■「スリムな多機能ペン」トンボZoom414  5,250


 


□一本でボールペンやシャープペンが使える多機能ペンは、
 ボディがどうしても太いものという印象があった。


 何種類ものペンが中に入っているので、
 これはもうどうしようもないことと、
 なかばあきらめかけていた。


 しかし、
 諦めなくてもいいのだ。

 このトンボZoom414は、
 まるで単機能ペンのようなスリムなボディをしている。



 


 しかも、
 そんな細い体の中に、
 シャープペン、黒ボールペン、赤ボールペンという
 必要にして十分な構成になっている。


 その細さを実際に計ってみると
 95mmと確かにスリム。


 しかし、
 それ以上に細く見せているのが、
 ボディの上半身がさらに一段ガクンと細くなっている点だ。



 


 実は、この部分を細くするというのは、
 多機能ペンにとっては、並大抵のことではない。


 その点を詳しくご説明しよう。


一般の多機能ペンでは、
 それぞれのペンを繰り出すためのメカが搭載されている。


 そのメカがどこにあるかと言えば、
 ペンの上半身の中なのである。

 その関係で多機能ペンは
 どうしても太くならざるを得なかった。


 そこで、
 Zoom414では、
 そのメカ自体のスリム化という難題に取り組み、
 見事、開発に成功した。


 そうして、
 この多機能ペンらしからぬスリム化をなし得たのだ。


 人間の場合もそうだが、
 スリムになるのは、
 並大抵の努力ではできないということなのだろう。


 
□さらに注目すべきは、
 そのデザイン性の高さ。


 これまでの多機能ペンは、
 たしかに多機能ではあったけれど、
 デザイン性という点が置いてきぼりにされてきたように感じる。


 Zoom414ではスリムさを活かして、
 シンプルなデザインになっている。


 その中で目を引くのが角ばったクリップ。

 丸みを帯びたボディと対象的に
 このクリップが全体の印象を
 カチッと引き締めてくれている。



スリムなボディでありながら、
 手にしてみるとずしりと程よい重量感がある。


 これは、真鍮で出来ているためだ。

 筆記体勢に入ってみると、
 この重みが単なる重みではないことに気付かされる。


 「低重心」になっているのだ。

 どういうことかと言うと、
 ペン先側がやや重くなっているということ。


 なぜ、
 ペン先側をあえて重くしているか。


 それは、
 このほうが、手にしたときにペン先が自然に下側を向き、
 ペンの運びが行いやすくなるからだ。


 見たところ、
 ペン先側が重くなるような加工は見当たらない。


 実は、
 スリムなボディを保つため、
 外側ではなくペン先の内側を二重構造にしている。



□3種類のペンは、
 ボディをツイストすることで順番に繰り出される。


 これまでの
 色の付いたノックボタンを押し込むというのに慣れていると、
 ちょっとまどろっこしいと感じるかもしれない。


 このツイストはエンドレスに回転し、
 しかも逆回転も可能なので、
 慣れると、
 出したいペンが瞬時起動できるようになる。


 多機能とスリムさという相反することを見事に実現したZoom414、
 色々なペンが使える便利さに、
 快適さということも同時に味合わせてくれるペンだ。



 


*このコラムは、神奈川新聞での連載「至福の文具」を加筆修正したもです。



 ■ 心地よい文具 リストへ 


Copyright (C) 2003 Tadashi Tsuchihashi,All rights reserved.