文具で楽しいひととき
ラミー
ロゴ
前回は、オーストラリアで買ってきた文具の中で、ノート売場やファイル売場などいわゆる一般の文具売場で見つけたもの中心にご紹介させていただいた。そうした一般文具売場以外に、文具屋さんに行ったら忘れてはいけないのが、ガラスのショーケースのある高級筆記具売場だ。
今回のオーストラリアの文具店めぐりでもしっかりと、そしてじっくりと時間をかけてそれこそショーケースのガラスに鼻が付くくらい見てきた。そんな中で、日本の店頭であまり見かけないラミーのペンを4本ばかり買ってきた。
■ サファリ オレンジのボールペン $35
サファリが世に出てから25周年という節目に発売された言わずと知れたオレンジサファリ。今回買ってきたのは万年筆ではなく、ボールペン。
帰国後、ラミーの輸入元さんにこのオレンジのボールペンのことをお聞きしてみると、どうやらある国だけの限定モデルとのことだった。オーストラリアで売っていたので、これはオーストラリア限定と言って差しつかえないだろう。お恥ずかしい話だが、サファリの万年筆は何本も愛用しているのだが、ボールペンを手に入れるのはこれがはじめてだった。
万年筆と同じように、グリップはごっそりとえぐられたようになっているのだが、万年筆ではそれが2ヶ所なのに対してボールペンはそれがグリップの外周ぐるりと3ヶ所あった。
ボールペンは万年筆と違ってペン先の向きを自由に変えられるので、当たり前と言えば当たり前だ。オレンジの万年筆は全身総オレンジ色で身を包んでいるが、ボールペンの方はノックボタンとペン先、つまりペンの両端がブラックパーツになっているので、全体の印象がぐっと引き締まって見える。
はれて、オーストラリアでしか手に入らない限定モノを手に入れることができた。家族の反対を押し切って半ば無理やりシドニーに立ち寄ったので、私はこのオレンジのボールペンを手にして、密かに胸をなでおろしたのであった。。
■ ラミー ロゴ
さらに、日本では正式には発売されることがなかったというロゴのペンがズラリと並んでいるのを発見した。10種類近くあったので、思い切って全部買ってしまうかとも思ったのだが、理性を働かせて、単色ボールペン、3色ボールペン、そして万年筆の3本にとどめることにした。
うわさには聞いていたが、ロゴは実にラミーらしい無駄を省いたいいデザインをしている。ボディはステンレスであることを包み隠すそぶりも見せずにただただステンレスらしさをむき出しにしたような感じ。まっすぐの筒を思わせるスラッとしたボディラインの中でひときわ目立っているのが大きく張り出したクリップだ。
このロゴのクリップの作りこみが大変手の込んだものになっているのでここは少し詳しく触れてみたい。まず、ラミーのクリップの十八番と言ってもいいと思うがバネ式が採用されている。クリップの付け根ががちがちに固定されているのではなく、中にバネが仕込まれていているというものだ。
このバネ式のいいところは、クリップの付け根をぐいと押し込むとクリップが楽々ひろげることが出来る点にある。シャツの胸ポケットにペンを指すときなんかにとてもスムーズに出し入れすることができる。ペンのトップ部分を見てみると、クリップの付け根を押し込みやすくするようにクリアランススペースが確保されている。
さらに、ぐっと目に力を込めてその隙間をじっと見つめていると小さなバネが見える。バネ式クリップと言えど、バネが見えないタイプが多い中でこれは大変興味深い。
さらに、このクリップはボールペンにおいては、ノックボタンの役割も担っている。ノックをすると、クリップまでもがそれにあわせて上下に動いてしまう。これにはちょっと戸惑いを感じた。
と言うのも、ノックするたび、クリップとボディの接点がこすれてしまうからだ。しかし、さすがラミー、そこらへんは計算済みのようで、クリップの先端の裏側を見てみると、パチンコの玉を小さくしたようなものが先端にかしめてある。
