文具で楽しいひととき
ファーバーカステル
GRIP2001
鉛筆と言えば六角軸だが、六角軸以外にも丸軸などもあり色々な握りが楽しめる。今回はドイツ老舗鉛筆メーカー2社が送り出している三角形軸の鉛筆を紹介します。三角軸はこれまでにも色々出されていたが、この2本は新たな独自性を持っている。それはグリップの良さ、握りやすさへの取り組み。
■ ファーバーカステル GRIP2001
ファーバーカステル社のGRIP2001はグリップ部分の表面にゴム状の黒い丸いドットが等間隔に敷き詰められている。このドットのおかげで、滑らずにしっかりとした握り心地が味わえる。
ドットは、特殊な塗装により作られているので、鉛筆削りで削っても鉛筆削りの刃をいためる心配はない。このドット、BRAUNの髭剃りのやはりグリップ部分にあったものとどことなく似ている気がする。滑り止めという機能面だけでなく、デザイン面でも貢献している。
つや消しグレーの下地にこの黒のドットが見た目にとてもバランスがとれていて、かっこよい。これまで、ファーバーカステル社はグリーン(いわゆる鉛筆ですというカラー)を鉛筆のトレードカラーにしていたので、こうしたドット付きは新しい流れを予感させてくれる。実際にその後、ドット付きの色鉛筆も出ているし、同じデザインの鉛筆削りも出されている。
私は、このGRIP2001を箱買いしているのだが、箱ごと机の中にしばらく保存していたら、鉛筆同士のドットとドットがくっついてしまったことがある。せっかくのデザインのポイントのドットがはがれてしまい、ちょっと残念だった。
■ ステッドラー マルス エルゴソフト
一方、ステッドラー マルス エルゴソフトは、ステッドラーのトレードカラーの鮮やかなブルーのボディ。ただ、見た目はつや消しのようなマット状であるのがいつもと違う。持ってみると、ゴム状の特殊な表面加工が全体に施されている。初めて持った時は、ちょっとべたつく感じがしたが、使い込んでみるとしっかりと手に馴染んでくる。ソフトな感触がとても心地よい。
GRIP2001ではドットにより握りやさを実現していたが、このエルゴソフトは全体に特殊加工を施すことでグリップ効果をあげている。甲乙付けがたい。
そもそも三角軸の利点は、どんなところにあるだろうか。ひとつに、握りやすさがある。六角軸、丸軸に比べて持った時の握りがすぐ決まりやすい。一方、六角軸、丸軸のように軸をちょっと回転させて、芯先の具合を 探りながら書くというのは、三角軸ではちょっとやりづらい。
また、三角軸は長時間書いても疲れないと言われているが、この点については私の場合、劇的にそう感じることは残念ながらなかった。
三角軸のもう1つの利点として、これは、個人的に感じていることだが、ナイフを使って鉛筆を削るときに、三角軸のほうが削りやすいというのもあるかもしれない。六角軸、丸軸だと仕上がりのバランスが結構難しいが三角軸だと三面を等分に削り込んで仕上げていけばよいのでバランスがとりやすい。といっても私の技量不足でそれほどきれいには削れるわけではないが・・・
鉛筆もまだまだ進化していると感じさせてくれる2本だった。
ファーバーカステル GRIP2001
ステッドラー マルス エルゴソフトは、こちらで販売されています。
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