2023.02.28(526)

「ペリカンらしさを感じるスタンダード万年筆」

ペリカン

トラディショナル200

ペリカン トラデョナル200 万年筆

この万年筆は急遽買ったものだった。確かまだ社会人数年目くらいだったから1992〜1993年頃だったと思う。ちょうどその頃から本格的に万年筆を使い始めていた。胸ポケットにモンブランの細身の万年筆をいつもさしていた。万年筆を使い始めたばかりだったので、書くのが楽しくて仕方なかった。周りを見回しても同僚や先輩で万年筆を使っている人は誰一人いなかった。一人笑みをこぼしながら万年筆で仕事をしていた。

ある日、出張に行くことがあった。会社を出発してからいつもの万年筆が胸ポケットにないことに気づいた。あれ?どこだ?そうか会社の引き出しに入れっぱなしにしたんだ。これでは落ち着いて仕事どころではない。でも取りに帰る時間はない。そこで近くのデパートの万年筆売り場に走った。さすがに同じモンブランの万年筆を買うお金はなかった。腰をかがめてガラスケースの覗き込んでいて目にとまったのが、このペリカンのトラディショナル200だった。

ペリカンらしいフォルム、そして値段も確か当時8,000円くらいとリーズナブルだった。吸入式なので、ペリカンのロイヤルブルーのボトルインクも一緒に買った。覚えていないのだが、私はどこかでインクを入れたんだと思う。そんな急ぎ足での出会いだった。

ペリカン トラデョナル200 万年筆
当時一緒に買ったボトルインク。インクがすっかりなくなっているが記念にとってある。

ペリカン トラデョナル200 万年筆
W-GERMANYの刻印

■ M400とほぼ同じサイズ

ペリカン トラデョナル200 万年筆

M400と比べると、ほぼ同じ大き。ただ天冠と尻軸がトラディショナルの方がややふっくらとしている分だけわずかに長い。ペリカンならではの吸入式。今も快適に回すことができる。この回しやすさはペリカンの魅力の一つだと思う。ブラックボディだけれどもインク窓のところはうっすらとグリーンがかったスケルトンになっていてインクの残量が見える。

ペリカン トラデョナル200 万年筆

ペリカン トラデョナル200 万年筆

■ 気持ち良いスチールペン先

ペリカン トラデョナル200 万年筆

ペン先はステンレススチール製。これが気持ちよくしなっていく。流石に金ペンに比べると少し腰は強いが、弾力を程よく味わいながら書けるペン先だ。Mのペン先からはインクタンクから潤沢なインクが一筆ごとに淀みなく出てくる。スチールペン先もいいじゃんと当時愛用していたモンブランのペン先と比べながら思っていたものだ。ペン先のメッキはすっかり剥がれているが、なすがままにしている。30年という時の流れがここに現れている。

ペリカン トラデョナル200 万年筆
左がトラディショナル200、右がM400

ペリカン トラデョナル200 万年筆



30年も前に買った万年筆が今もこうして普通に気持ちよく書いていけている。あの時は必要に迫られて買った。余計な出費をしたなと忘れ物をした自分を責めた。でも今はよくぞ忘れた、そしていい買い物をしたぞと20代だった自分を褒めてあげたい。

ペリカン トラデョナル200 万年筆

今のペリカン トラディショナル200

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