■ 「小さな体に機能ぎっしり」 トンボリポーター4コンパクト 367円
□海外、特に欧米の文具店に行くと、
日本との違いを感じることがある。
例えば
海外では多色ボールペンの種類がとても少ない。
多色ボールペンとは、
1本で何色ものペンが使えるペンのこと。
日本ならば専用コーナーにズラリと並んでいるのに、
海外では
普通のボールペンの中に混じってちょこんとある程度。
以前、
海外筆記具メーカーの方から
日本では多色ボールペンの売れ行きが
他の国よりも際だって高いという話を聞いたことがある。
どうやら日本は多色ボールペンが大好きなようだ。
日本人は十徳ナイフのように
コンパクトな中にたくさんの機能が
ぎっしりと詰まっているというのを好む
文化性があるのではないかと思う。
□そんな多色ボールペンを
さらに一歩進化させたのが、
このトンボリポーター4コンパクトだ。
どう進化させたかと言うと、
これはこれまでのものよりもグッと短くなっているのだ。
ただ小さいというだけでは、
私もこうしたわざわざ取り上げることはしない。
そこにはやはりこんな機能もあったのか!
という驚きがなくては読者の皆さんも
納得されないと思うからだ。
このペンには、
そんな皆さんのご期待に応える機能が備わっている。
□多色ボールペンというものは、
色を変える時に色の付いたノックボタンを押す。
その際
どうしてもその色を目で見て
確認しなくてはならない。
急いでいる時などは面倒と感じることもある。
今回のものは
ノックボタンが色ごとに違った形状をしている。
具体的には、
黒は四角、赤は突起が二つ、
青は突起が一つ、緑は円といった具合だ。
つまり、
この形状と色の関係を把握してしまえば、
いちいち目で見て確認することなく
指先だけで識別して、
必要な色が出せてしまうのだ。
頻繁に色を変えて使っているという方には、
この上なく便利な機能だろう。
それだけではない。
そうした色を変えるときに多色ボールペンは、
ノックボタンが「カチン!」と結構な音をたてる。
普段ならともかく
今にも寝息が聞こえてきそうな静まりかえった会議の時などは
この音は結構気になるものだ。
そこで、
このペンではその難題に果敢に立ち向かい
音を和らげることに成功させている。
それは、
ノックボタンが戻る部分に衝撃を吸収する
クッションを搭載するというものだ。
□実際にノックボタンを戻してみると、
確かに「カシン。。」という控えめな音になっている。
これなら、
会議で寝ている人を起こすことなく
思う存分色を変えることができるのだ。
実はこのリポーターという多色ペンは
もともとレギュラーサイズがあり、
こうしたブラインドタッチ、
静かなノック音などは以前から備わっていた。
今回はコンパクトにしながらもそれらの機能をしっかりと盛り込んでいるところが評価に値すると思う。
小さな中に
ぎっしりと機能が詰め込まれたということが、
やはり日本人の心をときめかせてくれる。
多色ボールペン大国ならではの一本だ。
*このコラムは、神奈川新聞での連載「至福の文具」を加筆修正したものです。
■ 心地よい文具 リストへ
Copyright (C) 2003 Tadashi Tsuchihashi,All rights reserved.