■ 「マニラフォルダー天国」
□今年の夏は
バカンスでフィリピンに行った。
我が家では、
最近アジアへの関心が高まっている。
中でも経済成長に勢いがあるアジアの国々。
昨年の夏は
マレーシアだった。
アジアの成長というものを肌で感じ、
それと共に
バカンスも楽しむというのが
我が家の家族旅行のメインテーマになりつつある。
それから
もうひとつ理由がある。
それは、
ここ数年の日本の異常なほどの猛暑。
テレビのニュースでは
猛暑や熱中症について連日報道されている。
私が子供の頃は
なかったことだ。
そんな中
昨年、マレーシアに行って気づいたのだが、
マレーシアの方が実はそれほど暑くなく
意外と過ごしやすかった。
地理的には
日本よりもずっと南にあり、
東南アジアということで
蒸し暑いというイメージがあったが、
今や気候の勢力図が変化しているようで、
日本の夏よりもずっと過ごしやすくなっている。
つまり、
東南アジアがちょっとした「避暑地」になっているという
意外な事実。
今回訪れたフィリピンもしかりで
日本よりも過ごしやすかった。
気温は、
26°~30°くらいで
日本の夏に比べたら
断然体に優しい。
湿度もそれほど高くなく
なにより夜の寝苦しさというものがなく
毎晩ぐっすりと眠ることができた。
ただひとつの難点は、
クーラーがこれでもかと
効きすぎているところ。
ショッピングセンターやレストランなどに入ると、
まるでスーパーマーケットの鮮魚売り場並に
冷え冷えしている。
防寒ならぬ、防冷対策が必要となる。
□さて、
そうした今回のフィリピンバカンスは
まずマニラからスタートした。
マニラと言えば、
フィリピンの首都。
いくつもの高層ビルがそびえ立ち、
建設中のビルもあり、
今、まさに勢いがあるということが
そうしたビルの多さで実感できる。
マレーシアのクアラルンプールでは、
中心街に世界のブランドショップが
軒を連ねていたが、
ここマニラではまだそこまでではないようだった。
それから、
これはフィリピン、マレーシアに共通して
感じたことだが、
町中にはピストルを持ったガードマンが
やけに多い。
たとえば、
マニラの金融系の会社がたくさん入っているビルは、
タクシーで車寄せに入る際に
一台一台武装したガードマンに止められ、
トランクを開けたり、車の底に爆弾などをしかけていなかを
棒のついた鏡でチェックしていた。
ガードマンはピストルを腰に携えている人だけでなく、
中には鉄兜にショットガンという
ものものしい出で立ちの人もいた。
ビルに入る際も
空港によくある金属探知機を
ひとりずつくぐり
ボディチェックも受ける。
こうした、
ボディチェックは
金融ビルに限らず
市内のちょっと大きなショッピングセンターに入る際も
行われていた。
はじめのうちは、
そのものものしさに
別になにも悪いことをしているわけではないのに
なんだかビクビクしてしまったが、
数日もすれば、
こちらもすっかりと慣れて、
ガードマンと笑顔を交わすまでになった。
□海外旅行と言えば、
その国ならではの文具探しが
私の大きな楽しみのひとつになっている。
しかし、
今回のフィリピンバカンスでは、
あくまでもバカンスを中心に据え
文具探しという点では、
正直全く期待していなかった。
というのも、
昨年訪れたマレーシアでは
そもそも文具店が少なく、
あってもめぼしい文具が見つけられなかったので、
きっとフィリピンも似たり寄ったりだろうと
そう確信しきっていた。
そんな中、マニラで
とあるショッピングセンターを
ブラブラと歩いていたら、
「OFFICE WAREHOUSE」というショップに出くわした。
きっと、
昨年のマレーシアの時と同じで
あまり収穫はないだろうと
それこそ期待値ゼロモードで店内へと足を踏み入れてみた。
店内には
ビジネス系文具が中心で
その他、各種事務用品、プリンター、PC周辺用品、
そして携帯電話なども販売されていた。
まぁ一応念のためチェックしておくかと
いつものやり方で
まず店の左側の通路からクネクネと
全ての通路を回ってみることにした。
一番はじめの通路は
ペン売り場。
ボールペンがズラリと並んでいた。
ドイツのシュナイダー、
そして韓国メーカーが幅をきかせていた。
こうして文具店に足を踏み入れると、
私の「ノドの奥の手」は
いつ飛び出していいように
臨戦態勢にはいる。
しかし、
このペン売り場では
ノドから手が出てくるということはなく、
このペン売り場では、
終始、ノドの手は引っ込んだままだった。
唯一、ノドの手が反応を示したのは、
コーリン鉛筆。
これはおそらく日本では売っていないものだろうと
2Bを一本だけ買うことにした。
ふつう日本での鉛筆売り場は、
硬度ごとに分けてディスプレイされているものだが、
ここでは、一カ所にドサッとまとめて入れられていた。
なので、
2Bが欲しい私は
まるでくじ引きみたいに
何回も鉛筆を取り出して硬度を確認しなくては
ならなかった。
となりの通路には
事務用の糊、テープ、付箋などがあった。
ここでは、
ノドから手は一度も出てこなかった。
まぁ、こんなものかと最後の通路を
足早に通りすぎようとした。
そこはファイル売り場になっていた。
と、ここで
これまですっかりおとなしくなっていた
「ノドの奥の手」が
ムクムクと反応しはじめた。
