文具で楽しいひととき
セーラー万年筆
インク工房 641 など
私のインク生活は基本、使用する万年筆の純正ブルーを入れる、これを軸足にして10年以上過ごしてきた。これ自体はとても快適で日々の万年筆生活を楽しく送れてきた。しかし、たまには気分を変えたいときだってある。とは言え、過去の経験から色々なインクをあれこれと使っていくとどの万年筆にどのインクを入れたかが混乱して収拾がつかなくなってしまう。そこで、私は考えた。第二の軸足インクを決めてみようと。バスケットボールのルールでは、軸足をずらすと「トラベリング」というファールになる。そう考えると第二の軸足は悪いことのように思えてしまうが、そうではなくもう一回パスをもらい直すと考えればいいのだ。その第二の軸足インクとして私が選んだのが「ブルーグリーン」である。
■ 「ブルーグリーン」を選んだ理由
「ブルーグリーン」は、つまり青緑色である。ブルーをベースにしつつ少しグリーンも感じさせる色合い。私がこの色に注目したのにはきっかけがある。ウォーターマンのブルーブラックだった。このインクはとても不思議でやや太めのペン先で書くと、書きたてホヤホヤの時は深いブルーをしているが、時間が経つとじんわりとグリーンがかってくるのだ。その「ブルーグリーン」がとてもきれいなのである。
上が書いて時間が経った筆跡
その色をもっと楽しみたい。それこそインクが乾くのを待つことなく書いたそばから味わいたいと、そう思った。そして、「ブルーグリーン」探しの旅が始まった。
■ セーラー万年筆 インク工房 641
このインクはウォーターマンのブルーブラックよりもかなりグリーンが強い。むしろ「グリーンブルー」と言ったいいかもしれない。淡い色合いだが日々の筆記で大いに使える色合いである。
■ 神戸インク物語 須磨浦シーサイドブルー
先ほどの641より、こんどはグリーンがさらに深み、渋みがある。シーサイドブルーとあるが、私の目にはグリーンの存在感の方が強い。中字で書いてみたらしっかりとカラーが主張してくれた。
■ プラチナ万年筆 ミクサブルインクで作った「ブルーグリーン」
色合いとしては、セーラーの641と神戸インクの須磨浦シーサイドブルーのちょうど中間くらいの色合いと言えそうだ。バランスのとれた「ブルーグリーン」だと個人的には思っている。調合レシピは文末のリンクを参照してください。
■ WRITING LAB ビンテージデニム
こちらはグリーンよりもブルーが際立っている。いやネイビーの方が強いか。個人的にはネイビーはとても好きな色なので、一目見て一筆書いてすぐ好きになった。「ブルーグリーン」の範疇に入れるのはちょっと違うかもと思ったが、「ブルーグリーン」探しの旅の中で見つけたものだったので私の中ではこのカテゴリーに入れてみることにした。水の中でバシャバシャとつけペン「いろうつし」を洗った時に溶け出す色が、これまでの「ブルーグリーン」に近いものがあった。やはり「ブルーグリーン」ファミリーなのだろう。
今は、それぞれのインクの色合いを目を皿のようにして見比べているので、その微妙な違いが分かるが、普段使いしている中ではいずれも自然に使いこなせていける。
*
他にもブルーグリーンは色々とある。まだ持っていないが、パイロットの色彩雫「月夜」あたりも気になる。今は増やしていくよりもこれらの第二の軸足インクをとことん使ってブルーグリーンを日々の筆記生活の中で自分に溶け込ませていこう。使い切った暁には新たな「ブルーグリーン」探しの旅に再び出るのもよし、これらのインクの中からリピートするのもいい。その時の自分に決めてもらうことにしよう。
今回のようにインクの色合いをチェックする時には、つけペン「いろうつし」が大活躍してくれる
ウォターマン「ブルーブラック」
セーラー万年筆 インク工房「641」
神戸インク物語「須磨浦シーサイドブルー」
WRITING LAB「ビンテージデニム」
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