文具で楽しいひととき
ラミー
ピュア
今年のはじめにドイツで開催された文具の展示会「ペーパーワールド」でラミーは3つ新商品を発表していた。その中で、カラーや材質違いということではなく、全く新しいボディデザインを持っていたのが、このピュアだ。早くも日本のショップでも販売されていたので、早速、ボールペンタイプを1本買ってみた。
■ カプセルのようなパッケージ
ペンの紹介に入る前に、まず触れておきたいのが、そのパッケージの素晴らしさ。ラミーのパッケージデザインの良さは、なにも、今に始まったことではないが、これは、やられた!という感じだ。
カプセルと言おうか、試験管、はたまた真空管のような透明なプラスチックケース中でピュアがふんわりと浮かんでいるようにも見える。店頭で見かけると、思わずハッとしてしまうインパクトがある。私より先にハッとした方がいたようで、すでに、数本が売れていた。
この素敵なパッケージ、自分で楽しむ以外に、プレゼントにも使えそうだ。例えば、包装などをせずに、直接リボンをつけるなんていうものいいと思う。
さて、ケースの中央はゴムになっていて、引っ張るとスポッと抜ける。
中からペンを取り出すと、ちょっと拍子ぬけしてしまうほどのシンプルなものになっている。
ラミーの新作ということで、個人的には密かに期待していたので、ドイツで見た時も、このあまりのシンプルさに正直ちょっと、戸惑いを隠せなかった。しかし、日本に戻ってきて、こうして改めて見てみると、いやいやどうして実にラミーらしいではないかと惚れ直してしまった。
■ アルミボディ
よく、車のベンツが久しぶりにモデルチェンジすると、はじめは、何これ!と違和感を覚えることがあるが、次第に素敵に見えてくる、というのに近いかも知れない。ボディはアルミで出来ており、実に軽量。同じアルミを使ったラミーのペンにティポALがあるが、ピュアは艶消し加工になっており、また違った印象になっている。
その表面には、ボディのほぼ端から端まで、スパっと溝が彫りこまれている。その溝をよくよく見てみると、ちょうど、彫刻刀の刃先がU字型になった丸刀でも使って彫ったような丸い溝になっている。
どうりで、溝だらけでも全体的に丸みを帯びた優しい印象になっている訳だ。ボディとペントップの間には、ブラックのつなぎ目があり、ノック式であることが一目でわかる。ノックしてみると、無音のままスッとペンがでてくる。この落ち着いたピュアにはカチッという音よりもやはり、静けさの方がお似合いだ。
このノックの中で、特筆すべきは、指を添えるノック面がややくぼんでいること。
見た目にはほとんどわからないが、実際にノックをしてみると、親指を気持ちよく受け止めてくれる。ラミーは他のペンブランドのようにクリップがどのペンも同じということがない。毎回、色々なデザインのクリップで私たちを楽しませてくれる。今回のピュアではボディ同様、まっ平らな板状というシンプルなもの。
ただ、クリップとボディの隙間がかなり接近している。これにより、見た目に一体感が生まれ、同時に、書いているときに、クリップの存在があまり気にならなくなるということもあった。
一見かよわそうなクリップだが、ばね式を採用していると見えて、思いの他よく広がる。クリップとしての機能性は十分だ。
このクリップはノックボタンの側面についているので、ノックをする度に、クリップもそれに合わせて上下にスライドしてしまう。ということは、せっかくのボディにキズがついてしまうではないか。気になって、そこのところを見てみると、さすが、ラミー!!という構造になっていた。うまい具合に、先ほどの溝にクリップの留め具がピタリと合うようになっていた。
ちょうど、レールの上にクリップがスライドしているような格好になる。これなら、いくらノックしたって、溝の上なので、キズになることはまずないだろう。
だから、あえて丸い溝にしたのだろうか。。。今回のピュア、クリップが沈みこんだり、ボディが伸びたりという派手さこそないが、使うほど、そして眺めるほどにその良さがしみじみと感じられる。
ラミーは、「流行を追わず、長い時間軸で考える。」というものさしを使って、ペンづくりを行っていると言うが、これはまさに、そのことを体現したペンだと思う。商品名にピュア(pur)と名付けたのも、ラミーの純粋さをよくあらわしているからなのだろうか。
ラミー ピュア ボールペンは、こちらで販売されています。
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