ファイル売り場の棚三台分という
結構なスペースを使い
「マニラフォルダー」が並んでいたのだ。
そうだ、
ここはマニラなんだから
「マニラフォルダー」があるのは
当たり前じゃないか。
なんでそんな簡単なことに
気づかなかったのだろう。
その売り場には
おそらく近くの会社で働いている
女性が小脇に書類を挟み込んだマニラフォルダーを
抱えて品定めをしていた。
これぞ
本場で正しい「マニラフォルダー」の使い方ではないかと
思わず興奮してしまった。
日本で書類をちょっとファイルしておく時は
「クリアフォルダー」を使うが、
ここマニラでは、
「マニラフォルダー」がそれにあたる。
きっと
フィリピンのオフィスでは、
空気みたいに当たり前な存在なのだろう。
□売り場を改めてみてみると、
一口に「マニラフォルダー」といっても
色々な種類があることに
驚かされる。
私が日本で愛用している
クリーム色をしたものから
はじめて見るものとして
横幅が長いタイプというのもあった。
後日、
現地の人に聞いたら、
この横長タイプは
リーガルパッド用とのことだった。
確かに
フィリピンの文具売り場では
少し長いリーガルパッドというものがあった。
さらに
マニラフォルダー売り場を
ひと棚ずつ丹念に見ていった。
次に目にとまったのが、
茶色のクラフトタイプ。
これぞ昔よく見ていた
アメリカ映画のオフィスシーンで
登場していた
マニラフォルダーの色に近い。
私が日頃使っているSMEADのものと比べると
その色の違いは一目瞭然。
色だけでなく、
紙質も別物。
どことなく段ボールのような質感。
こうした茶色がかったクラフト調だと
気になるのは
マニラフォルダーのしなやかさだ。
やはりマニラフォルダーは
クニャクニャとしていないといけない。
店頭で
少し遠慮しがちにクニャクニャと曲げてみると、
まずまずの「クニャクニャ」具合だった。
ちなみに
私がしなやかさを求めるのは、
中に入れた書類ごとパラパラとめくることができるためだ。
日本の「個別ホルダー」が
あまり好きではないのは、
このしなやかさに欠けるため。
そのためどうしても
書類の「閲覧」というよりも
「保存」が中心になってしまう。
これは
私のマニラフォルダーライフを
楽しくしてくれそうと思い、
6枚ほど買うことにした。
□次に見つけたのが、
白いマニラフォルダーに
なぜかビニールのカバーがついているタイプ。
私はグリーンを買ったが、
ほかにピンクやイエローなどもあった。
マニラフォルダーは
インデックスで書類を識別するが、
きっとこれはカバーの色そのもので
カテゴリー分けするのだろう。
これも後日、
現地の方に聞いたところによると、
フィリピンはホコリっぽく、雨もよく降るので、
フォルダーを汚さないためのカバーらしい。
つまり、
アウトドア仕様という訳だ。
□そして、
次の棚にはカラータイプもあった。
ただ、このカラーフォルダーで
やや気になったのは、
その紙質。
これは
コート紙のようなものが使われていて、
質感的にやや高級感がある。
マニラフォルダーとしては
その分しなやかさに欠ける。
マニラフォルダーならではの
ちょっとザラついた紙質で
こうしたカラータイプがあればいいのにと
不満を感じつつも
一応レッドとホワイトを数枚ずつ購入してみることにした。
気になる値段だが、
改めてレシートと現物をチェックしてみたが、
レシートの明細にはどれも
「FOLDER」としかなく、
どれがどれやら区別がつかない。
大体ひとつ4ペソ、
つまり、8円くらいのようだった。
□こうしたおみやげものというのは
買ってみて成功したと感じる時と
ちょっと失敗したかなという時もある。
それに気づくのは
大体において
日本に帰ってから。
今回、
私は買ったばかりのマニラフォルダーを
帰国を待たずに
フィリピン滞在中から使ってみた。
ちょうど
買ったばかりのおもちゃを
家まで我慢できずに
電車の中で開けてしまう子供のように。。
今回のフィリピンバカンスは
3週間ほどと結構長く、
バカンスだけでなく
仕事もする予定にしていたので、
その仕事の中で、
本場のマニラフォルダーを
次の滞在先であるセブのホテルで
使ってみた。
選んだのは、
あの茶色のマニラフォルダー。
しかかり原稿を
このマニラフォルダーにはさみ
ホテルのプールサイドにおもむき
マニラフォルダーを下敷き代わりにして、
原稿チェックを行ってみた。
実際に使ってみると、
これがすこぶるいい。
フォルダーのしなやかさは
これまで使ってきた
クリーム色よりもやや上かもしれない。
店頭でフォルダーを
試し曲げしたときには
気づかなかった。
やっぱり
実際にお金を払って買い、
しっかりと自分のものにした上で
普段の自分の生活の中に
一度じっくりと落とし込んでみないことには
本当の意味での
その文具の使い心地というものは
なかなかわからないものだ。
あまりの使い心地のよさに
今更だが、
この茶色タイプを
もっと、それこそ20~30枚くらい
買っておけばよかったと悔やまれた。
セブのショッピングモールで
文具店を探してみたが、
残念ながら
そもそも文具店自体がなかった。
ショッピングモールに入っている
ちょっとしたデパートのようなところで、
おもちゃ売り場の隣にある文具売り場を
チェックしてみた。
すると、
あるではないか、
マニラフォルダーが!
