文具で楽しいひととき
palmdesign
ゼロ・スペック
鉛筆を携帯していつでも使うとなると、芯先を保護するためのキャップが必要になる。この鉛筆キャップは、一体これはなんだろう?というくらいに全く新しいフォルムをしている。見た目も斬新なら使い方だってかなり斬新だ。
■ スライドして芯先を出す
レザーで出来ていて、矢印のような先端がスパッとカットされたような形をしている。先端を見てみると、実際カットされている。そこから下につながる部分は先が丸くくり抜かれていて、鉛筆が通されている。その両側は、ここは動かしてはいけませんとばかりに、シリコン製(たぶん)のOリングで固定されている。まぁ写真を見てもらえれば、どんなにユニークな形をしているかがおわかり頂けると思う。では、これをどう使うのか。さぁ書こうとした時、ふつうならキャップを外す。しかし、これは外さない。キャップは外さずに、そのままうしろにスライドさせるのだ。少々きつめにホールドされた先端部分をグイとうしろにスライドさせて鉛筆の芯先を出す。先端の穴は鉛筆の直径よりやや細めになっており、ラミー2000万年筆みたいにちょこんと芯先だけが顔を出す。この状態で書いていく。いくつか気になることはあるが、ひとまず握って書いてみる。
■ 独特な握り心地
まず、なんと言っても気になるのが、羽のように上に飛び出したところだ。説明書によると、ここを親指とひとさし指でつまむとある。ちょうどキャップレス万年筆のような感じだ。そして、スライドさせたことで、下の部分がたわんでしまっている。これも説明書によると、ここをグリップの際のホールドに使うのだという。握ってみると、たしかに親指とひとさし指の付け根にこのたわみがやさしくあたる。普段は解放されているところにあたるので、これによりホールドになるそうだ。私の印象ではあまりホールド感はなかった。
使っていくとさらに気になることが出てくる。鉛筆は同じ芯先ばかりで書いていると、芯が偏減りしてしまう。それを防ぐために私たちは鉛筆を少しずつ回して気持ちいい芯先具合を探しながら書いている。しかし、この「ゼロ・スペック」では、それがやりづらい。クルクルと回転させようにも羽のような部分があるのでできない。これに対しては、鉛筆のうしろ側をツイストさせてあげるしかなさそうだ。Oリングはあるが、意外とスムーズに回ってくれる。
■ 私の使い方
私はこの「ゼロ・スペック」をこんな感じで付き合っていこうと思っている。まず、セットする鉛筆は短めのものにする。そうですね、鉛筆は伊東屋のオリジナルの「イートンペンシル」がいいですね。しかも同系色のレッドだと、とてもしっくりとくる。先ほどあまり良さがわからなかった「たわみ」によるグリップ効果が、短い鉛筆を使うことで、なるほどこういうことだったのかと納得がいった。これくらい短い鉛筆だと単体で握ると親指とひとさし指の付け根に届かないのでグラグラと不安定になってしまう。しかし、このたわみがあることで快適にホールドできるのだ。補助軸では、長くすることで付け根に届かせて安定させていたが、今回のものでは、付け根の内側から優しく支えるという感じになる。これは面白い。このコンパクトな状態でズボンのポケットなどに入れて携帯して使ってみようと思う。メタルキャップのように芯は完全には保護できないかもしれないが、キャップを外して鉛筆のうしろにセットするという手間がなく、ただスライドするだけで書きはじめられるというのはこのアイテムならではだ。ちょうど鉛筆を腕まくりするみたいで、さぁ書くぞという気分にもなってくる。
* パームデザイン ゼロ・スペック
関連リンク
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