文具で楽しいひととき
スピーゲル
ルーペ
ちょっといいルーペが欲しかった。特にこういう仕様でという明確な輪郭みたいなものがある訳ではなかった。ただ、ルーペ売り場を眺めていても欲しいと思えるものになかなか出会えなかった。文具を買う時はクッキリと私の脳に欲しい文具の輪郭が映し出されるのに、ルーペの場合はぼんやりとしたイメージだった。クッキリと見るための道具がぼんやりとするというのもなんだかおかしな話だが。。そんな中、WRITE&DRAWさんで見つけてしまった。私が探してきたものはこれだと思った。
■ ガラスレンズ
フレームは乳白色で見るからにプラスチック製と分かった。でも手にするとズシリときた。これは今や珍しいガラスレンズ。覗きこんで見るとクリアな世界が広がっていた。一旦ルーペを外して肉眼で見て、再びルーペ越しに見てみた。明らかに見え方が違った。空気が澄んでいるような見え方だった。お店の方によると、2枚のガラスを使った作りらしい。「これはデッドストックなんです」とお店の方が私の心を読み取るように念を押してきた。今買わないともう他の人の手に渡って無くなってしまうかも。これは今買うしかない。そう判断した。
持ち手は万年筆のペン先裏側にある櫛溝のような凹凸が並んでいる。少し重みのあるルーペをしっかりと握らせてくれる。レンズのサイズはパッケージによると75mm。倍率は3倍。レンズと持ち手の間には「W-GERMANY」とあった。東西ドイツ統一前という歴史も感じられ、しかも新品。カゴの中に入れたルーペが逃げ出さないよう手で抑えた。
■ 私の用途
ここ数年老眼がどんどん進んでいる。メガネは遠近両用レンズにしているが、それでも細かな文字をじっくりと見る時はルーペが欲しいと常々感じていた。私はこのルーペをこんな風に使い始めている。
[文具のディテール観察]
手元にあったラミー2000の万年筆とペンシルを覗きこんでみた。もう何度もじっくりと観察してきたので、その確認になるだろうと思っていた。ザラッとしたボディ、そしてステンレス無垢材のクリップが大きく映し出されて迫力がある。それを仔細に見ていて、こうなっていたんだと思うところがあった。カクカクとしているクリップの上の角のなだらか具合が違っていた。万年筆よりもペンシルの方がよりなだらかな仕上げになっていた。これは多分、ペンシルはノックをするので、この角に指が触れる。そのとき指先に違和感がないようにしているのだろう。ルーペで覗き込むことで発見することができた。こうした文具のディテール探検に使っていこうと思っている。
[定規の目盛りを読み取る]
ペンの全長をはじめ文具を定規で計ることがある。目盛りを読み取る時、これは2mmなのか3mmなのかが肉眼ではよく分からないことがあった。それをこのスピーゲルのルーペで確認していく。
その他、パッケージの裏面や本の注釈などの細かな文字を読むときなんかにも使っていくつもりだ。
チェコの花図鑑をルーペで覗いてみた。細かなところまで精密に描かれているのがよく見えた。
*
私が小さいころ、おじいさんの机にはルーペが置いてあった。私もいよいよその年代にさしかかってきたのだと思った。私の子供の頃のおじいさんは今の私よりもずっと年上のような気がしていたけど、その間隔は確実に狭まりつつある。
このルーペでいろんな世界をクッキリと見ていこうと思う。いいものを買うことができた。
アシュフォードさんのオーダーメイドジャケットマルシェ(M5)でもらったポーチにルーペを入れている
スピーゲルのルーペを私はWRITE&DRAW.さんで買いました。
手持ちルーペ色々
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