マニラフォルダーは
フィリピンの人たちにとって
きっと欠かすことのできない
ステーショナリー アイテムなのだろう。
ここで茶色タイプを3パック(計30枚)を買った。
【 すでに1パックは封を切って使ってしまったので、写真は2パックです。。】
当面、
日本で使う分は
確保することができた。
フィリピンでは、
こうしたマニラフォルダーは
本当に一般的なものらしく
この売り場の中でも
棚二つも使って
並べられていた。
ここでも
ちょっと面白いものを見つけてしまった。
それは、
カラーのマニラフォルダー。
この前のカラーのものは、
紙質がちょっとツヤツヤとして
しなりに欠けたが、
これは、本来のマニラフォルダーらしい紙質になっている。
思っていたとおり
しなり具合も上々。
□今回のバカンスでは、
ゼブにあるマクタン島というところにも滞在した。
セブの中でもリゾート色が強いエリアだ。
リゾートホテルのレストランは
味のわりに値段が高いので
我が家では、
ほぼ毎晩タクシーで町中に繰り出し
夕食をとっていた。
ところで、
フィリピン料理と言えばこれ!という
代表的なものが
すぐさま思い浮かぶという人はいるだろうか。
かくいう私も
まったく未知の料理だった。
実際、現地のフィリピンレストランを訪ねてみると、
同じアジアということで
フライドライス(チャーハンみたいなもの)や焼きそば、
焼き鳥みたいなものなど
私たち日本人でもすんなりと馴染めるものばかりだった。
ただ、フィリピン料理ならではの
特徴として、
少しばかり味付けが甘いというのがある。
しかし、これとて
日本料理で砂糖をよく使うことを考えれば
日本人の舌にはむしろ合うように感じた。
いつもの海外滞在中だと
途中で現地料理に飽きて、
中華や和食を食べることがあるが、
今回は、ほぼフィリピン料理で通すことができた。
日本にあまりフィリピン料理店がないが
もっと出来てもいいのにと思ってしまった。
さて、
ショッピングセンターの中に入っている
レストランに行った際には
念のため
文具売り場も見るようにした。
家族から
「またマニラフォルダー見るの?」
「もうさんざん買ったからいいんじゃないの?」と
言われつつ、
「これは仕事なの!」と言って
必ず見るようにした。
そうは言ってみたものの
これまですでに
定番のクラフト調のものから
カラータイプ、そしてカバーの付いたものまで
かなりの種類、
それこそマニラフォルダー専門ショップがオープンできるくらい
手に入れたので
もうさすがにこれ以上はないだろうと、
うすうす感じてはいた。
そう思っていたのだが、
いやいやさすがフィリピン、
さらにユニークなものがあった。
それは、
クリアフォルダーのようなPP系の素材のタイプ。
当然クニャクニャとよくしなる。
ただ紙製ではないので
インデックスに直接書き込めない。
ならばと、
マニラフォルダーそのものの色でカテゴリー分けしてしまおう。
ということで
信号の3色も購入。
安全、注意、危険と
色で区別するころができる。
この売り場には
定番のクラフト調のマニラフォルダーもあった。
以前買ったクラフト調のものとくらべると
色というよりも紙の質感が違う。
さらに一段階ザラザラとしている。
【 上がここで買ったざら紙系のマニラフォルダー 】
□とまぁこのような感じで
私はいたるところでマニラフォルダーを買ってきた。
フィリピンは
まさに「マニラフォルダー天国」だった。
日本でも
どこかの商社が本腰をいれて
こうした様々なマニラフォルダーを
扱ってくれないだろうか。
日本でいまひとつ
マニラフォルダーが普及しないのは
日本ではクリアフォルダーが幅を効かせているからなのだろう。
マニラフォルダーは
書類をはさむだけという
シンプルな構造なので、
書類が落ちやすいという面がある。
一方、「クリアフォルダー」は
2辺がガードされているので
落ちにくい。
この点が
基本で重要視されているように思う。
ならば、
書類がすべり落ちない
マニラフォルダーというものを
どこかのメーカーが
日本文具メーカーの持ち前の開発力で
作ってつくれないだろうか。
そのときのネーミングは
「マニラフォルダー」ではなく、
「ジャパンホルダー」というのが
いいと思う。
もし、
そのプロジェクトがどこかのメーカーで発足したら
ぜひ参加したい。
(2012年9月25日作成)
■記事作成後記
マニラフォルダーだけでなく
同じような紙を使った封筒も買ってきました。
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