■ 「普段使いできるコットンペーパー」 サウスワース社 ライティングパッド 1,575円
□コットンペーパーと言うと、私が真っ先に思い浮かべるのが
上質な便箋や封筒。
ちょっとざらざらした質感はコットンならではの暖かみや風合いがある。
コットンペーパーの便箋に万年筆で書いていると、
そのざらざらとした面にペン先が意外とスムーズに滑り、
インクがすぅっとしみこんでいく。
にじみもほとんどなく、それはそれはいい書き心地。
コットンペーパーと万年筆はなんといい組み合わせなのだろうと
常々感じていた。
そんな折、普段使いできるレポート用紙タイプのコットンペーパーと
出会うことができた。
それが、このサウスワース社のライティングパッドだ。
□ライティングパッドの説明に入る前に
簡単にコットンペーパーについてご紹介しておきたい。
コットンペーパーは文字通り、綿から作られた紙のこと。
私たちがよく使っている木材パルプの紙と違うのは
その保存性の高さ。
欧米では、公式文書にはコットンペーパーが使われている。
実際、サウスワース社のコットンペーパーはリンカーン大統領も使用していて、
その当時の文書が今もほとんど変わらぬ姿のまま残っている。
また、環境にもやさしい紙でもある。
木は成長するまでに何十年、何百年もの長い期間が必要となるが、
コットンは一年草なので、毎年収穫できるという利点がある。
□話を戻してこのライティングパッド。
概観はリーガルパッドホルダーのようなブラックのカバーがついている。
このカバーは厚手の紙で出来ている。
カバーを開いた左側には大きなポケットが付いているので、
切り取った紙を挟みこんでおくことができる。
ちなみに、ライティングパッドのサイズはリーガルパッドと同じ
レターサイズになっているし、
パッド単体(787円)でも、別売りされているので
市販のリーガルパッドホルダーに入れ替えて使うという手もある。
□と、ここまでのところでは、
単にレポート用紙やリーガルパッドのコットンペーパー版ではないか、
と思う方もおられることだろう。
でも、このライティングパッドには
それだけではない、心憎い配慮がある。
□表紙と一枚目の紙をめくると、
そこには、ちょっと場違いとも思える真っ黒な紙が2枚綴じこまれている。
黒い紙はそれだけで、その後ろにはずっと白いコットンペーパーが
続いているという不規則な流れ。
この黒い紙、何に使うかというと、
その黒い紙の上に白いコットンペーパーを重ねてみると一目瞭然となる。
真っ白に見えていた紙には、うっすらと罫線が浮かび上がって見えてくる。
その罫線は、印刷されたものではなく、
なんと、透かしで出来ていたのだ。
その透かしをより見やすくするために、先ほどの黒い紙があったのだ。
書くときだけ下敷き代わりに使えば
罫線が見えて、まっすぐ書くことができる。
コットンペーパーと言うと、罫線などない無地の便箋というイメージがあるので、
罫線がびっちりと印刷されているよりも、こうして見ようと思えば見える
くらいの透かしの罫線のほうが、コットンペーパーらしくていいと思う。
□このライティングパッドに使われている紙には、
コットンが25%含まれている。
100%コットンではないけど、見た目や手触りと言う面からも
十分コットンらしさがある。
万年筆で書いてみると、コットンペーパーならではのものがある。
インクの発色もよく、とてもスムーズな書き心地。
以前、私を虜にさせたインクがすぅっとしみこんでいく感じも
しっかりと健在。
モンブラン、ラミー、パイロットの万年筆インクで試したところ
どれも裏写りは見当たらなかった。
なので、しっかりと裏面も書くこともできてしまう。
なお、裏面を書く場合は、
ミシン目があるので、ピリピリと切り取って裏返せばいい。
□普段の生活では、そんなに使うことのないコットンペーパー。
こうしたライティングパッドなら、仕事などいろんな場面でも
気軽に使うことができる。
コットン独特の風合い、書き味を毎日味わえるちょっとした贅沢品だ。
(2005年12月20日作成)
■ サウスワース社のライティングパッドは、アサヒヤ紙文具店さんで手に入ります。
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