文具で楽しいひととき
ステッドラー
ペンシルホルダー900 25
大人使いできる鉛筆となると、これまであまり選択肢は多くなかった。数万円もするファーバーカステルのシルバー製伯爵コレクションや、5,000円台の同じくファーバーカステルのUFOパーフェクトペンシルなど比較的価格も高いものが中心だった。もっと手ごろな価格で大人の鉛筆使いが楽しめたらと常々思っていたら、ステッドラー社からこのほどペンシルホルダーなるものが発売されることになった。
発売開始を前に、試させていただく機会を得たので、ここにインプレッションと共にその全貌をご紹介したいと思う。外観はステッドラーらしく、製図シャープペンをベースにしたと思われるデザインに仕上がっている。
■ 補助軸ではなくペンシルホルダー
たっぷりとした長さがあり、これまでの補助軸や鉛筆キャップにはないフォルムだ。今回のこの商品、補助軸(エクステンダー)ではなくペンシルホルダーというネーミングにしているところに注目したい。単に短くなった鉛筆を持ちやすくする、ということだけでなく鉛筆をよりスタイリッシュに携帯して快適に使う、というコンセプトなのだろうと私なりに解釈してみた。
鉛筆のセットの仕方は、ギザギザグリップを緩めて行う。
鉛筆をセットする位置はお好みなのだろうが、せっかく、ギザギザグリップがあるので、そこを握って書きやすいように削られた芯先が出るくらいがちょうどよいと思う。
こうすると、鉛筆のほとんどがホルダーの中に飲み込まれた形になるので、鉛筆らしからぬスタイルになる。たっぷりとしたボディなのだが、セットできる鉛筆の長さは意外と短く、10cmくらいまでが望ましいようだ。それ以上でもセットできなくもないが、鉛筆が必要以上に出っ張ってしまうことになる。せっかくのロングボディなので、もう少し長めの鉛筆にも対応して欲しかった。
ちなみに、ステッドラーの鉛筆以外にも他社の六角軸はもちろんのこと、丸軸や三角軸も、概ねセットすることができた。お気に入りの鉛筆があれば、それをセットして使うのもいいと思う。
握り心地はというと、一般的なペンよりも多少の太いもののそれほど違和感を感じるものでもない。なにより、とても細かく加工されたギザギザグリップにより指先をしっかりと捉えて離さないというくらいのすごいフィット感がある。
軽量なアルミボディのわりに、長いボディのせいだろうか、持ってみると適度な重量感がある。個人的には、この重さはちょうど良いように感じた。というのも、よくシャープペンやボールペンを使っていて鉛筆に持ちかえると、そのあまりの軽さに拍子抜けしてしまうことがある。
このペンシルホルダーくらいの重さなら、ペンを持ちかえても違和感を感じることはほとんどないだろう。
■ グリップは真鍮製
しっくりとした握り心地にはもう1つ理由がある。ボディがアルミであることに対して、グリップ部分にはあえて真鍮が採用されている。これにより、程よい低重心が生まれ、筆記時の重量バランスがとてもよい。
鉛筆単体では、なかなか味わうことのできなかった低重心をこのホルダーが実現してくれている。ペン先の反対側を見ていると、まるでシャープペンのノックボタンのようなものがある。
実は、ここには消しゴムが内臓されている。
それを、クルクルと回転させると、このパーツが下に降りていって中から消しゴムが出来くるという仕掛け。しっかりとコシのある消しゴムなので、鉛筆で書いた太い線をごしごしと消してもびくともしない。この消しゴムはステッドラーのトリプラスのシャープペンと同じものが使われているので、なくなれば交換ができるようになっている。
鉛筆の大人使いに必須であるクリップもしっかりとついている。シャツのポケットにさせば、普段使いのペンとして肌身はなさず携帯することができる。このときは、ポケットの中を汚さないよう、鉛筆を逆さまにセットしておくのをお忘れなく。
ファーバーカステルのパーフェクトペンシルのように鉛筆削りこそ付いていないが、より気軽に鉛筆が使えるホルダーとして、また違った鉛筆ライフが愉しめそうだ。こうして大人が使える鉛筆の選択肢が増えていくということは鉛筆好きの一人として、とてもうれしく思う。
ステッドラー ペンシルホルダー900 25
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