文具で楽しいひととき
一新堂
ドキュメントケース
プロダクトデザイナーの山崎宏さんからメールが来た。久しぶりに文具を企画したので展示会で発表するという。山崎さんのデザインするプロダクトは、余計なものが一切ない最小限のデザインが多い。ただシンプルな中にも1本ピーンと張られたような統一感というか、個性的なものがあり私のストライクゾーンに迫ってくる。たとえば、TOTONOEの初期のデザイン企画は山崎さんによるものだ。ご自身でもヤマサキデザインワークスの名でファイルやクリップ、手帳カバーといった文具系のみならず、ティッシュボックス、ハンガーやキッチン用品なども手がけている。確かに最近は文具以外のプロダクトが多かったので、久しぶりの文具デザインと言える。
■ つくりのよい箱
今回、山崎さんは一新堂からの依頼を受けてドキュメントケースを作った。一新堂は貼り箱の専門メーカーで有田焼きの箱づくりで確かな実績を重ねてきた会社である。箱づくりの一新堂と山崎さんにより出来上がったのは、なんとも箱らしさのあるドキュメントケース。手に触れずにそばから眺めているだけでも、これは作りがいいということが伝わってくる。そんなキッチリとした真面目な箱の姿をしている。
手にすると、しっとりしたマットな指触りがある。表面にはクロス貼りされている。ドアをノックするように叩くと、コンコンというしっかりとした厚みのあるいい音がする。
横にさりげなくロゴが空押しされている
開け口の両端はわずかに斜めにカットされていて、ここから開けるんだということが視覚的にわかる。斜めカットは指がかりになると同時に、シンプルな中のデザインアクセントにもなっている。マグネットの負荷を感じながらフタを開ける。この開け口は幅の狭い方と広い方の両方が開けられるようになっている。
ドキュメントケースというと、幅の狭い方だけが封筒のように開けられるものが多い。こうして開け方が選べるのは、使っていく上で便利に違いない。もし、出し入れしたいものが少し大きい場合は、両方ともパカパカと開け放てばほぼフラットにすることもできる。こうした機能を見ていくと、箱の形をした風呂敷のようにも感じられる。
中を開けると、内側にも表面と同じクロス貼りがされている。とても贅沢なつくりだ。山崎さんによると、こうして両面にクロス貼りすることで、反りが防げるようになるのだという。
フタを開けると内側にも先ほどと同じ斜めカットがある。心地よいデザインのリズムを感じる。
■ 仕事道具入れに
私が買ったのは厚さ3cmのタイプ。この他にさらにスリムな1.5cm、そして厚めの4.5cm、6cmもある。サイズはいずれもA4の書類がちょうど入る大きさ(A4クリアホルダーも可)。すごく悩んだ末に、今回は下から2番目のミディアムな厚みを選んだ。このせっかくの手触りの良いクロス貼りを持ち歩いて楽しみたいと思ったので、持ち運びやすそうな厚みにしてみた。
ここに書類やノート、手帳、スマホという最小限の仕事道具を入れて持ち歩くのに使ってみようと思っている。
実際に使っていて自分なりのフタの開け方が身についた。開け口の斜めカットを使わない方法だ。開けたいフタの反対側に手を添えてそのままスライドさせる。中央にスキ間ができるので、そこに指をかけて開いていく。私はこの開け方がしっくりときた。
クロス貼りされていないチップボール素材のタイプもある。こちらは一番薄い1.5cmタイプだけはなく、それ以外のサイズ展開は同じ。素朴な素材なので書類や立体物の保管箱に良さそうだ。チップボールタイプは3冊パックになっており、価格はクロス貼りタイプ1冊と同じに設定されている。たくさんのものを保管したい人向けだ。
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最近は、オフィスでの仕事ばかりでなくテレワークで自宅や色々な場所で仕事をすることも増えてきた。そんなシーンでコンパクトに仕事道具を入れて持ち歩くのに良いと思う。バッグインバッグ的に使うこともできる。
一新堂 ドキュメントケース クロス貼りタイプ 厚み3cm 3,000円+Tax
ヤマサキデザインワークス
DOCKET STOREさんで全ラインナップ販売されています。
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