■ 「鉛筆を使うのが楽しくなる」
鉛筆ホルダー+レザーキャップ selected by 文具ショップ プラーナ 4,200円
□やっぱり鉛筆は使いやすいと思う。
たとえば、
仕事中に電話がかかってきて大急ぎで
メモを取ろうとする時、
私の手は無意識のうちに
いくつものペンが入っているスタンドから
鉛筆を選び取る。
あくまでも無意識のうちに。
鉛筆は
ノックしたりキャップを外したり、
書き始める前に
特に何もしなくても
すぐに書けるということを
私の手はよく知っている。
こうしたいざという時だけでなく、
アイデアを考えるときにも鉛筆をよく手にする。
とても頼りにしている筆記具。
しかし、
考えてみると私が鉛筆を使うのは、
どちらかと言うと仕事場が中心だったように思う。
これはそんな鉛筆に
「よそ行き」の装いをさせたようなイメージ。
さらに心地よく鉛筆と付き合うことができそうだ。
□これを企画したのは
「文具ショップ プラーナ」の森永さん。
文具好きが高じて
ショップを立ち上げたという方。
今回のアイテムは
ホルダーとキャップで構成されている。
まずは、
ホルダーからご紹介したい。
「補助軸」ではなく「ホルダー」とあえて呼んでるところに
ちょっとしたこだわりがある。
「補助軸」は
短くなった鉛筆を握りやすいように
まさに補助するためのものだ。
実は、
森永さんはもともと鉛筆をあまり使っていなかった。
最近では
大人も使える素敵な補助軸が色々と出ているが、
森永さんは使い込んだ
短い鉛筆を持っていなかったので、
興味あるものの
自分とはあまり縁のないものと、
そう思いこんでいた。
それから
鉛筆を手にしない森永さんにとって
鉛筆は、
日頃よく使っているボールペンや万年筆と比べて、
どうしても少し細過ぎて、軽る過ぎるとも感じていた。
ならば、
長めの鉛筆が使えて、
細すぎず、軽すぎないものを
作ってみてはどうだろうかと、
思いついた。
という訳で「補助」ではなく、
鉛筆を快適に使うためのホルダーなのである。
□森永さんが目を付けたのが
「Stylo Art(スティロアート)」さんの鉛筆ホルダー。
木目が美しいホルダーだ。
ただ一つ問題があった。
それは、
鉛筆を差し込む穴の深さが一定でなかったこと。
鉛筆が深くセットできるものもあれば、
やや浅くてセットした鉛筆が
すこしだけ長く飛び出してしまうものもあった。
そこで、
森永さんは Stylo Art さんに
ホルダーの穴の深さを一定にしてもらうよう
お願いした。
その際
長目の鉛筆もセットできるよう
できるだけホルダーの穴を深くしてもらうことにした。
ただ、
このホルダーは
無垢の木から作っているので、
奥深くまで削るのは
決して簡単なことではない。
そこをなんとかお願いして
作ってもらった。
できあがったホルダーの内側は
もうこれ以上削ったら
反対側に穴があいてしまうというくらい、
ギリギリのところまで削ってもらった。
新品の約17.5cm ほどの鉛筆をセットすると
もともとの鉛筆よりプラス2cmくらい長くなる程度。
新品の鉛筆を
これでも使えないことはない。
ただ、
快適に使うという点では、
まだちょっと長い。
□特注の鉛筆ホルダーを作った森永さんは、
その勢いに乗って
少しだけ短い鉛筆も併せて作ってみることにした。
北星鉛筆さんに依頼して
13cm の鉛筆を作ってもらった。
この13cmの鉛筆をホルダーにセットしてみると、
スルスル・・・スルスル・・・と深々と収まっていく。
鉛筆を削ったところぎりぎり、
つまり、鉛筆の首まできっちりと収まる。
この鉛筆を使えば、
はじめから心地よい鉛筆ライフが楽しめるわけだ。
ちなみに
この短めの鉛筆は別売りだが、
B 、2B 、4B と柔らかめのものが用意されている。
もちろん、
この鉛筆に限らず、
自分の持っている鉛筆をセットすることも可能だ。
□次にキャップ。
森永さんが製作を依頼したのは
「 Aging(エイジング)」さんという革工房。
Aging さんでは、
もともと鉛筆用のレザーキャップを展開していた。
それをベースにして
今回のホルダーに合うキャップを
森永さんは作ってもらった。
このキャップがいいのは、
芯先にセットできるのはもちろんのこと、
筆記時にはキャップをホルダーの尻軸に
スポッとセットできてしまうところだ。
もちろん芯をキリリと尖らせた
芯先もほどほどに保護してくれる。
□さて、書き心地はどうだろうか。
見た目には
ややふくよかなフォルムなので、
ちょっと太いかもと思ったが
手にしてみると意外と自然。
特に日頃から万年筆を使っている私には
すんなりと馴染んだ。
ちなみに、
実際に握るのは
メタルのギザギザ部分なので実はあまり太くない。
それから軽さにも自然さがある。
ホルダー部分があるので、
当然その分重くなってはいる。
見た目には
いかにも重厚なウッドという感じだが、
これも意外と軽量。
たぶん、
軸の内側を奥深くまで
削っているからなのかもしれない。
この軽さがごくごく普通のペンという感じで、
重すぎずかといって軽すぎずちょうどいい。
紙の上に芯先を走らせると
「シャラシャラ」という音がする。
鉛筆単体では聞こえない音だ。
書いている時の芯の振動が
木軸に伝わっているからなのだろう。
□私が手に入れたホルダーはケヤキ。
ウッドならではのナチュラルな風合いがあり、
木目もしっかりと堪能できる。
なにより気に入ったのは、
手にした時のすべらかなさわり心地。
これがとても心地よい。
このナチュラルウッドに鮮やかなレッドのレザーキャップとの
相性も個人的に気に入っている。
よそ行きの鉛筆として使っていこうと思う。
(2013年4月16日作成)
■ 補足
ホルダーはケヤキを含めて
全部で4タイプ。
右から、ウォールナット、ケヤキ、そして左2本がタモ。
(写真には写っていませんが、ヤマザクラというタイプもあります)
ちなみに、
タモは、野球のバットに
よく使われている素材だそうです。
なるほど
たしかにそんな雰囲気があります。
キャップも全部で4色。
これは森永さんが愛用している鉛筆ホルダー&キャップ。
いずれもいい味が出ています。
■ この鉛筆ホルダーは「文具ショップ プラーナ」さんのみで販売されています。
□ 鉛筆関連リンク
■ 「鉛筆を愉しもう」
■ 「最後まで鉛筆を慈しむ道具」 鉛筆補助軸いろいろ
■ 「やっぱり鉛筆。」 ファーバーカステル UFOパーフェクトペンシル
■ 「老舗文具屋さんのシンプル鉛筆」 伊東屋 イートンペンシル
■ 「三角形軸の鉛筆」 ファーバーカステル GRIP 2001、ステッドラー Mars エルゴソフト
■ 「レトロなエンピツ」 三菱鉛筆 局用鉛筆
■ 「もう一度鉛筆をもってみたくなる」 ステッドラー ペンシルホルダー 900 25
■ 「大人の鉛筆削り」 DUX社 鉛筆削り
■ 「ちょっと変わった2刀流 鉛筆削り」 KUM社 ロングポイント鉛筆削り