私は
この芯先まわりの眺めにうるさい。
なぜなら
文字を書くときに
凝視するからだ。
さぁ書こうとする時に
その眺めが美しくないと落ち着かない。
このペンは
なだらかなガイドパイプのせいもあって
芯先まわりのラインが美しく決まっている。
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アルミボディの軽さの中にも低重心があり、
書き心地がよい。
ペンの走りだけでなく脳の動きまでもを
スムーズにしてくれそうだ。
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□今は、まだ新しいが
理想とするのは、
使い込まれたゼロハリバートンのスーツケース。
所々にキズが付いたり凹んだりしていくと
きっとアメリカン ヴィンテージらしさがより色濃く出てくることだろう。
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それにしても
これで900円というのはリーズナブルだ。
*記事作成後記
ノックボタンのアルミは、
ボディよりもさらに肉厚でした。
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これで0.7mm芯タイプがあるとうれしいですね。
(2015年9月22日作成)
■ A.G. SPALDING シャープペンは、こちらで販売されています。
■ ミニサイズもあります。
□ レイメイ藤井 A.G. SPALDING
■ Facebookページ はじめました。
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