■ 「分厚いのに、やわらかい綴じノート」 ジークエンス360 ノート Lサイズ 1,470円
□リング綴じのノートは、
クルリとノートを折り返して半分のサイズになり、
しかも紙面もフラットになる。
この点を気に入って、リングノートを愛用している人も多いと思う。
一方の、綴じノートは、ページ数が少ないノートであれば
リングノートのように折り返すこともできるが、
ぶ厚くなってしまうと、この折り返しが結構つらい。
そんな常識を覆してくれるノートがこのほど発売された。
ジークエンスの360ノートである。
□私が買ったのは L サイズと呼ばれるもので、
おおよそ A5サイズくらいのもの。
この他、Mサイズ(1,260円)、Sサイズ(945円)もあった。
カラーバリエーションはブラックとレッドの2色。
私は迷うことなくレッドを選んだ。
このレッド、鮮やかな中にも
やや落ち着いた色合いになっていて、
これくらいであれば仕事で使っても大丈夫だと思ったから。
□表紙はおそらく合成皮革ではないかと思う。
最近の合皮は全く油断がならない。
昔は合皮と言えば、
合皮らしい雰囲気というものがどれにもあったものだ。
しかし最近のものは、どんどん本革に近づいている。
このジークエンスのカバーは、
横から見ると、ごくごく薄いシート状であるのに、
ノートの上に手のひらをのせた時のタッチがとてもソフトで心地よい。
この合皮カバーは完全にノートに張りあわせられていて、
どこまでも一体化されている。
□表紙には、
商品の簡単な説明が書かれたラベルがちょこんとある。
他のノートと同じように、
いざノートを使う時には取り払って捨ててしまおうと思ったのだが、
これは違うようだ。
一見、表紙に貼られているようだが、実は違っていて、
クリップのように挟み込まれている。
しかも、内側にはマグネットが付いている。
ということで、これはしおりとしても使える訳だ。
本や手帳にはしおりはつきものだが、
ことノートとなると、
とたんにしおりが姿を消してしまう。
特に、今回のように
これだけ分厚いノートを使う上ではしおりの存在は助かる。
□外観のご説明はこれくらいにして
使い心地に移ってみよう。
とっても薄い合皮カバーということで、
表紙に親指をかけ、めくろうとした時、
とてもしなやかにめくれる
このソフトさ、表紙を開いているというよりかは
ページの一枚をめくっているというくらいのものである。
このソフトさこそ、このノートの最大の特徴。
今度はノートもろとも折り曲げてみる。
すると中の紙がペコペコとしなる音を立てながら
盛大に折れ曲がっていく。
次にノートを開いてみよう。
さすがに、
完全にフラットになるとまではいかないが、
この開きのよさは綴じノート、しかもこれだけぶ厚い中では、
かなりいい方である。
4mm方眼の紙面は、どのページを開いても、
綴じ込み側の4mm のマス目がキッチリと見えるようになっている。
一般的には、ノートの真ん中あたりのページは
綴じ込みのそれこそノド元まで開くものだが、
はじめのページや最後の方だと
その見開き性はやや悪くなることがある。
しかし、このジークエンスではそうしたことはない。
どのページでもノド元まで気持ちよく開いてくれる。
これならノートのどこのページを使っても
A5サイズいっぱいいっぱいまで使うことができる。
□そして、いよいよこのノートの最大の見せ場。
リングノートのようにノートを半分に折り返す
すると、ノートは少しも苦しさを見せずに
気持ちよさそうにクルリと折り返せる。
一般ににこれだけぶ厚いノートを折りかえそうとすると、
ちょうど運動不足気味の私のように
途中までいくと、急に固くなったりするものだが、
これはそうしたことは全くない。
その様子を横から見てみると、
背表紙が完全に折れ曲がり、ピッタリとお互い同士が
くっつき合っているのがわかる。
すごい柔軟性だ。
先ほどのページの開きもそうだったが
この折り返しも、
どのページでもへっちゃら。
先程、ノートの表紙がとてもソフトと申し上げたが、
背表紙にいたるまでそのやわらかさは貫かれている。
まさに360°折り返せる。
これが、商品名の「360」ということなのだろう。
よくよく見てみると、
このやわらかさは表紙のソフトさだけのせいではなさそうだ。
綴じ込み部分を見てみると、
そこには一切の隙間もない。
一般のノートや手帳だと、
背表紙の内側に綴じ込み部分があり、
そこには隙間があるものだ。
しかし、これは背表紙の内側にノートが直接綴じ込まれている。
綴じ込まれているというよりも、貼り付けられているといった感じだ。
この一体感により、あのやわらかさを生み出しているのだろう。
□この綴じならではの面白いもの見つけた。
ノートの小口をやや斜め上の方から眺めてみると、
そこには、まるで木の年輪のような模様が見える。
これは、とりもなおさず
先程のノートの綴じが背表紙から隙間なく綴じられているためだ。
背表紙は緩やかなカーブを描いていて
そのカーブがノートの小口までしっかりと現れている。
なかなかの作りのよさに感心してしまった。
□では、ここで
いつものように万年筆の筆記テストを行ってみよう。
あくまでも私が試した範囲でしかないが、
あまり万年筆との相性は良いとは言えない結果となってしまった。
ぎりぎりセーフだったものはラミーのブルーくらいなもので、
それ以外は、筆跡にわずかのにじみ、
そして、裏ヌケもやや見られた。
一方、ゲルインクでは、ぺんてるのエナージェルやスリッチではOK だった。
これはボールペンやシャープペンを中心にして使っていった方がよさそうだ。
□柔軟性に富んだ今回のジークエンス360ノート。
外観が手帳風ではあるが、
これはノートとして、割り切ってガシガシと折り返すなどして
使うのが、似合うと思う。
完全に折り返せるので立ったままの筆記にもよさそうだ。
(2009年9月29日作成)
■ 心地よい文具 リストへ
Copyright (C) 2003 Tadashi Tsuchihashi,All rights reserved.