文具で楽しいひととき
三菱鉛筆
ユニボール エア
このペンを特に説明をされずにポイと渡されて書いてみて、ボールペンだとわかる人は少ないのではないだろうか。妻に試してみたら「サインペン?マーカー??」と答えたくらいだ。全くもってボールペンらしからぬペンなのだ。そして、書けば書くほど不思議な魅力に包み込まれる。ちなみに、これはジャンルとしては水性ボールペン。
■ ボールペンっぽくないペン先
ボールペンはペン先に小さなボールがあり、そのボールを支えるチップがある。ボールは小さいのであまりよく見えないが、チップは肉眼でもちゃんと見えるので、人はペン先のチップを見て、これはボールペンだと認識しているのだと思う。このユニボール エアにもチップはある。しかし、ブラックのため、すっかりボディに溶けこんでしまっている。グリップからペン先のボールに至るまでのラインがスゥッと一本の美しいラインになっている。ふつうはチップのところでガクンと段差があるものだが、これにはそれが見当たらない。こうしたスタイルが、まず第一印象としてボールペンっぽさを感じさせないポイントになっているようだ。
■ 筆圧をほとんど必要としない
スタイルだけでなく、書き味もボールペンっぽくない。ボールペンはペン先のボールを転がすことでインクが出てきて書ける構造だ。そのためある程度の筆圧が必要となる。最近はなめらか油性ボールペンがすっかり定着しているが、それでも多少の筆圧をかけないと書いていけない。このユニボール エアは、本当に軽く書いていける。これには私も驚いた。ボディの後ろの方を軽くをつまんでペン先を紙の上にやさしく添え、全く筆圧をかけないでペンをただ動かしてみる。これは万年筆の毛細管現象を確認するためによくやる方法だ。このやり方でも、なんとユニボール エアではかすかな筆跡だが、書いていけるのだ。そのことを踏まえて、いつものボールペン筆圧の3掛けくらいの軽さで書いてみる。サラサラとちゃんと書いていけるのだ。書き味としては、ザラザラを細かい密度にしたようなかすかな感触がある。それは決して悪いものではなく、ユニボール エアの書き味としてしっかり成立している。
■ 筆跡に強弱がつく
軽い筆圧から少しばかり強めに書いてみると、筆跡が太くなる。ボールペンなのに、筆跡に強弱がつけられるのだ。ユニボール エアには0.5mmボールと0.7mmボールの2タイプがある。面白いのは、0.5mmには「描線幅 0.3mm〜0.5mm」、0.7mmには「描線幅 0.4mm〜0.6mm」と表記されている。幅を持って書けるというのを打ち出しているボールペンは珍しい。
■ 斜めにしても書いていける
ボールペンは、あまりペンを寝かして書くとペン先のボールがうまく転がってくれずチップとボールのすき間をこするイヤな感触があり、ちゃんと書けない。だから、私たちはふだんボールペンを使う時は、斜め45度くらいかそれ以上に立てて書いている。ユニボール エアは、かなり斜めにしても書いていけるのだ。私はふだん万年筆を使う時はかなりペンを寝かせて書いている。ユニボール エアで、万年筆の時と同じくらいの斜めポジションで書いてみると、結構ちゃんと書いていける。その筆跡はやや太めになる。
どこまで斜めにしてもOKか、試してみた。さすがに限界はあった。ちなみに0.7mmボールの方が斜め筆記により耐えられる印象があった。大きいボールのため、ボールの露出が広いからなのだろう。
■ スピードライティングに最適
筆跡に表情が出せ、サラサラと書いていけるので、たとえばノートを広げてアイデアをとにかく書き出すときなんかに、このペンはしっくりくる。私はふだんこの用途には鉛筆や0.7mmシャープペンシルを使っている。黒鉛芯は筆圧ひとつで細く、太くが書き分けやすい。それに対してボールペンはどちらかと言うと、一定の線を書くツールだと私は認識していた。しかし、ユニボール エアは黒鉛芯ほどではないが、筆跡の強弱をコントロールできる。
私は0.7mmのブラックインクが気に入った。(ボディデザインは、0.5mmのオールブラックボディの方が好きなのだが。。)こういう筆跡に表情があるペンは、殴り書きしたってなんとなく味わいのあるものになってくれる。200円+Taxでこうしたペンが気軽に手に入るというのは、日本の文具は本当にすごいと思う。
【この春に美大へ入学した息子にユニボールエアを渡してみた。彼いわく絵を描くのにもいいという。やはり筆跡に強弱がつけられるからなのだろう】
*記事作成後記
この軽い筆圧で書けるという点をできればやや重いボディでも試してみたいと思いました。きっとまた違ったフィーリングがあると思います。
* 三菱鉛筆 ユニボール エア
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