■ 「一枚一枚の積み重ねが大事」 みすず堂 ブロックメモ キューブ 630円
□街中に咲きほころんでいた桜の花もそろそろ散り始めてきた。
とてもきれいだった分、散っていくその姿を見るのは
なんとも切ない気持ちになってくる。
このブロックメモには、春を感じさせるすがすがしい美しさがある。
これを机に置けば、もうしばらくは春の余韻に浸れそうだ。
□みすず堂と言えば、だいぶ以前に紹介した「小口染めノート」でもそうだったが、
製本職人の技が生かされていることが特徴だ。
今回のメモブロックにもその技がいかんなく発揮されている。
横から眺めてみると、見事なまでのグラデーションが出来上がっている。
1mmもない紙を390枚積み重ねることで、この美しさを作り上げている。
カラーバリエーションは新緑と桜の2種類。
この2つを並べてみると、味気ない私の机の上がいっきょに華やいで見えてくる。
このグラデーション、一体何色の紙で出来ているのか
気になったので、数えてみた。
なんと、その数、たったの4色。
わずか4色で、これほどまでの美しさを表現しているのだから
これは、本当にすごいと関心してしまった。
□では、どのようにして作っているかというと、
基本は濃い色から、ページをめくるたびに薄い紙になっていくのだが
その構成はかなり込み入っている。
上から調べてみたところによると、
1番濃い色が 24枚、
2番目に濃い色が 2枚、
1番目に濃い色が 4枚、
2番目に濃い色が 3枚、
1番目に濃い色が 3枚、
2番目に濃い色が 4枚、、、、
という具合に、調べれば調べるほど訳がわからなくなっていく。。。
とにかく、
単純な規則で積み重なっているのではなさそうだ、
ということだけは私にも理解できた。
ただ、ひとつわかったことは、
数枚の紙をまとまて使い、その間に効果的に
それよりも薄い紙を織り交ぜながら、
微妙なグラデーションを作り上げているということだ。
しかも、この積み重ねの作業は手作業だというのだから
気が遠くなってしまう。。
□使われている紙は「タント紙」といわれるもので、
本の「見返し」というところによく使われるものだそうだ。
本の見返しと言っても、私自身もはじめて聞いた言葉だったのだが、
本の表紙をめくって最初に出てくる何にも書いていないページのこと。
よく作家の方がサインをするページだ。
新緑のグリーンの紙を見ていて、
どこかで見た色だな、、、と思っていたら
なんと私の本の見返しとほとんどおんなじ色だった。
個人的に、ちょっとうれしい発見だった。
□紙の表面をみてみると肉眼でもはっきりとわかるくらいに
デコボコとしている。
そのデコボコ具合から、きっと書き味はそんなに期待できないだろうな、
と勝手に思っていたのだが、
そんなことはなかった。
万年筆で書いてみると、確かに凹凸の具合がペン先から
感じられるのだが、ゴツゴツという書き味ではなく
そのデコボコの上をすべるようにペン先が進んでいくというものだった。
しかも、スウッと気持ちよくインクを吸い込んでいく。
□製本の方式は無線綴じといわれるもので、
背表紙に合成のりをつけて1枚1枚の紙をビシッと綴じこんでいる。
さすが、製本職人の仕事だけあって
この製本がとても頑丈。
机の上にこのブロックメモを置いて、
ちょうど本のページを開くようにしてみると、
きれいな扇状になり、まるで花が咲いたような広がりを見せてくれる。
しっかりと綴じこまれているので、このように180度も広げきっても
紙が切り取れることはなかった。
ブロックメモなので、もちろん1枚1枚切り離すこともできる。
ちょっとしたメモ書きや、しっかりとした厚みの紙なのでメッセージカードなんかにもちょうどいい。
また、この頑丈な製本ゆえに、
小さなノートのようにページをめくりながら使うということもできてしまう。
□一枚一枚職人の手によって積み重ねられたブロックメモ。
そうした職人の技を味わいながら一枚一枚を大切につかっていきたいと思う。
と同時に、ひとつひとつは小さなことでもその積み重ねにより
大きなものをうみだすのだという事を改めて感じさせられた。
(2006年4月11日作成)
■ みすず堂 ブロックメモ キューブはみすず堂さんのオンラインショップで購入できます。
<関連リンク〉
■ 「造りのよさが感じられるノート」 みすず小口染めノート
■ 「上質な装丁のカバーを末永く使える」 みすず堂 ハードカバーケースノート