■ 「メカニカルな多機能ペン」 プラチナ万年筆 ダブル3アクションポケット 3,150円
□出かけるときは、
荷物はできるだけ少なく、そして小さい方がいい。
究極は、荷物を持たずに「手ぶら」というのが望ましい。
手には何もなくなることで、
自由になる。
では、
その自由になった手を何に使うかと改めて聞かれると、
返答に困ってしまうが、
まぁ、歩くときに手を振りやすくなり、
それにより快適に歩けるようにはなる。
デジタルアイテムも以前は大きかったものが
どんどんと小さくなりポケットに入るようになってきている。
それに合わせて文具も一方で
コンパクト化が進んでいるようにも見える。
たとえば、
多機能ペンは各社その軸の細さを競い合っている。
そのスリム競争も、
もうこれ以上無理だろうというところまで来た。
すると今度は「短さ競争」になってきた感がある。
□このプラチナ万年筆のダブル3アクションポケットは、
ボディが短い多機能ペン。
「ダブル3アクション」という
いかにもすごいアクションを期待させるネーミングだ。
長さ11.05cm の中に、
黒と赤のボールペンそしてシャープペンが入っている。
一般のペンの長さがだいたい13〜14cmくらいなので、
およそ3センチくらいは短いということになる。
3cmという数字だけを見つめると、
大したことはないと思ってしまうところだが、
見方を変えると、
全体の20%くらい短いということになる。
こうなると話は大きく違ってくる。
とにかく数字で説明するより、
一度手にしてみると、その短さというものが実感できる。
ちなみに軸の太さは、
グリップ部分で1cm弱、後軸でも1.1cmちょっと、まずまずの細さ。
この短く細いペンをひょいと手に載せてみると、
これが見た目以上に軽い。
もちろん、
小さいので、ある程度の軽さというのは
私も覚悟していたが、この軽さは、その上を行っている。
ちょっと裏切られた気持ちもしてくる。
この軽いということは、
ペンを持ち歩く上では結構重要なポイント。
と言うのも、
Yシャツのポケットにさした時に
あまりにも重いと、
ポケットが重みに耐えかねてたわんでしまうということがある。
その点、
このペンは、Yシャツにさしても
止まり木に小鳥がとまっているみたいに
周りにほとんど影響を与えない。
そもそも多機能ペンというものは、
一般ペンよりも重くなっているものだ。
それは、いろんなペンを繰り出すメカを備えているため。
これはそうした中では明らかに軽い方に属する。
□こういった短めボディの多機能ペンというのは、
これまでもあるにはあった。
そんな中、
このダブル3アクションポケットが優れているのは、
この短いボディが引っ張れば伸びるということ。
つまり、伸縮ペンということだ。
10.5cm だったペンは、伸ばせば13cm ほどまでになる。
伸ばしても一般のペンよりかは、
わずかにまだ短いが、書くにはまぁ十分な長さになる。
伸ばし方は特に何も考えずに、
ペンの両端をつまみただスライドさせるだけでOK。
伸ばすとボディの中央に意味深なシルバーのパーツが現れる。
あとは、ボディをツイストしていけば、
3種類のペンが次々に繰り出されていく。
黒ボールペン、赤ボールペンそしてシャープペンという順番に並んでいて、
右回転をするとこの順番で出てくる。
もちろん逆回しもOK 。
ただ、黒ボールペンとシャープペンの所だけは、
それぞれ行き止まりとなっている。
ボールペンについては、こうしてペン先を繰り出しさえすれば、
あとはそのまま書いていける。
しかし、シャープペンの場合は、
話しはそう簡単ではない。
書く前にカチカチとノックをして芯を出さなくてはいけない。
先程ボディを引っ張って伸ばしたものを
そのままノックしたら元の短さに戻ってしまうところだが、
これは長さを保ったままカチカチとノックができるようになっている。
ボディを伸ばした時に、
真ん中にシルバーのパーツがあったが、
これがちょうどノックの「押ししろ」になってくれる。
この分だけノックできるようになっているのだ。
ちなみに、
ボールペンを繰り出した状態で同じようにノックをすると、
この場合はボディはスルスルと縮んでいってしまう。
つまり、シャープペンの時だけ
ボディが縮まないようにロックされているのだ。
この仕組み果たしてどのようになってるのだろうか。
気になってボディに目に近づけて
舐めるように全体を観察してみた。
すると、ひとつ気になるところを発見した。
それはクリップの下側の部分。
ここに、普通あまり見かけない突起がある。
ボディを伸び縮みさせると、
この突起も同じように動く。
今度は、ボディをツイストとさせると、
やはり突起はそれにあわせて横に動いていく。
よくよく見てみると、
クリップ下のボディには、
この突起が動ける溝が用意されている。
その形がちょうど L 字型のような形をしている。
つまり、こういうことだ。
シャープペンを繰り出しときは、
突起は L字 の一番最後の部分に行きつく。
(これは「 L 」という文字を書いて一番最後に来るところです。)
すると、突起はもうこれ以上動けない状態になり、
これによりノックをしてもボディが短くならない仕組みになっていたのだ。
そうわかると
さらに気になるのが、クリップの独特な形状。
メタル製のクリップの中央部分だけが
こんもりと盛り上がっている。
私の勝手な推測だが、
ここを盛り上げて、先ほどの突起をコッソリと見えるようにしたのでは
ないだろうか。。。
まっ、そんなこと文字を書く上では全く意識しなくてもいいことなのだが、
私としては、小さな幸せを感じてしまう部分だ。
□中に収まっているリフィルは、
多機能の定番4Cタイプ。
リフィルをセットする内側の部分に
白いガードのようなものが見える。
これは、多機能ペンでは
あまり見かけないもののようにも感じる。
プラチナ万年筆の方によると、
こうしたガードは、
基本どの多機能ペンにもあるとのこと。
ただ、いつもはボディで覆われて隠れているが、
今回は軸を短くした分、それが見えてしまっているだけだという。
□今回のペンはボディが伸ばせるというのが、
ひとつの大きな特長になっている訳だが、
何も必ずボディ伸ばさなくてはならないということでもない。
短いボディのままでもツイストすれば、
3種類のペンはちゃんと繰り出されてくる。
そして、
シャープペンの時もしっかりとノックすることもできる。
急いでる時などは、
こうした使い方も出来て便利かもしれない。
商品名に「ダブル3アクション」となっていたが、
「3アクション」は、3種類のペンが繰り出されるという
多機能を意味している。
そして、「ダブル」というのは、
きっとこのボディを伸ばしたり縮めたりして
二つのサイズで書けますよ、ということなのだろう。。。きっと。
□今回のようなボディが伸び縮みするという多機能ペンで、
シャープペンが内蔵されたものは
世界でも初だという。
小さく持って大きく、そして多機能に使う。
これは多機能ペン天国の日本ならではではないだろうか。
と同時にモバイル時代、
さらに、その次の段階にあるウェアラブル時代にもピッタリだと思う。
(2011年1月11日作成)
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