■ 「変幻自在の消しゴム」 ホルベイン 練りゴム 126円
□ずっと「練り消し」と呼んでいたが、
画材としては「練りゴム」ともいうらしい。
今、私が使っている
ホルベインのウェブカタログを見ても、
やはりそうなっている。
商品名に肝心の「消し」という言葉が入っていないのは
気になる。
しかしながら、
改めて考えてみると、
私はこれまでこれを「消す」ために
全然使ってこなかったことにフトと気づいた。
私は、
これを主にペンを撮影する時の固定用に使ってきた。
ペンは軸が丸いものが多く、
それを机の上でクリップを上側にして
固定するのがとても難しい。
それを固定させるのに練り消しがとても役に立っていた。
コネコネと練って、
ビーッと引っ張って小さい塊をつくり、
それをペンの裏に貼って固定するというものだ。
【 裏から見るとこうなっている 】
そういう意味では
まさにゴムを練っているだけで、
全くもって「練りゴム」として使っていた。
「練りゴム」というネーミングがおかしいなどと
言える筋合いではない。
□そこで、
もう一つの、
というよりも本来の用途である
「消す」ことに使ってみることにした。
やってみると、
これがなかなかいい。
当初は「練り消し」というものは、
デッサンなどをする人が使うもので、
一般の私には縁がないものと思いこんでいた。
しかし、
全くそんなことはなく、
私たちにとっても十分便利な
道具であることがよくわかった。
今更ながら「練り消し」の「消し」の便利さに
感心してしまった。
□消し心地としては、
これまで私たちが使ってきている
「プラスチック消しゴム」とは大きく違う。
練り消しは、
ふつうの消しゴムと違って、
そもそもこすって消すものではないそうだ。
こするのではなく、
消したいところを押さえて消していくものだという。
確かにポンポンと押してみると
文字が薄くなっていく。
消えた文字は、
練り消しに写し取られたようになる。
汚れてしまった部分は、
引っ張ったりこねたりして、
キレイな面を作り出していく。
本来の使い方ではないと思うけど
擦っても消せないことはない。
ただ、
素材的にとっても軟らかいので、
いつものようにゴシゴシやろうとすると
クニャクニャして安定感がない。
そこで、
いつもよりも先端側をつまんで擦ることになる。
この擦った時の感触も全然違う。
昔、理科で習った
「摩擦係数」がとても大きい。
つまり、
消し心地がザラザラとしていて
紙の上をスムーズに滑っていかない。
紙の表面を触ってみると、
練り消しの細かなカスみたいなのが付着していて
ザラザラとしている。
そこで、
先ほどのように練り消しをポンポンと押してみると、
キレイにすることができる。
そう、
練り消しは、消しカスが出ないのだ。
この点は、練り消しの大きなメリットだと思う。
普通の消しゴムは文字をゴシゴシと擦っていくと、
消した文字がこすり取られて
消しカスへと姿を変えていく。
それに対して「練り消し」の方は、
消した文字を
練り消しの自らの体の中に取り込んでいってくれる。
自分で出したものを
自分でちゃんと後始末をしてくれるのだ。
ふと思ったのだが、
この練り消しの片付け上手な面を活かして
いつものプラスチック消しゴムのカスを
吸い付けてくれる
専用のものがあったら便利かもしれない。
たとえば、
「消しカス練りトル」とかいうネーミングで。。
□そして、
もう一つの練り消しのメリットとしてあげたいのが、
形が変幻自在になるということだ。
ちょっと硬めの粘土くらいなので、
コネコネすれば
いかようにも形を変えることができる。
これを利用すると
「自作角消し」みたいなことも出来てしまう。
たとえば、
手帳に細かく書き込んだ予定を消すとする。
練り消しの端っこを細くして、
その先端で消すことができる。
もちろんクニャクニャとした素材なので、
細くすると不安このうえないのだが、
消せないことはない。
また
逆に広く消したい時は、
それ用に形を替えられる。
つまり、
消す対象に合わせて
自由に変えられる訳なのだ。
この形が変えられる良さは、
消す時だけではない。
ペンケースにしまう時に、
あまり大きなスペースがないこともある。
そんな時は、
練り消しをそのスペースに合わせて
細くしたり短くすればいい。
また、
仕事中に練り消しを握って
クニャクニャとこねて指の運動をしたり、
さらには
ビーッと引っ張っれば、
ストレス発散にもなる。
□今、私のペンケースには
プラスチック消しゴムとともに
「練り消し」も入っている。
用途や気分を合わせて使い分けている。
(2012年6月26日作成)
■ 関連リンク
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■ 「使うほどにわかる計算しつくされたデザイン」 ラミー2000 ペンシル
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■ 「やっぱり鉛筆。」 ファーバーカステル UFOパーフェクトペンシル