文具で楽しいひととき
カンダミサコ
2本差しペンケース
ペンケースと言うと、これまで3〜4本差しをよく使ってきた。主に1軍万年筆を入れて、原稿を書いたり赤入れをしたり、一筆箋を書いたり、私の万年筆生活を支えてくれていた。しかし、ここ数年ホームオフィスを拠点にし、移動が少なくなった。それに伴い万年筆を入れたペンケースを持ち歩くこともめっきりと減っていた。生活様式が変わったので、ペンケースを見直すいい機会なのかもしれないと、頭の片隅で思っていた。この2本差しペンケースを見たとき、私の万年筆生活に何らかの変化を与えてくれそうな予感がした。
■ 硬めの革はペンの膨らみが楽しめる
以前のコラムで紹介したカンダミサコのペントレイ Bridgeと一緒に買ったものだ。素材はこちらもブッテーロ。使う前は見事なほどにぺちゃんこ、そして手強そうな硬さがある。まず、パイロットのカスタム74を入れてみた。万年筆の中ではそれほど太い方ではない。はじめはよいよいとスルスル入っていくが、下半身が潜り込んだあたりから結構グイグイ力を込めて押し込んであげないといけない。革の硬さを感じる。カスタム74はスッポリと収まった。キツ目ではあるけど、逆に言うと不意に飛び出したりしないのがいい。自分の意思で取り出さなければ出てこない。
取り出す時に指が気づいた。ペンケースの口の両端にスリットがある。これがあるので指が入りやすく、万年筆の頭をしっかりとつかまえられる。少し力を入れて引き出す必要があるが、使い込んでいくと多少はキツさも和らぐことだろう。
少し太めのカスタム823もきついながらも入った。天冠がちょっとだけ顔を見せている。ペンケースの口は手前が少し短く奥が深い。まるで布団を顎までかけて寝ているようだ。ブラウンの天冠とグレージュのペンケースが溶け込むように似合っている。カスタム823を2本を入れてみると、ぺちゃんこだったペンケースにふくよかさが生まれている。
次にペリカンM800を入れてみた。こちらもすっかり飲み込んでいった。天冠がわずかにはみ出すくらいだ。このわずかに見える天冠の一部だけで私たちは何の万年筆かすぐ分かる。
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さて、この2本差しにどの万年筆を入れるか。今は瞬記用の万年筆を入れている。セーラープロギアとペリカンM400。日替わりで取り出して書いている。別に万年筆に限らなくてもいい。一本をシャープペンにするのもいいかもしれない。身の回りにあるペンの中から2本を選び出すと、それを使うシーンが具体的に立ち上がってくる。ペンケースはペンを守るだけでなく、私たちの筆記行動・筆記生活も変えてくれる役割もある。
カンダミサコ 2本差しペンケース
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