■ 「ナナフシみたいなペン」 トンボデザインコレクション Zoom707  2,100円
トンボ デザインコレクション Zoom707


□「そのペン、中身の部分?」
 会社の同僚がこのペン見てそう聞いてきた。

 はじめ何を言っているのか全くわからなかった。
 どうやら、ペンの中に組み込まれている軸だけで書いていると
 見えたようだ。

 人それぞれ、いろんな見方があるのだなと思った。
 やれやれ・・・

 言われてみれば、確かにそう見えなくもない。

 今回は、トンボさんのZoom707です。

 以前、私はZoom707のボールペンを愛用していた。

 それが、ついこの間、何かの拍子になくしてしまった。

 手元からなくなってしまうと、愛着というものは増すもので、
 いてもたってもいられなくなり、買いに走った。
 今度は、ちょっと気分を変えてシャープペンにしてみた。 



トンボ デザインコレクション Zoom707


□このトンボデザインコレクションZoom707は、かなりのロングセラーで、
 発売はなんと、1987年という。今から17年も前ということになる。

 トンボさんのデザインコレクションは新しいところでは、XPAやハバナなどが
 あるが、
 このZoom707は初期からラインナップされていて、
 今なお販売され続けている。

 デザイン的な評価が高く、
 1988年のドイツ国際デザイン賞「Design Innovation」では
 「Best of The Best」賞を、
 その翌年、世界最大の文具の展示会フランクフルトメッセでは
 「DESIGN PLUS」などを受賞している。
 斬新でスリムなデザインは日本よりも、どちらかと言えば、
 ヨーロッパでの評価が高いようだ。


□トンボさんの商品企画ご担当の方によると、
 デザインは社内のデザイナーさんによるものだという。

 「筆記具は、使いやすい形状でどこまで細く出来るか?」
 というデザインコンセプトをもとに開発されたそうだ。

 単に細くしただけでなく、デザインのエッセンスも
 しっかりと加わえている点に老舗筆記具メーカーの
 心意気を感じてしまう。

 同僚に言わせるとペンの中身ということになるが、
 私には、虫のナナフシに見えてしようがない。

 ナナフシとは体が木の枝ような細い形をしていて、
 木の枝に潜んでいると枝と区別がつかなってしまう虫のこと。  

 この707を虫に見立てているのは私だけではないらしく、
 ドイツでは「リベロ」という愛称で親しまれているそうだ。

 「リベロ」とはトンボという意味。

 トンボの羽を取った形に似ているということらしい。
 ちょっと痛々しい話だ。


□スリムなデザインながら、ラバーのグリップ部分はたる型をしていて、
 握る部分が微妙に太くなっている。
 実際に握ってみると、 これが見た目よりもはるかに手にしっくりとくる。

 気になって、その太さを測って見たところ
 一番太いところで約6mm。
 そう言われてもイメージ出来ないかもしれないが。

 比較的細身なペンであるクロスのボールペンと比べてみると
 その差、約1mm。Zomm707の方がわずかに細い程度だった。


トンボ デザインコレクション Zoom707


 なるほど、これなら書きやすいと納得がいった。

 見た目にはスリムな印象を与えつつ、握りやすさもしっかりと
 確保されたデザインはお見事。  


□胴軸には鉄が使われているが、スリムなデザインのおかげで
 とても軽量な仕上がりとなっている。

 ノック部分はまるでアコーディオンのようになっているので
 ついついノックしたくなる衝動に駆られてしまう。


トンボ デザインコレクション Zoom707

 芯をどこから入れればよいか迷ってしまいそうだが、
 普通のシャープペン同様ノックボタンを引っ張ると
 芯の入れ口が出てくる。

 収納されるシャープペンの芯は0.5mmのみ。
 3本も入れればいっぱいになってしまう。


トンボ デザインコレクション Zoom707


 スリムな軸には、これまたスリムなクリップが付いていて、
 先端の赤い玉がデザインのポイントともなっていて
 楽しい気分を演出してくれる。

 機能的にも、十分なクリップで、シャツにもノートの表紙なんかにも
 この赤い玉でしっかりととめることができる。


□小さくたって、細身だって、デザイン性を表現できるのだと
 思わせてくれるペン。

 手帳やシャツのポケットなど、ちょっとした隙間にも
 楽々収まってしまうけど、
 ナナフシのようにどこにいったのか、わからなくなってしまう、
 ということがないように気をつけたいものだ。



(2004年11月2日作成)


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