■ その15 「所有する喜びが感じられる手帳」 MOLESKINE ポケット ルールドノート 1,890円


モールスキン モレスキン 手帳

□毎朝、仕事に行く電車の中でラフ原稿を書いている。
 周りはといえば、本を読んでいる人、携帯電話を見ている人、携帯メールをしている人
 などいろいろ。
 
 携帯メールをしている人たちを見ているとよくもまあ、あんなに早く
 親指が動かせるものだと感心してしまう。親指だけ発達しやしないか
 はたから見ていて心配になってしまう。

 私みたいに手帳を出して書いているほうが返って最近は珍しい存在かもしれない。


□電車の中での執筆だが、これが結構集中して書けてよい。
 机に座って書くと変に肩に力が入ってしまうが、
 その点、電車の中だと適度な音、揺れ、人ごみが返って集中するのに
 ちょうどよい環境になってくれる。


□その執筆に使用しているのが、今回紹介するMOLESKINE ポケット
 ルールドノート。私はこのMOLESKINEをネタ帳として愛用している。

 MOLESKINEの本来の意味はもぐらの皮ということらしい。
 もぐらの皮のような合成皮革ものを今はMOLESKINEと呼んでいることが
 多い。

 確かに、この手帳の外観の革(おそらく合皮)の手触りはソフトな感触で、
 もぐらっぽい。

 といっても、もぐらに触った事はないが、イメージ的に・・・・

□このMOLESKINE手帳、歴史は古く、200年にもおよぶ、
 画家のヴィンセント・ヴァン・ゴッホ、マティス、作家のヘミングウエイも
 愛用していたというからすごい。


□外観の特徴に入る前に、店頭で販売されているパッケージについてふれてみたい。

 手帳にシックな色合いの紙の帯がついている。オレンジ、レッド、ブルーなど
 手帳の種類によって色がちがう。
 手帳の黒地にこのカラーの帯がなんともマッチしていて、目を引く。
 店頭で思わず手にとってしまう、こういうデザインはさすがイタリアだ。

 残念ながらこの帯は手帳使用時にははずさなくてはならない。
 その帯をはずしてしまうと、とたんに普通の黒一色の手帳になってしまうが、
 実は、いろいろなうれしいこだわりが施されている。


□まず、手帳の本質となる中身の紙が見た目少しクリーム色っぽくて
 目にとても優しい。私は鉛筆系(ステッドラーの芯ホルダー)で書いているが
 鉛筆との相性はばっちりで、とても心地よい滑らかな書き味が楽しめる。

 総ページ数が192ページもあり、十分な量があり、
 使い込むのにも結構な時間がかかる。
 それにあわせて外観のやれ具合もちょうどよくなってくる。

 手帳をポケットやカバンに入れたときに意外に気になるのが
 中の紙が折れたり、汚れたりしてしまうこと、このMOLESKINE
 は外側にゴムのベルトがしつらえてあるので、とめておけば
 中の紙が痛む心配はない。
 このベルトをはずしたり、パチッととめたりするのは
 書きはじめ、と終わりの1つの儀式として楽しい作業になる。


□外側のカバーはとてもしっかりしていて、かなりの厚みがある。
 このおかげで手にした時の重厚感があるとともに、
 手帳を手に持って筆記する時はしっかり書けて助かる。


□かゆい所に手が届く配慮としては、
 手帳の最終ページにポケットがついている。

 ポケットのサイドにマチがついているので出し入れが楽に行える。
 私は、購入したステイショナリーのレシートを入れておいて、原稿を
 書くときに、そういえばあのペンいくらだっけという時にそのポケットから
 レシートを出して見るといった使い方をしている。
 レシート以外に名刺も数枚忍ばせている。

 紙状のものであれば結構はいってしまう。万が一ポケットが膨れてしまっても
 前述のゴムのベルトがあるので、それでとめておけば落とすこともなく安心だ。


□表紙を開くとこんな文章が書かれている
 「もしこの手帳を拾ったら、下記まで送ってください。お礼として  ドル差し上げます」
 とある。(もちろん英語で)
 所有者の連絡先と礼金が空欄になって書けるようになっている。

 ここにMOLESKINEの手帳に対する1つの深いこだわりを感じる。
 
 それは、はじめはまっさらだが、この手帳にそれぞれが想い想いの重要な事柄を書き、
 いつしか自分にとって価値あるものになる。
 その価値を自らが作り、その価値も自分で決めてください。
 ということが使い手に委ねられている。

 そういうことを含めて、このMOLESKINEを心して使うように、と訴えかけているような
 そんな感じがする。


□実際、MOLESKINEのパッケージの帯にはこんな事がかかれている
 
 「パスポートを無くすのはたいしたことではないが、手帳を無くすことは破滅的なことだ。」

 それに象徴されるようにMOLESKINEは手帳を単なるメモ書きとしてだけでなく、
 その使い手の重要な事柄を記された、その使い手の分身というくらい重要なものとして
 位置づけているのだろう。


□ちなみに、私は、MOLESKINEを拾った方への礼金の欄は
 まだ空欄のままになっている。
 この手帳を買った当時の1,500円にしようか、はたまた2,000円にしようか迷っている。

 今はまだ、この手帳に自分の価値を入れ込んでいる作業中なので、
 もう少し経ってから決めようと思っている。

モールスキン モレスキン 手帳


■MOLESKINE ルールドノートブック・横罫・ポケットは、こちらで販売されています。





<関連コラム>

■ 「たてに開くMOLESKINE手帳」 MOLESKINE レポーター

■ 「自分だけの旅のガイドブックをつくる」 MOLESKINE シティノートブック 

■ 「ノートで自己主張を愉しむ」 Paperblanks (ペーパーブランクス)

■ 「上質な装丁のカバーを末永く使える」 みすず堂 ハードカバーケースノート 

■ 「高嶺の花的 ノート」 丸善 ダックノート

■ 「そぎ落とすことで、見えてくるもの」 ミドリ MDノート 

■ 「 手帖。 」 MUCU ポケットブック

■ 「大切に使いたいリングノート」 ポスタルコ ノートブック

    * The notebook that is a joy to possess  the MOLESKINE ruled notebook


 TOP    他の文具コラムを見る

 画像で文具コラムを探す



Copyright (C) 2003 Tadashi Tsuchihashi,All rights reserved.