■ その90 「鉛筆を最後まで慈しむ道具」 鉛筆補助軸いろいろ木製の補助軸 483円 *当時価格 (表参道のpess sixさんで購入)
□何事も減っていくというのは、あまり歓迎されることではない。
最近高くなった車のガソリンや、財布の中身など。
でも、鉛筆についてはそうは思わない。
使い込んでいくに従い短くなっていく鉛筆を見ていると、
「あぁ、もうこんなに使ったのか。。。」とその減り具合から
自分の仕事の成果みたいなものを感じられて、なんだかうれしい。
すっかりとその姿を変えた鉛筆に愛おしさすら覚える。
でも、
短くなった鉛筆を使っていると、なんだか人間の器も小さいみたいに
みられてしまう気がして、人前で使うのはちょっとばかり、
気恥ずかしい感じもする。
愛おしい相棒を使えないもどかしさとでも言ったらいいだろうか。
そんな時に、役立つのが補助軸という存在。
またの名をエクステンダーとも言う。
今回は、私が集めてきた、とっておきの補助軸たちをご紹介したい。
■ 伊東屋オリジナルの補助軸
先ごろ発売された伊東屋オリジナルの補助軸。
伊東屋のオリジナル鉛筆、イートンペンシルのデザインのシンプルデザインを
そのまま補助軸にしましたというとても潔いデザイン。
メタル製のボディの表面には、まるで消しゴムのようなラバー塗装が
施されている。
手に程よく吸い付くと同時に、ホコリや汚れまでも吸いつけてしまう難点はあるが、
使い込んでいけば、いずれはよごれていくものなのだから、
そんなに気にする問題ではないように思う。
使い方は、補助軸の穴に鉛筆を差し込んで、補助軸のトップにある銀色の
ネジを回して、鉛筆を固定すればいい。
一般的な補助軸と違う点は、鉛筆を固定するためのネジが
ペン先側ではなく、後ろ側にあること。
このおかげで、すらっとしたボディに仕上がっている。
補助軸のグリップ部分には、握りやすいように凸凹がある。
よく見てみると、それはらせん状にぐるぐると回っている。
実はこれ、先ほどの鉛筆を固定するためのねじ山も兼ねていたのだ。
イートンペンシル同様にレッド、ホワイト、ブラック、グレーのカラーバリエーションが
用意されている。
短くなった鉛筆をカジュアルな気分で使うにはもってこいだ。
せっかくなので、イートンペンシルに合わせて使ってあげるのが
いいと思う。
■ 定番の補助軸
次に、メタル素材をそのままに生かしたお馴染みの補助軸。
文具屋さんに行くと、よく見かけるタイプがこれだ。
先ほどの伊東屋さんのタイプと違い、鉛筆を固定するネジがグリップ部分にある。
このタイプ特有の面白いことを発見した。
それは、筆記音。
この補助軸で書いてみると、シャラシャラという音を奏でる。
鉛筆単体では、決して耳にしたことのない独特な音だ。
これは、補助軸が密閉構造になっているので、
鉛筆の芯と紙が触れ合う振動が、補助軸の中で共鳴しているためだろう。
ちなみに先ほどの伊東屋さんのものでは聞こえてこなかった。
この響きを聞くには、ちょっとしたコツがある。
鉛筆を補助軸に指すときに鉛筆を深めにさして、
書く時には、補助軸を握るというもの。
鉛筆部分を握っても、音はしない。
短い鉛筆ならではのちょっとした楽しみになりそうだ。
■ 木製の補助軸
最後は、木製の暖かみある補助軸。
鉛筆と同じ木で出来ているので、当然相性はばっちり。
しかしながらこのタイプを使うには1つ注意点がある。
それは、かなり短くなった鉛筆にしか使うことができないということ。
これまで紹介してきたタイプと違い、
この補助軸は、金具の部分までしか鉛筆を差し込むことができない。
長さにして6cmくらいの鉛筆をさすと、いっきょに新品の鉛筆くらいの
長さになってしまう。
なので、かなり短い鉛筆しか使えないという訳だ。
短くなった鉛筆にしか使えないということは、
それだけ、鉛筆には使い込まれた味わいが出ている。
一方、この補助軸には木が使われているわけだから、
メタルにはない味が次第に刻みこまれていく。
その味わいがあるもの同士の絶妙な組み合わせとなる。
これもまた、趣きのある鉛筆との付き合い方だ。
□自分の身を、まさに削ってまで、頑張って短くなった鉛筆に
もう一度、息吹を与えてくれる補助軸。
鉛筆の最後のその時まで、大切に扱ってあげれば
きっと、鉛筆も喜んでくれるに違いない。
そして、1本の鉛筆を使い終わった時には、
なんとも言えない達成感を味わうことが出来る。
(2005年9月27日作成)
■ 伊東屋 鉛筆用補助軸 赤は、こちらで販売されています。
□ 参考情報
伊東屋オリジナル補助軸 380円
銀色のメタルタイプ補助軸 110円 (銀座五十音さんで購入)
□ これまでご紹介した鉛筆関連の評論
■ 「老舗文具屋さんのシンプル鉛筆」 伊東屋 イートンペンシル
■ 「大人の鉛筆削り」 DUX社 鉛筆削り
■ 「ちょっと変わった2刀流 鉛筆削り」 KUM社 ロングポイント鉛筆削り
■ 「サバイバルから鉛筆削りまで 」 ウェンガー ソルジャー
■ 「やっぱり鉛筆。」 ファーバーカステル UFOパーフェクトペンシル
■ 「三角形軸の鉛筆」 ファーバーカステル GRIP 2001、ステッドラー Mars エルゴソフト
■ 「ありそうでなかった組み合わせ」 トンボ鉛筆 黒赤鉛筆 木物語
■ 「レトロなエンピツ」 三菱鉛筆 局用鉛筆
■ 「鉛筆を愉しもう」