文具で楽しいひととき
パイロット
スーパーグリップG 1.6
このボールペンの書き味は魅惑的だ。
先日、フラリと地元横浜の伊東屋さん(横浜タカシマヤ)に立ち寄った。特段何かを買うという目的もなくピンボールのようにあちらのガラスケース、こちらの手帳コーナーと巡っていると奥の方に「太い字が書けるペン」コーナーというものが目に入ってきた。どれどれと見てみると、すでに知っているペンも色々と並んでいた中で、見慣れぬボールペンがあった。それが、この「スーパーグリップG 1.6mm」。スモークブラックもなかなか格好よく、ペン先が1.6mmとあった。こんなに太いボールペンがあるのかと、試し書きをしてみると驚いてしまった。
■ 油を感じる書き味
これは油性ボールペン。アクロボールインクではなく、通常の油性ボールペンのようだ。キャップを開けてペン先をみると、さすが1.6mmということを視覚的に感じさせるペン先だ。ふつうのボールペンというのは、ペン先がテーパーがかかっていて少しずつ細くなり、その先にペン先であるボールがある。しかし、このペン先はわずかにテーパーはあるもののほぼ一直線でその先に大きなボールがある。ボールペンを使っていて「ボール」を感じることはあまりないが、これはヒシヒシと「ボール」の存在を感じる。
書いてみる。ヌラヌラとしたなめらかさなのだ。紙とペン先のボールの間に油がたしかにあるという書き味。私は油性ボールペンを書いているんだ!と心から実感できる、そういう書き味だ。1.6mmという極太のペン先からはタップリとインクが出るので、所々に「ダマ」ができたりもする。「ダマ」が出来ようが、これも1.6mmボールならではの個性だと私はそれも静かに受けとめた。
上がスーパーグリップG 1.6mmで書いたもの、下がセーラー万年筆 プロフェッショナルギア中字(M)で書いたもの。中字より少し細いくらいか。
■ なめらか書き味に大きく貢献するラバーグリップ
このヌラヌラを盛り上げてくれている影の立役者が、ラバーグリップ。まるでオフロードでも走るタイヤのようだ。パイロットのサイトによると270個ものグリッドがあるという。この多少クッション感のあるまったりとした握り心地が油分タップリのヌラヌラをより引き出してくれているように思う。
■ あえてキャップ式に
この「スーパーグリップG」にはキャップ式の他にノック式もある。私は、あえてキャップ式にした。それはペン先の安定感がいいと思うからだ。ノック式はペン先が出たり入ったりする。そのためペン先の口には多少の余裕をもたせているように思う。キャップ式は、そもそも出たり入ったりがないので、ペン先に安定感があるという訳なのだ。あくまでも私の勝手な推測だが。。。この安定感があることで、よりヌラヌラがしっかりを味わえると私は感じる。(個人の感想です)
*
この極めて独特なヌラヌラとした書き味は、好き嫌いがハッキリと分かれるところかもしれない。私は好きだ。と言っても、ふだんそんなに太字で書くシーンはない。気持ち良さを味わうためにずっと試し書きばかりするのも、道具としてのペンに失礼だ。ひとまず宅急便の伝票記入用ペンとして、つきあっていこうと考えている。万年筆の太字の書き味も魅惑的だが、それはボールペンでも言えることだった。
伊東屋 横浜店
パイロット スーパーグリップG 1.6mmはこちらでも購入できます。
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