これにより、少しのひっかかりも感じることなくスムーズにノックができる。このように実に色々と楽しませてくれるクリップなのだ。せっかくなので、各3本の特徴を簡単にご紹介しておきたい。
■ ロゴ 単色ボールペン (ヘアライン加工)$39.5
今回手に入れた3本のうち、唯一プラスチックパーツのないオールメタルで覆われたモデル。胴軸には、ラミーお得意の上質なヘアライン加工が施されている。ヘアラインに沿って指先を滑らすと、スルスルとすべり、ヘアラインに対して横に滑らせようとすると、ぎゅっと指先がホールドされる。
さらにグリップにはリング状のくぼみがいつくもあり筆記時の確かなホールド感を味あわせてくれる。
ノックボタンを押し込むと、カチッとかなり威勢のいい音がする。
■ ロゴ 3色ボールペン $69.5
先ほどの単色ボールペンのヘアライン加工に対してこちらはステンレスらしさあふれる潔いスタイル。ボディの太さは単色ボールペンと同じ。よくもこんなスリムなボディに3色ボールペンを入れられたものだと感心してしまう程。
各色のボールペンの出し方は、ラミー2000の4色ボールペンと同じ「振り子式」が採用されている。そもそも、なぜ振り子式と呼ぶかというと、ボディの中におもりが入っていてそれが振り子のように振れているからだそうだ。参考までに、ノックボタンを押し込まない状態でペンを耳元に近づけてゆっくりと回転させてあげるとカチ、カチとペンの中で振り子が動いている音が聞こえてくる。
ノックボタンのふちには、ブルー、レッドのマークがあるので、ラミー2000同様に出したい色のマークを上にしてノックをすればいい。ちなみに、そのマークが上になっている状態でペン先は一体どうなっているかと言うと、そのマークのペン先は必ず下側にくるようになっている。つまり、先ほどの振り子が胴軸の中でコロンと下側に転がりそれをノックボタンでもって押し込むと下側にあるペン先がとびだすという仕組みなのだ。
3色目の色ブラックの出し方がラミー2000とは違っている。ラミー2000ではクリップを上向きにしていたがロゴでは、その逆でノックボタンの真裏を上にする。確かに、そこにはブラックのマークらしきものがあるようだ。
そもそもノックボタンがブラックなのでちょっとわかりづらい。。
■ ロゴ 万年筆 $69
ボールペンのようにペン先が露出されていないので、ボディのシンプルさというものがより強調されている。そんな中で気になるのが、ペン先にキャップをした状態なのに、デコボコしたグリップ部分が1/3ほど露出されたままとなっている点だ。
普通ならキャップを閉じると、グリップ部分はすっかりと隠れてしまうものなのだが。。。これは、きっとデザイン的にあえてこうしたのだと思う。もしこれを全て覆い隠していたら、全体的にのっぺりとした印象になってしまったことだろう。
先ほどのロゴのボールペンたちと並べてみると、なるほど、このデコボコグリップが少しだけでも見えていることで確かに同じ血が流れているということがひと目でわかる。
ペン先はサファリにも使われているラミーお馴染みのもの。ステンレスのボディに、同じくステンレスのペン先がとってもマッチしている。
万年筆にしては、軸がかなり細いが、キャップを尻軸にさして書けば、かなり長めになるので心細さはなくゆったりとした筆記を満喫できる。
ラミーのペンは、もう十分というくらいたくさん所有しているのに自分の持っていないモデルに出くわすと、ついつい欲しくなってしまう。他のペンブランドだと、そのブランドを象徴するようなクリップがあって、あとは軸が太かったり細かったりというラインナップが多いように思う。しかし、ミーのペンは一本一本全く違うデザインをしていて、どれも個性的。それでいてラミーっぽさがすごく感じられる。
そこらへんがラミーの魅力のひとつなのだと思う。
ラミーロゴ 各種ペン
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